トランプの大量強制送還計画 vs ハリスの「国境の壁」
10月27日放送のCBSのニュース番組「60 Minutes」で、トランプ政権時代のICE局長だったトーマス・ホーマンがトランプの大量強制送還計画について話した。
元警察官であり、国境警備隊員としての経験も持つ強面のホーマンを登場させたのは、CBSが意図した印象操作かもしれない。しかし、彼の説明はかなり曖昧で、具体的な内容には乏しいものだった。
ホーマンは「強制収容所」のようにはならないと断言しているが、大量強制送還とは一体何なのか。
対象は不法移民1,100万人、つまり米国人口の約3%に当たるのか?
ICEにはそれだけ多くの不法移民を捕獲・連行できるだけの職員がいないが、軍隊を使うのか?
強制送還には移民裁判の判決が必要だが、それだけの案件を裁くための裁判官はどこにいるのか?
裁判が終わるまでの収容施設はどうするのか?
アメリカで生まれた子供はどうなるのか?
労働者不足や経済への影響はどう対処するのか?
アメリカとの条約がない国は強制送還される国民を受け入れるのか?
実施にかかるコストはいくらになるのか?
こうした問いに対し、ホーマンは「国家安全をお金に代えることはできない」と答えている。
ハリスの国境の壁
同番組は以前、ハリスにもインタビューを行った。ハリスは「なぜ国境からの不法移民を野放しにしたのか」という質問に対し、「我々は国境管理のための政策を実行し、その結果、不法移民が半減した」と回答した。
問題は、その政策が実行されたのが、政権発足から3年半も経過し、大統領ディベート直前の今年6月だったという点だ。
さらに、バイデン・ハリス政権下で国境を越える不法移民の数は4倍に膨れ上がったとされており、半減したとしても、依然としてトランプ政権時代の2倍に相当する。
リベラルメディアとされるCNNの番組アンカー、アンダーソン・クーパーでさえ「なぜ今までやらなかったのか」と追及した。
ハリスは「国境の問題は議会が解決すべきであり、議会が行動を起こすのを待っていた」と答えた。
ハリス政治テレビ広告にでてくるトランプの国境の壁
ハリスは大統領選に出る前、トランプの国境の壁を「人種差別」「税金の無駄」「非現実的」「中世的な馬鹿げた壁」など、さまざまな言葉で厳しく批判してきた。
しかし今回の選挙では、トランプ政権が築いた国境の壁の映像を自身のテレビ広告に組み込み、「国境を厳しく管理する」と有権者にアピールしていた。
その矛盾についてはCNNからも指摘されている。
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