忘れないで下さい
「忘れないで下さい」
そう、貴方は言いましたね。忘れるはずがないですよ。貴方のことを、この僕が。忘れようとしても、そう簡単には忘れる事なんてできません。
だって貴方は………、僕の中にたくさんのモノを残していったんですから。
だから……例えこの世の全ての人間が、貴方のことを忘れたって。
僕だけは貴方のことを忘れたりしません。
よく言うじゃないですか?
「墓場まで持って行く記憶」
って。だから大丈夫です。僕だけはけして、貴方のことを忘れたりしませんから。安心して、貴方は貴方の道を進んで下さい。それが例え……。
いえ。これ以上はやめましょう。僕ごときがとやかく言えることではないでないですから。
ただ、これだけは言葉にする事を許してください。
貴方がなんと言っても、僕が貴方の存在によって救われた事。そして、人として再び目を開く事ができたという事は僕の中で事実なのです。
いつか、再び貴方にお会いする事が叶ったら………。
その時はどうか、僕の想いを嫌がらずに聞いてください。聞いてくれるだけで良いですから………。
………貴方を愛しています。