勝算を立てる
皆さまこんばんは、弓削彼方です。
今回は戦争を始める前に勝算を立てると言う、ごくごく当たり前のことについてお話致します。
動画も参考にして頂けると幸いです。
最初に原文を見てみましょう。
原文
「夫れ未だ戦わずして廟算して勝つ者は、算を得ること多ければなり。未だ戦わずして廟算して勝たざる者は、算を得ること少なければなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず。而るを況んや算無きに於いてをや。吾れ此れを以って観るに、勝負見る」
廟算と言うのは、ご先祖様の霊が眠る廊廟と言う場所で開戦するかどうかの会議をすることです。
ここで重臣や将軍と、戦争に勝つ見込みがあるかどうかを慎重に話し合いました。
この会議で勝つ見込みがあるかどうかを見極めれば、実際に戦うまでもなく勝敗の行方を知るには十分だと述べられています。
この勝つ見込みがあるかどうかを考える時に使うのが、すでに解説した五事七計です。
五事七計に基づいて勝つ見込みがあるかを話し合い、勝てると言う結論が出れば次の段階に進みます。
逆にどうやら勝つ見込みがないと言う結論になれば、一度計画を取り止め、国力を上げ軍備を増強し、次の機会に備えます。
勝つ見込みがあってもそこで終わりではありません。
先にお話した戦費の負担に関することと、長期戦になった場合の弊害についても考えなければなりません。
戦争にはなんとか勝っても戦費がかかり過ぎて国の財政が悪化し、結局何も得られなかったと言うのでは意味がありません。
また長期戦になった場合の弊害についても考え、戦争中に他国からの横槍が入らないかと言う部分にも考えを巡らせる必要があります。
そこまでしっかりと考えてこそ、本当の意味で勝算を立てると言うことになるのです。
このように、戦争とは慎重に検討を重ねた結果、ようやく決意する国家の一大事です。
だからこそ廟算の段階で勝つ見込みがなければ、外交による戦争回避や、勝つ見込みが立つまでは国力を高め軍備を増強するための時間を稼ぐなど、他の手段を選ぶ必要があるのです。
この戦争を始める前に勝算を立てると言うことは、実際に戦場で戦う時の作戦を立てること以上に大事なことです。
勝算を立てることこそが、何よりも大事な戦争計画の要であると覚えておいて下さい。
国の命運を左右する戦争について決断する場合には、必ず勝算を立てる必要があると言うことを理解頂けたと思います。
これは戦争だけではなく、兵法を論じる場だけではなく、皆さまの人生にとっても必要な考え方です。
何かをしようと思う時には必ず計画を立て、それが成功する目途を付けてから行動すれば、必ず大成功とは言わずとも、取り返しの付かない失敗をすることはありません。
ぜひ兵法を学び、人生にも活かして頂ければと思います。
今回の解説はここまでです。
そしてこの兵法講座についてですが、動画の作成を休止することが決定いたしました。
詳しい話は下の記事にまとめてあります。
今後もっと分かりやすく、より皆さまに興味を持って貰える形で再開したと考えておりますので、それが決まるまでは少しお休みさせてください。
それでは皆さま、お疲れさまでした。
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