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正と奇

皆さまこんばんは、弓削彼方です。
本日は「正と奇」に関するお話です。

今回は中級編の初回の解説ですので念のためご注意を申し上げますが、この記事以降は兵法講座中級編として専門的な解説に入ります。
また、少なくとも一冊は兵法書を学んでいると言う前提でお話を進めていきます。
もし記事を読んでも内容が理解できない場合は、これより前の初級編に戻って復習することをお勧めします。


初級編最初の記事:兵法書には何が書いてあるの?(前編)


中級編の内容は話が入り組んでいますので、ぜひ動画の方も見て理解を深めて下さい。


最初に、兵法で言う「正」と「奇」の意味を説明します。
兵法で言う「正」とは、正攻法のことを指します。
具体的には、敵より多い兵力で、正面から堂々と高い火力で敵を圧倒していく戦い方です。
誰でも思いつく、基本的な戦い方を正と言います。
次に「奇」とは、奇襲とか奇策のことを指します。
具体的には、敵より少数の別動隊を派遣して、敵の背後から襲わせる奇襲。
わざと後退して敵を誘い込み、隠していた兵で一気に襲いかかる伏兵。
本来は人数分しか用意しない旗をわざと沢山並べることで、こちらの兵力が多いと誤認させる偽兵など、敵の不意を突いたり、敵の判断を誤らせる策を奇と言います。
これは敵が予想していない策であるほど、有効な一手となります。

孫子の一文に、「およそ戦いは正を以って合い、奇を以って勝つ」とあります。
これは、まずは正攻法で戦って敵を圧倒し、その隙を突いて奇策(奇襲や伏兵)で止めを刺して勝つと言うことです。
決して正攻法での力押しだけで勝とうとか、最初から奇策を使っての一発逆転を狙うわけではないので、そこを勘違いしてはいけません。

ただ、この正と奇を使う時に決まった比率と言ったものは無く、味方の兵力が多くて装備も整っていれば、ほとんど正攻法だけで勝つことができるでしょう。
逆に敵よりも兵力が少なければ、最初は正攻法で立ち向かいつつも、どこかで敵を混乱させて大きな隙を作るために、より多くの奇策を使わなければいけません。
この正と奇の使い分け、戦況に応じて正と奇の組み合わせの比率を変えることが一番重要です。
しかし、これは実際に戦場を経験することでしか得られない言葉では伝えきれないものです。
ですので、この兵法講座では、兵法で言う正と奇の違いをしっかり理解することと、その組み合わせは星の数ほどあり、それを極めることは不可能であると言うことを知ることが目的となります。
ただし、正と奇の組み合わせを極めること自体は不可能でも、その事を知ってあらゆる事態に備える心構えを持つことが、戦場では必要になります。

今回の解説は以上となります。
次回も正と奇に関するお話となりますので、正と奇の違いをしっかり理解しておいてください。
それではまた、次回の講義でお会い致しましょう。

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