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302: 太陽に愛されてもこもこ増えるワイルドバジル色
森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。
温暖な気候の太陽の下、あちこちに
緑のもこもこが太陽の光を浴びている。
1人の青年がその畑の畝を丁寧にならしている。
花をつけ始めたワイルドバジルはこの時期、
一番香りが強くなるので、彼の周りは
ややスパイシーで、なおかつシトラスの
爽やかな香りが立ち上がっている。
「つまりばどんな香りなの?」とよく聞かれるが
「不思議な香り…?」と、疑問符がつく返事しか
出来ない、不思議な香りのハーブだ。
太陽が高くなり、ワイルドバジルの葉が
わさわさと喜んでいるように見える。
温暖な気候とはいえ、朝晩の寒暖差がある。
今は、暖かい日の光でぐんぐんもこもこと育つ
時間帯というところか。
青年は嗅ぎ慣れた爽やかな香りを
胸いっぱいに吸い込んだ。
“今日は咲いた花を摘み取って、葉も収穫して…”
と、日中の段取りを考えつつ畝を移動する。
彼とハーブ達の1日は、まだまだ長い…
…「と言う、
日の光を浴びて、もこもこっと葉を広げた
ワイルドバジルの色なのです。」
「青年の丁寧にする作業姿や花をつけ始めた畑の
光景が見えるような気がするね」
「今回は色だけではなく、微かにバジルの
香りもついている珍しい色です。
故郷を思い出す良い色ではないでしょうか」
「そうだね。 遠くに来た僕は、大きな森や
高い山や空を見ても、いつも心の何処かで
「故郷の色とは少し違う」と思いながら
過ごしてきたね…うん。これを頂いて行こう。
そして遠くない未来に、故郷へ行くと言う
計画を立ててみるよ。 ありがとう」
「お時間があるようでしたら、彼のハーブ畑も
訪れてみてくださいね」
カランコロン。
少しスパイシーで爽やかなシトラスの香り…
不思議な香りをそっと残して客は店を後にした。
貴方もいつか、南アフリカが原産の、
彼のワイルドバジル畑を訪れてみてくださいね
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