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182: 寡黙な26時の色

森の奥深く
あなたが知っている
あるいは知らない場所にある色屋の話。

ふっと眠りの淵から上がった色屋は
ふわっと目を開けた。
目を転じると時計は真夜中を指している。

こちこちこち…
秒針の音がやけに大きく聞こえ出した。
それに反して,窓の外の音はコソリとも動かない。

しばらく身じろぎもせず
音を探していた色屋だったが,
むくりと起き出してヒタヒタと足音を立て,
台所へと来た。

チョロチョロと水をカップに注ぎ,
コクリコクリと飲み干す。
外は静かだ。
夜行性のものたちも,食事を終え,
まったりとする隙間の時間なのかもしれない。

物と時間の境界が曖昧な真夜中。
トロリとした肌触りの暗闇に包まれているような
それとも何もない開けた暗闇にいるような
自分の形までもが曖昧になりそうな26時。

色屋はホッと息を吐き,またヒタヒタと
足音をさせて寝室へと引き返し,
温もりの残る居心地のいい暗闇に滑り込み,
夢に飛び立つために,ゆっくりと目を閉じ,
暗闇に溶け込んでいったのでした。

次の日の朝,すっきりとした顔の色屋が,
「暗闇の色をすくっておけば良かったですね…」
と呟いたのを,コチコチと時を刻む時計が
聞いていたとか,いないとか…

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