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息子の入院・その3

夜中に息子から、
タマが痛いので病院に行きたいと起こされ、
慌てて救急車を呼び、病院に搬送されている親子。

ピーポーピーポー…
「救急車が侵入します!」
ピーポーピーポー…

普段は避けて先に見送る救急車、
今日は自分たちが乗っています。

「皆、どいて〜道を開けて〜!」と、
半分祈りながら、しかし
息子が痛がっている横で、妙に冷静に
(あ、ここで曲がって堤防に出て…
なるほどなるほど。
信号もこの先少ないし近いわな。)
などと、頭の中で地図を展開する母。

病院の影が見えてきました。
ピーポーピーポー…(救急入口に到着

ガチャン!

救急車のハッチバックが開けられ、
病院の救急担当スタッフが4、5人待機。
患者受け入れ体制万全。

スタッフと救急隊員が、
息子のストレッチャーを囲みつつ、
「バイタル○○、血圧…意識…」
「今の容体は…」と、引き継ぎつつ
巨大な銀色の自動扉を開いて
救急処置室へと搬入。

私はその横でアワアワとついて行くのみ。

受け入れるベットの場所だけ
煌々と付けられたライト。
そのほかは薄暗い闇に沈んでおりました。

「服を着替えようね〜」
「生年月日を確認するよ〜」
「痛みは?今どこら辺が1番痛い?」
「あ、お母さんんですか?
今から処置を始めるにあたって検査などします。
検査同意書にサインをください。
その後、あちらから出て
家族控室でお待ちくださいね〜」

これまた巨大な銀色の自動ドアを指さされ、
院内の家族控室に追い出される私。

音も動きも伺えない部屋に1人。
(せめて扉の向こうが見えたら、もしくは
下の隙間からでもいいので分かれば…!
いやいや、
逆で、慌ただしい雰囲気だけ見る方が怖いな)
など、取り止めのないことを考えつつ、
ウロウロするわけにもいかず…
『ここは心を落ち着けるため、
友人たちに早朝LINEだ!(超迷惑笑)』

ふぅ。一通りやり遂げた。
(会社にもメール送信)

後は…私の相棒、『本』!(パパーン★
ゴソゴソ…!あー!家の机の上ーーー!
(やっちまったゼ★

いよいよ心落ち着けるものがなくなり、
ここで携帯小説など読もうものなら、
バッテリーを消費して、肝心な時に
使えなくなるかもしれないので我慢だ…!
など、涙を飲んでいました。
(実際には、無料貸し出し充電器が
控室には置いてあるので、心配無用なのですが)

そうこうするうちに、旦那が追いつき、
今どうなっているのか、
今日これからどうなるのかと2人で憶測を話し、、
と、銀の扉が開き、ぐったりした息子が
ガラガラと何処かへ連れられて…
「CTを撮りに行きます〜」
「あ。はい。お願いします」

そしてしばらく後、
また目の前をガラガラ移動して扉の向こうへ。
そこからさらに数分後、扉が開き、
青の術衣の方が
「説明をしますのでこちらへどうぞ〜」

運ばれた時間は、
人々の生活が起きていなかった時間。
時間が進むと同時に、聞こえてくる救急サイレン。

今は、夜を眠れず過ごした人か、
家族に発見された人か、多くの人が
救急処置室に寝かされ、部屋全体の電気が煌々と
つけられ、慌ただしい部屋。
緊張感が詰まっていました。

息子のストレッチャーの横には緑の術衣の方が。
「小児外科の○○です。
精巣捻転でほぼ間違いないでしょう。
今から緊急手術をして、元に戻します。
そして、動かないように固定もします」

「麻酔もしますので同意書など記入願います」

「俺、麻酔するん?そのまま(手術)するん?
麻酔って気を失うん?」
「大丈夫。直ぐ寝てしまって痛みはわからないよ」
「起きたら痛いん?」
「切った傷は痛むと思うけれども、
今よりかは痛くなくなるはずだよ」
「わかった」

「いやぁ、精巣捻転は
早朝運ばれてくることが多いんですよ〜。
時間との勝負ですが、痛みが発症してから
時間もそんなに立っていないので、
今のところ壊死はしないと思います。」
「よかったね。 手術範囲が狭そうやん」
「まぁ、着る場所はココとココの
2箇所になりますけれどもね」

「お母さんこちらでご記入を。
輸血の同意書、麻酔のリスクの同意書、
手術の同意書です……と言うことで、
それぞれご理解いただけましたか?
では、お名前のご記入を」

「さぁ、手術室に移動するよ〜」

もう、手術は避けられないので、
わかってるようなわかってない状態だけれども、
同意書にサイン。
(後でヤイヤイ言わさない同意書だけれども、
先生たちを信じなきゃ、そもそも始まらんし)

ガラガラガラ〜

「はい、ここから先は手術室です。頑張ろうね!」
「寝てる間だから大丈夫。頑張ろう!」

流石に不安になっている息子。
私の手を握ってきて、先生たちの言葉に頷きます。

「麻酔科の○○です」「○○の○○です」
「○○の○○です」
それぞれの担当医が挨拶してくださり、
全員とご挨拶をして頭を下げてました。

「さぁ、術中の帽子を被ろうね〜」
「ではまた後ほど」

手を振る息子。

またしても大きな銀の扉の向こうへと
運ばれていったのでありました。

あ、ここまで書いて、
皆様心配してくださっていると思いますが、
術後のタマの壊死などの心配はあれど、
命に別状がある手術(とは限りませんが)
ではないので、呑気に書き進めております。

さて、手術はいかに。
また次回。
この時点で朝6時。


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