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見えないラッパ
ボルタンスキー展に行った益田ミリさんが、風が吹くたびに鯨の歌を奏でるトランペットについて、こう評していた。
それは、「制作しても誰にも観られない作品」で、「存在を知っていることに意味がある」。「見えなくてもいい。知っていることが美しさなのである」。
そして言う。「物語が人を強くする」と。
この作品について調べてみたところ、パタゴニアで撮影した3つの映像で構成したインスタレーションで、トランペット状のオブジェ自体は観覧者の目の前にはない、とのこと。
南米で鯨と交信するためのトランペットを風が吹く。ロマンチックだなあ。
(『永遠のおでかけ』より )