なぜ問題のある世界の中に身を置くのか
アートを通したセラピーをさせていただくようになって、随分経つ。
ずっと、物語を読んで広がる映像をイラストレーションにして、お仕事をしてきた。そのやり方で、人の絵を描く。
イラストレーションは媒体の光を必ず汲む。素晴らしい物語は大きな光も汲まれる。光は表紙や媒体の顔になる。
逆のやり方なのか、人の顔を見たときには光しか汲めない。素晴らしい物語しか浮かばない。
それがどうやら本来の人の在り方なのだろうと、いつの日か信頼できるようになった。
人はみんな美しく崇高だ。遠くの稜線から昇ってくる太陽とか、夕焼けに染まる海上の雲のように、
夜風も深い沼もごつごつした岩山もどこもかしこも美しいそれらと同じように、
人も、同じくさまざまな空間を持っている。
その時の居場所がその時の絵に。
人はアートと同じ周波数と言ってもいいのかもしれない。
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