
子どもへのご褒美のあげ方。成長度合に応じて、あげ方を変えよう。
「“今度のテストで90点以上取ったら、スマホを買ってあげる“ってママが言ってたから頑張るね(`・∀・´)」
とは、私が室長として働いていた塾の生徒の一言です。
実はこの1回だけでなく、この仕事をしているとしばしばそういう話に出くわすことがあります。
いわゆる“ご褒美作戦“は、是か否か?ではなく、科学的根拠を持ってどうあげるべきか?というお話をしていきます。
この記事は…
・子育て中の親御さん
・先生やコーチなど、生徒・選手を指導する方
・会社で部下を育成している方
に役立つ記事です。
☆ご褒美作戦は有効だが、与え方に注意☆
結論から申し上げると、ご褒美作戦は有効です。
人間ですから、ご褒美をもらって嬉しくない人はいない、ということでしょう。
ただし、あげ方には注意が必要です。
子どもには「アウトプット(成果)」にご褒美を与えるのではなく、
「インプット(過程の取り組み)」にご褒美を与えよ、ということです。
☆「双曲割引」という考え方☆
人間は「今」と「将来」を比べると、いま目の前にある利益や満足を優先させがちであり、これを経済学の用語で「時間割引率が高い」と言います。
そして、近い将来の時間割引率の方が遠い将来の時間割引率よりも高くなることを経済学の用語で「双曲割引」と言います。
この「双曲割引」という考え方をまず、押さえておきましょう。
☆禁煙、ダイエット、投資、そして勉強…☆
身近な例で考えてみましょう。
例えば“禁煙“です。
タバコを止めることは“遠い将来“にとっては、健康を害するリスクを下げ、健康体を維持できる可能性が高まるというメリットがあります。
しかし、目の前のメリットに勝てず、結局吸ってしまう。。。ありがちですねf^_^;
このことは他のことにも同じことが言えそうです。
ダイエットをすることは“遠い将来“にとって、健康体を維持できる可能性が高まるというメリットがありますが、目の前のメリットに勝てず、結局食べてしまう。。。。
投資をすることは“遠い将来“にとって、金銭的なメリットをもたらす可能性がありますが、目の前のメリットに勝てず、つい他のものを買ってしまう。。。
それでは、“勉強“についてはどうでしょうか?
☆勉強の収益性☆
経済学には「教育の収益率」という概念があり、「1年間追加で教育を受けたことによって、その子どもの将来の収入がどれくらい増えるか」を数字で表します。そして教育投資の収益性は、株や債権など(中略)と比べても高いことが多くの研究で示されています。
『学力の経済学』P29より 抜粋
いましっかり勉強しておけば、将来の収入が上がる可能性は非常に高いわけです。
親御さんの中で
「勉強するのは、将来のあなたのためなのよ。」
と言っている方がいらっしゃるのは、まさにその通りなのです。
しかし、先ほどご紹介した「双曲割引」という考え方に則ると、
子どもは“遠い将来の収入の高さ“よりも、“目の前“のゲームやスマホに目がいってしまう、ということです。
☆ご褒美のあげ方☆
ご褒美は、「双曲割引」から、子どもを勉強に向けさせるインセンティブの効果があります。
ただし、むやみにアウトプットにご褒美を与えると、そのうち「試験の点数をとること」がゴール(目標)になり、
一夜漬けになったり、
テストの点数をとるためのスキルだけを磨こうとする子も出てきます。
それだと本末転倒ですよね?
だからインプット(取り組み)にご褒美を出して、「何をするべきか?」を明示した上でそれに取り組ませることにより、適切な行動を促すことができるわけです。
☆私が思う注意点☆
この考え方はれっきとした研究に基づいているのですが、語弊の無いように補足しておきます。
「インプットにご褒美を与える」のは、子どもだけに適用させるべきことです。
あえて“子ども“と書いたのは、年齢による区分ができないから。
アウトプットへのご褒美の弊害を先ほど紹介しました。
アウトプットへのご褒美によって弊害が出てくるパターンというのは、
結果を出すための正しいプロセスがわからないから、です。
「テストで点をとれって言われたからがんばる!けど、何をやったらいいんだろう??」という子には、
インプット型のご褒美をあげて、適切なアプローチを共に考える必要があります。
逆に、結果にコミットするための正しいプロセスを理解している子は、
年齢が低くても“アウトプット(結果・成果)“に対してのご褒美で良いと考えられます。
これは、アスリートやビジネスマンでも同様のことが言えるかもしれませんね。
その選手・その人の成長度を見極めて、適切な部分に“ご褒美“を設けてやると、成果に結びつきやすいです。
☆まとめ☆
✅人間は“遠い将来“よりも“近い将来“の方が時間割引率が高い
✅この「双曲割引」を変えるのがご褒美
✅インプット型とアウトプット型のご褒美があるが、与えられる側の
成長度合によって成果の出方が違う
ちなみに“非認知能力“の解説で、人生を左右する重要な能力として「やりぬく力」をご紹介しました。
近い将来のメリットには目もくれず、
遠い将来の目標に向かって黙々と努力を続ける方は、
やはり成功するんだなぁ…ε-(´∀`; )
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