『「教える」ということ』(bookshelf)
出口治明さんの新著、『「教える」ということ』を読んだ。1日で読み終わるくらい読みやすく、わかりやすく、ページをめくるたびにワクワクする、学び多い本だった。
感想ではなく自分のためのメモとして、本文にマーカーを引いたところを引用し、気ままに記録する。
生き残るのは「賢さ」や「強さ」ではなく、「運」と「適応」(適切に対応)以外の条件はありません。すなわち、運(適切なときに適切な場所にいること)を活かして上手く適応できる人のみが生き残るのです。(「自分の頭で考える力」と「社会を生き抜く武器」を与える より)
国民国家を理解する普及の名著が、ベネディクト・アンダーソンの『想像の共同体』です。僕はこの本を高校で教えるべきだと思っています。(「国家」「選挙」「税金」...についてきちんと教えることができるか より)
明治政府の国民国家創出については、小島毅の『天皇と儒教思想』という新書がわかりやすいと思います。国家とは想像の共同体に他ならないのです。(「国家」「選挙」「税金」...についてきちんと教えることができるか より)
はい。読みます。高校に行かないかもしれない、子どもたちと一緒に。
引用:『スウェーデンの小学校社会科の教科書を読む 日本の大学生は何を感じたのか』ヨーラン・スバネリッド著 新評論(なぜ日本は「先進国の中で投票率が低い」のかより)
図書館で借りようかな。いつか読む。
自分でお金を出す以上、その使い道に注文をつけることは当然のことです。「税金を分ける」のが政治の一丁目一番地であることがわかれば、借金(国債)の問題もシンプルに理解することができます。(「政治とは、税金の使い道を決めること」とシンプルに説明できますか?より)
まずは投票率を8〜9割にしないと。↓こちらにも、なぜ白票や棄権は現政権を支持してしまうかについて、分かりやすく書かれている。
(お金を上手に使えなければ社会では生きていけないより)↓
(子育てに時間がかかる理由のひとつは、人間が頭が大きく二足歩行をする動物だからより)↓
読みます。
↓北海道江別市の立命館慶祥中学校・高等学校の久野信之さんとの対談。こちらの学校の修学旅行がすごい。”問い”が先にあり、行き先を生徒が選択できる仕組み。こういうものがアクティブラーニングなんだな。
出口:人間の向学心や好奇心は、18〜19歳にピークを迎えると考えられていて、このときに学習習慣を身につけておくと、大人になってからも学び続けるそうです。(特別対談 久野信之✕出口治明より)
学習習慣は、小学生よりあとに身に着けてもいいのかも!?
出口:学ぶという姿勢は、テクニックを暗記するだけでは身につかない。自分が腹落ちして見つけるものであって、人に教えてもらうものではないのかもしれませんね。(特別対談 久野信之✕出口治明より)
腹落ち度。
久野:私たちがしなければならないのは学ぶ環境をつくることです。出口:大人にできることは、広い世界を見せること。それから、自らがロールモデルとなること。あるいは知識の一部をわかりやすく教えること。それくらいしかできないのではないでしょうか。(特別対談 久野信之✕出口治明より)
人・本・旅で学ぶ。
出口:要するに教育の目的は、「生きる武器を与えること」と「考える力を養うこと」の2つしかないと思っています。(特別対談 久野信之✕出口治明より)
これは、個別化された基礎学力を考えるときに役立つ本質的な力。
出口:「自分の好きなことをやってご飯が食べられる社会が理想だ」と僕は仮置きしています。(特別対談 久野信之✕出口治明 人生にも仕事にも、遊びが必要より)
教育で大切なのは、学生や子どもが潜在的に持っている興味や関心を引き出すことです。(興味のないことはすぐに忘れるが、興味のあることは忘れないより)
教育は興味開発。
↓テーマによっては興味を持てないこともあるけれど、「やってみよう」「調べてみよう」「考えてみよう」のタネがたくさんつまっている。
その人が興味をもったこと、勉強したいと思ったことを、興味をもったときに教えるのが、一番効果的なのです。(興味のないことはすぐに忘れるが、興味のあることは忘れないより)
子どもの個性、多様性を認めた上で、「いろいろな世界を子どもに見せて、子どもの興味や関心を引き出す」ことに尽きるのです。(興味のないことはすぐに忘れるが、興味のあることは忘れないより)
本当に。鉄は熱いうちに打て。熱いうちに、詳しい人とつなげたり、一緒に学ぶのが親の役割なんだろうな。試行錯誤の日々だけれど、小さく実践して、失敗しながら我が家流が見つかるのかもしれない。
人から何と言われようと、「自分の頭で自分の言葉で考える」「腹落ちするまで考える」ことができる人間をつくることが、AI時代の教育の現場では求められているのです。(興味のないことはすぐに忘れるが、興味のあることは忘れないより)
アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)や東京工業大学という理工系のトップ大学が、リベラルアーツを大事にしている。(興味のないことはすぐに忘れるが、興味のあることは忘れないより)
「リベラルアーツ」という言葉を意識するようになったのは、ボーク重子さんの講演会がきっかけだったな。それまで聞き流していた。
こちらも、面白かった記憶がある。
人間は言語化することでしか、自分の考えを整理することができません。(教えるから覚えられる。インプットとアウトプットはセットより)
確かに。息子がゲーム実況動画を撮り始めたのも、気持ちの言語化や、他者の気持ちを考えるのに使えるかも、と教えてもらったのがきっかけだった。後に、こちらも読んだりした。
↓動物のコミュニケーション行動を対象に、認知行動科学を研究されている岡ノ谷一夫さんとの対談。
岡ノ谷:教師に対する個人的な尊敬感情が学習のモチベーションに関わっていることがわかりました。(特別対談 岡ノ谷一夫✕出口治明 オンライン教育のデメリットより)
岡ノ谷:まず、教育はある意味、洗脳といえると思います。(特別対談 岡ノ谷一夫✕出口治明 教育は世代レベルでしか有効ではないより)
これは大前提なんだな。
岡ノ谷:AIやプログラミングの教育をするのではなく、論理や数学を教えるべきだと思います。共通の知識として古典を読んでおくべきだと思います。(特別対談 岡ノ谷一夫✕出口治明 英語教育よりも大切な「言語教育」より)
ここを読んで、迷わずポチったのがこのマンガw↓私しか読んでない。
岡ノ谷:言語学習はコミュニケーションを取ること以上に、思考の多様性と普遍性を知るためにあるのですから、英語以外の外国語を少なくてもあとひとつは学んだほうがいいと思います。(特別対談 岡ノ谷一夫✕出口治明 より)
そかー。。
出口:ハンデがある人にとってやさしい技術は、実は広い汎用性を持っていたわけです。(特別対談 岡ノ谷一夫✕出口治明 人間の権利を平等に認めることが社会の大前提より)
なにか障害と言われるものを持つ人は、special needer(特別な要求をできる人)と教えてくれたのは、日野公三先生だった。
出口:教育予算については、生涯コストを考えれば、社会的に一番恵まれない貧困家庭の子どもたちに予算を使ったほうが、社会全体としては一番サステイナブルで効率がいいと考えています。(特別対談 岡ノ谷一夫✕出口治明 人間の権利を平等に認めることが社会の大前提より)
負担(税金・社会保険料)と給付(医療費、教育費の無償化など)。ファクトと数字とロジックから読み解く訓練。
このあたりを考えると、消費税廃止は有りえない、と本書の最初の方に記述があった。
アイデア勝負の時代に必要なのは、自分の好きなことを究めて高い能力を発揮するスペシャリストです。極論すれば、日本人全員が自分の好きなことを究めなくてはいけないのです。(自分の好きなことを徹底的に究めた「変態を育てる」 ゼネラリストよりもスペシャリストを育成するより)
みんなと同じことをだいたい同じようにやるよりも、好きなことを究めるほうが大変よね。でも、後者に向いているひとは確かにいるし、日本の存続を考えると、そうあるべきなんだな。
これからの社会で伸びる人材は、好きなこと、やりたいことをのびのびと追求する姿勢を崩さない人です。(自分の好きなことを徹底的に究めた「変態を育てる」 高校を「変態コース」と「偏差値コース」に分けるより)
好きなことを究めて、英語の他にもう一つ外国語を勉強するとなると...子どもの興味関心の中から、外国語への興味の芽をどうやって見つけるかがキモかも。
それとも、好きなこと✕究めるを続けていくと、自然と外国語を学ばざるを得なくなるのだろうか。
それとも、google翻訳?
うーん。答えは走りながら見つけるかな。アンテナを張りつつ、私自身も英語を話せるようになりたい。
僕が、大学のあるべき姿として共感しているのが、カイロにある世界最古の大学のひとつ、アズハル大学の3信条です。「入学随時、受講随時、卒業随時」。(日本の低迷を救う3つのキーワード「女性」「ダイバーシティ」「高学歴」より)
好きなことを深く勉強したい人がたくさんいる社会のほうが、アイデアが出るに決まっています。(日本の低迷を救う3つのキーワード「女性」「ダイバーシティ」「高学歴」より)
アズハル大学を初めて知る。学びの門がいつでも開かれていたら、社会の学力は底上げされるのだろうか。
↓『教育格差』の著者、松岡亮二さんとの対談
松岡:教えるときに最初にしなければならないことは、教師が教壇に立って一方的にしゃべることではなく、子どもが「誰」なのか、社会経済的背景を理解することだと思います。同じ内容を同じように話しても、聞き手によって理解が異なりますから。(特別対談 松岡亮二✕出口治明 日本の学校教育には、厳然たる格差が存在するより)
これを実現できたら、Futoukouは減るかもしれない。
松岡:「学ぶことは楽しい」と興味を持てるようになることが大事だと私も思います。そのためには、少しずつ成功体験を積み上げていって、「あぁ、自分でもできるんだ」と自己効力感(self-efficacy)を高めて行く必要があります。義務教育で実際の経験に基づいて学ぶことが楽しいという動機付けができていれば、と願います。(特別対談 松岡亮二✕出口治明 「誰」が何を「選択」するのかより)
自己効力感を高めるには、学校のデザインを変えていかないと。
出口:子どもたちに、自分の状況を言語化させることが教育の第一歩ですね。(特別対談 松岡亮二✕出口治明 学校と家庭の親和性より)
松岡:言語化する力の基礎は会話によって身につけます。(特別対談 松岡亮二✕出口治明 学校と家庭の親和性より)
”会話”は口頭だけではなく、手話や書字でもできる。有り余る感動とともに教えてくれた↓
好き嫌いを隠すよりも、好き嫌いに関係なく部下には平等かつ公平に(フェアに)接することのほうがはるかに大切です。(定期的な「1on1ミーティング」で組織内の地図をつくる より)
「教える」ということを、子どもから大人まで網羅してくれているので、子どもがいるいないに関わらず学べる本書。好き嫌いは、顔や態度に出てしまいがちなのだけれど...これは修行してできるようにしたい。
集団が形成されると、2割・6割・2割の割合で3つのグループが形成されます。(「上司のいうことを聞かない部下がいる」のは健全な証拠 より)
2:6:2の法則。正規分布のことなのかな。
実は、歯周病も正規分布することが1986年に分かっている。通称「スリランカ研究」。歯を磨かなくても、軽度歯周病者:中等度歯周病者:重度歯周病者が11:81:8になったという。面白く、とても貴重なデータ。
読みます。
引用しながら、そのときに思いついたことを紐付けて記録してみた。
読んでくださった方、どうもありがとうございました。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?