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【華茶だよりvol.25】武夷岩茶3つのランク、その違いを解説!
みなさんこんにちは、ゆえじ ちゃんこです。中国茶&台湾茶マガジン【華茶だより】2023年2月20日号をお届けします。
今回は、「武夷岩茶」の種類についてご紹介します。
先月1月21日に武夷岩茶をテーマにしたオンライン茶会を開催しました!
今回はそこで話した内容をご紹介しますね。
「武夷岩茶」ってどんなお茶?
気になる方はぜひご覧ください。
武夷岩茶とは?
武夷岩茶(ぶいがんちゃ)は中国を代表する烏龍茶のひとつです。
茶葉も水色も茶色いので、多くの日本人が抱く「ウーロン茶」のイメージそのものに近いお茶です。
![](https://assets.st-note.com/img/1676770123103-VxBlsDhP44.jpg?width=1200)
中国国家標準上の武夷岩茶の定義
では、どんなお茶が「武夷岩茶」と呼ばれるのでしょうか?
その答えは中国の「国家標準」に書いてあります。
国家標準とは、中国のさまざまな農産物や工業製品が一定の水準を持って生産されるように定めた「規格書」のようなもののことです。
中国茶にも標準があります!
![](https://assets.st-note.com/img/1676770366842-TdqQbFqdnK.jpg?width=1200)
↑これが定義なのですが、簡単に言っちゃうと
「武夷山市の中で指定の品種、加工方法で作られた烏龍茶」
みたいな感じです。
実はこの武夷岩茶の定義は2006年に新たに定められたものです。
それ以前は武夷山市の中のもっと狭いエリア、世界遺産にもなっている武夷山周辺で作られる烏龍茶を「名岩区」、それ以外のエリアを「丹岩区」と分けていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1676770594768-NT2n8YScE5.jpg?width=1200)
でもこの「名岩区」で生産できる岩茶の量には限りがあり、年々増える需要に追いつくことができません。
そこで従来の「名岩区」「丹岩区」の区別をなくし、「武夷山市のどこで作った武夷岩茶も一律に武夷岩茶」としたのでした。
武夷岩茶は3つのランクに分けられる
とはいえ、風光明媚な武夷山の中にある茶畑と、それ以外の普通の自然の中にある茶畑とでは、茶樹の生育環境がまったく異なります。
そのため生産される武夷岩茶も風味が変わるのです。
国家標準では「武夷山市で作る武夷岩茶はどれも一律同じもの」と定義していても、実際はそんなことないのです。
商取引上はおもに3つのランクに分けて考えられています。
![](https://assets.st-note.com/img/1676771010464-AK7zB7AtnO.jpg?width=1200)
1.正岩茶(せいがんちゃ)
武夷山風景区内の歴史ある茶畑。
武夷岩茶の特徴である「岩韻」がもっとも感じられるお茶です。生産量が少ないけど求める人も多いのでとても高価。100gで1万円以上することもざら。
でもお茶の格が違うのは間違いない。なんかこう、パワーとかエネルギーとかみたいなものが満ち溢れている感じ。疲れている時に飲むと負けるので体調は万全に。
▼正岩茶のエリア
牛欄坑、慧苑坑、倒水坑(大坑口)、流香澗、悟源澗、九龍窠、竹窠、內鬼洞、外鬼洞、馬頭岩、鷹嘴岩、天車架、彌陀岩、碧石岩、蓮花峰、水簾洞、天心岩・・など
2.半岩茶(はんがんちゃ)
武夷山風景区内の比較的新しい茶畑。武夷山の岩山に囲まれた環境で育った茶樹を使っているので、半岩茶って名前があまり良くない気がするくらい、おいしいです。エネルギーあります。
▼半岩茶のエリア
三姑石、天遊峰、大王峰、燕子窠、虎嘯岩、桃源洞、天柱峰、獅子峰・・など
3.洲茶(しゅうちゃ)
武夷山風景区の外側。つまり岩山ではなく普通の自然環境の中で育った茶葉。武夷山市の南にある建瓯市と環境的にはあまり変わらない印象です。
武夷山のお茶はなぜおいしい?
武夷山は岩山。だから岩の上に茶樹が生えてるイメージを抱くかもしれませんが、実際の茶畑はこんな感じです↓
![](https://assets.st-note.com/img/1676771735351-A29Id5suY7.jpg?width=1200)
岩に囲まれているけど、茶畑はちゃんと土壌です。ただし、岩石が崩れたタイプの土壌なので水はけがよく、茶樹は栄養を求めて地中深く根を伸ばします。そのため、味や香りの余韻も長く深く続く力強いお茶になるといわれています。
あとはシンプルに、武夷山風景区の中は世界遺産ということもあって空気も水も澄んでいてきれい。そして岩が日陰となったり霧が出たりすることで日照時間が短くなるのもおいしさのポイントです。
(日照時間が短いと、カテキン量がおさえられうま味をより強く感じられるようになります)
武夷山のお茶が高い理由
正岩茶の茶畑は岩山の奥にあります。交通手段はもちろん徒歩のみ。
茶摘みとなると、カゴを背負って片道かるく1時間以上かけて山道を登って茶畑へ行き、詰んだ茶葉を背負って製造場まで運んでいきます。
どう考えてもかなりの重労働です。
武夷山風景区の中にある正岩茶や半岩茶の価格が高いのは、土地代はもちろん茶摘みの人件費がのっているから、というのが大きな要因です。
一方で、武夷山風景区の外である洲茶の茶畑はこんな感じ↓
![](https://assets.st-note.com/img/1676771788002-u7HDe58yLH.jpg?width=1200)
普通の開けた自然の中にあります。近くに川があるのでそこから流れてきた土砂も含まれる、いわゆる一般的な土壌です。生育環境も正岩茶、半岩茶とはまったく異なります。
このように写真で見比べてみるとわかりやすいかなと思います。
中国の国家標準では「武夷山市で取れるものは全て同じもの(正岩茶、半岩茶、洲茶の区別はない)」と言っていますが、実際はやっぱり別物。
日本で武夷岩茶を買うときも、正岩茶はそのように謳っているので飲み比べてみるのも面白いですよ。
まず飲んで欲しい品種は肉桂と水仙!あと大紅袍
武夷岩茶は産地によって3つのランクに分けられます。
あとは品種がたくさん。代表的なところは以下の通り。
![](https://assets.st-note.com/img/1676773627282-99FDEOBZdk.jpg?width=1200)
✔️大紅袍
武夷岩茶の王様みたいな代表格。
大紅袍の母樹は観光地になっています。
ひとくちに大紅袍といってもおおきく2パターンあります。
(1)ブレンド大紅袍:味も香りもバランスがれているので飲みやすいものが多い。「大紅袍(武夷岩茶)ってこうだよね!」というイメージで作られているので、メーカーによって味わいが異なる。
(2)純種大紅袍(奇丹):ブレンドではなく奇丹という品種で作られている大紅袍。清らかで飲みやすい。
✔️肉桂
香りが特徴、武夷岩茶のメイン品種。産地によって微妙に個性が異なるので正岩茶(牛欄坑、慧苑坑、九龍窠etc)の肉桂飲み比べ、という贅沢極まりない遊びも楽しい。
✔️水仙
味わいが特徴、武夷岩茶のメイン品種。肉桂と水仙あわせて武夷岩茶全体の8割を占めているとも言われています。有名なのは老叢水仙。ふか〜〜い余韻に酔いしれます。
✔️伝統名叢
鉄羅漢、白鶏冠、水金亀、半天腰など。日本の中国茶専門店でもよく見かけるので気になる方は試してみてください。飲み比べ楽しいですよ。
最後までお読みいただきありがとうございました!
次回は、武夷岩茶の産地・写真で楽しむ武夷山観光ツアー!ということでお届けしていきます!
次回は2月27日の配信を予定しています。
よろしくお願いいたします。
ゆえじ ちゃんこ
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発信者プロフィール
ゆえじ ちゃんこ | 中国茶ナビゲーター
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中国茶の淹れ手として地球にやさしい中国茶交流会(通称エコ茶会)など各種イベントで中国茶の魅力を伝える活動を10年以上継続、のべ500名以上の方にお茶を淹れてきました。
オンラインではSNS総フォロワー7000名以上の方に向けて中国茶の魅力を伝える情報発信を行っています。
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現在は福建、香港、東京の3都市を拠点に活動中です。
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