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人を動かす社内広報のポイント 7選

この記事はcorp-engr 情シスSlack(コーポレートエンジニア x 情シス)#1 Advent Calendar 2024の11日目の記事です。

こんにちは、あるいはこんばんは。chama (yueda256) です。
都内のスタートアップ企業でコーポレートエンジニアをやっています。本業の活動もnoteに書いているので、関心と時間があればぜひ読んでいただけるとうれしいです🙌

☝️ はじめに

さて、本題です。
バックオフィスは社内広報を発信する機会が多いですよね。アグレッシブに攻めている情シスであれば、ことさら多いでしょう。
そして、頑張って広報しているけど従業員になかなか伝わらない、依頼しても行動してもらえない、という経験も多いのではないでしょうか。

取り組んできた施策の内容がどんなによくても、広報がうまくないとラストワンマイルで途切れてしまって、結果につながりません。

そこで今回は、人を動かす社内広報のポイントを7つご紹介してみます。
かなりこまかいことにも触れますが「魂は細部に宿る」ということで、こだわっていきたい思います。

ちなみに、僕は広報のプロとして飯を食っている人間ではないです。
でもエンタープライズ企業 (従業員 数万人) とスタートアップ企業 (百数十人) で社内広報を発信してきた経験を下敷きに書いているので、大間違いはないと思います笑

📝 前提

Slack、Teams、Google Chat、メールなどツールによらず活用できる想定でまとめますが、ただし、具体例の一部はSlackを前提に記載しています。

1️⃣ その広報が必要な人にだけ届ける

突然ですが「傍観者効果」をご存知でしょうか。周囲に人が多くなるほど、自分事にならず傍観者となってしまう社会心理現象のことです。

社内広報を発信する人の心理として「抜け漏れなく確実に届けるために多くのメンバーが集まっている場所で広報したい」と考えがちです。結果、Slackの#generalチャンネルなど、多数のメンバーが参加するチャンネルで@hereや@channelといったメンションを乱発される状況になります。
そして、自分に関係しない広報を受け取る機会が多い状況になると、従業員はだんだんと傍観者になっていってしまいます。

ではどうするか。それはできるだけバイネームで語りかけることです。Slackを例に取ると次のような方法があります。

- 対象者だけを集めたチャンネルを作る
- 対象者だけを集めたグループを作って、メンションする
- (対象者を限定できていない場合) @hereや@channelをメンションしつつ「〇〇に該当する方へ」のように補足する (無関係な人は即離脱できる)

DMや、対象者だけにメッセージが届くアプリを作るというアイディアも思いつきますが、チャンネルを使うのがおすすめです。他人の目があると人間は社会的にふるまうようになるそうで、広報を読んで期日までに対応する力学が働くようになります。

2️⃣ ファーストビューに文章を収める

当たり前ですが、長い文章は誰も読みたくありません。しかも、書いてあることが面倒な依頼ならなおのことです。

社内広報でよく見かけるのが、「Slackやメールの本文にすべて書く」です。
シンプルで短い内容であればまったく問題ありません。しかし、長文になると話は別です。受け取る側は読みづらく感じてしまい、読み終わる前に離脱してしまいます。

Webサイトの場合、ユーザーはページを開いてから3秒程度で、そのページを読む価値があるか判断するそうです。3秒だとスクロールする時間は無いので、ファーストビューでいかに関心を引くかが勝負ですね。
この話は社内広報にも応用できると僕は思っていて、「どんなに長くても、13インチのパソコンのディスプレイに全体を収める」を意識しています。

たとえば依頼の至った経緯や作業手順は長文化しやすいので、Notionなどの外部ツールにまとめる。そして、広報文にはその外部ツールのリンクを記載する形にすると、文章量がコンパクトになるのでおすすめです。
(そもそもSlackやメールはフロー情報を扱うツールなので、ストック情報は別で記録すべき、という話でもある)

本業で実際に発信した広報の一例

あと、地味ですが大事なこととして、WebサイトやNotionなどのプレビューは基本的に消しましょう。2つぐらいURLを記載すると、ファーストビューがプレビュー表示で埋まってしまいます。

3️⃣ かならず知ってほしいことから書き始める

最後まで読まないと言いたいことが伝わらない広報文は、たとえコンパクトな文章量だったとしてもよくないです。最後まで読んでやっと自分に無関係だと気づいたら「この1分を返して…」と思いますよね。これを繰り返すことも、従業員の傍観者化に拍車をかけます。

ではどうするか。見出しにあるとおり「かならず知ってほしいことから書き始める」という方法があります。たとえば次のような情報が広報文の冒頭の2、3行に書いてあるとよいと思います。

- 共有 or 依頼のどちらなのか (読み始める前に心構えができる)
- Good News or Bad Newsのどちらなのか (これも心構えのために)
- 主な読者は誰か (自分は詳細を読む必要があるのか、判断できる)
- 概要 (詳細を読む前に全体感をざっくり掴むと理解は捗る)
- 期限 (すぐにやるべきか、いつか自分のタイミングでやればいいのか)

ちなみに、人間は文章の20%しか読まないそうです。「すべてを語らず、十分に興味を引ける」情報を厳選して、冒頭でハートをガッツリ掴みましょう。

4️⃣ 一文を短く区切る

ソフトウェア開発の有名な原則のひとつに「KISSの原則」があります。
Keep it Simple and Short. (短く簡潔に) の頭文字から取られています (別の訳もありますが角の立たない無難なほうを採用)。これは文章、取り分け広報文にも適用できると考えます。

まずはじめに、「一文一義」が重要なポイントです。以下は例ですが、きっとAfterのほうがスッと頭に入るのではないでしょうか。

[Before]
情シスSlackのアドベントカレンダーで毎日記事が公開されていますが、記事に「スキ」がつくと執筆者のモチベーションも高まりますし、コミュニティも盛り上がりますので、読んだらぜひ「スキ」をクリックしましょう。

[After]
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箇条書きも効果的な手段です。構造的に情報が整理されますし、余計な言葉が削除されることで全体の文字数削減にもつながります。

情シスSlackのアドベントカレンダーで毎日記事が公開されています。
次の効果が期待されるため、読んだらぜひ「スキ」をクリックしましょう。
- 記事に「スキ」がつくと執筆者のモチベーションも高まる
- コミュニティも盛り上がる

5️⃣ 専門用語や漢字はなるべく減らす

専門用語 (特に知らない横文字) やむずかしそうな漢字がたくさん並ぶ文章は高カロリーなので避けたくなりますよね。

『ホーキング、宇宙を語る : ビッグバンからブラックホールまで』という本の冒頭で「本のなかに数式をひとつ入れるごとに売り上げは半減する、とアドバイスを受けた」というエピソードが紹介されています。専門用語とはそれほどまでに影響が大きいので、できるだけ一般的な言葉で説明するように心がけるとよいと思います。(ちなみに、この本に "E=mc2" 以外の数式は登場しません。だからといって内容がかんたんなわけではないですが笑)

次に、漢字を減らす話です。会社の文化や好みもあるので程度がむずかしいですが、できるだけ「ひらく」、つまりひらがなを使いましょう。

僕は公用文 (国や公共団体が出す文書や法令などに用いる文章) の書き方を、定規の1つにしています。お国に従っておけば大間違いはないでしょう笑
具体例は次のとおりです。

有難う御座います => ありがとうございます
致します => いたします
予め => あらかじめ
頂く => いただく
下さい => ください

6️⃣ 絵文字・太字は本当に重要な箇所だけ使う

  • 参考書の重要な箇所に蛍光ペンで線を引いたつもりだったが、振り返るとページ全体が蛍光ペンだらけ

  • スライド内の重要な情報だけ赤太字にしたつもりが、一面が赤太字だらけ

あるあるですよね。こんな経験を何度も繰り返してきた方も多いのではないでしょうか。広報文でも同じ状態になりがちです。

特にSlackやTeamsのようなチャットツールには絵文字がたくさん登録されています。使ったらキャッチーかな?と思って、つい多用しちゃいますよね。
その結果、おじさん構文のような広報ができあがるわけです笑

出典: https://president.jp/articles/-/48260?page=1
出典: https://president.jp/articles/-/48260?page=1

絵文字を使った装飾は、たとえば次のように使うとよさそうです。
まずは絵文字をまったく使わずに広報文を書き上げて、そのあとアクセントとして付け足すようにすると、過剰になりづらいです。

- 1行目のタイトル (たとえばSlackロゴの絵文字を添えて、Slackに関しての広報だと明示する)
- アンケート回答フォームなど、絶対にアクセスしてほしいURLの前
- 真に重要なメッセージの後 (「〜の対応をお願いします‼️」など)
- 真に重要な注意事項の前 ( ⚠️ や ℹ️ など)

7️⃣ 基本はアメ。どうしても必要ならムチを打つ

依頼を伴う広報だと、「期限まで対応しない場合は✕✕ (ペナルティ)」と書くことが多いのではないかと思います。しかし、ただでさえ手間がかかる依頼なうえにペナルティまで持ち出されると、受け取る側としては気持ちよくはありません。

「アメとムチは使いよう」というように、使い分けが大事だと思います。
たとえば次のように、アメからムチへ段階的にギアチェンジするやり方が、個人的にはおすすめです。

第1段: やるメリット (「業務効率がハチャメチャに高まる」など)
第2段: やらないデメリットを伝える (「ビリは忘年会の幹事」など) 
第3段: バイネームで少数派であることを伝える (「みんな終わった。終わってないのはあなただけ」いわゆるハーディング効果) 

基本的には第1段で収めたいですよね。メリットをいかに打ち出せるかが腕の見せ所です。たとえば「法的要請に従って〇〇をやる」ではなく「お客さまに安心してサービスを使用いただくために〇〇をやる」のように言い回しを変えるだけでも、印象はかなり違うものになります。

✅️ まとめ

人を動かす社内広報のポイントを7つ、つらつらとご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。納得感を醸成するために補足を結構書きましたが、本当に大事な点は目次・見出しに凝縮されています。

  1. その広報が必要な人にだけ届ける

  2. ファーストビューに文章を収める

  3. かならず知ってほしいことから書き始める

  4. 一文を短く区切る

  5. 専門用語や漢字はなるべく減らす

  6. 絵文字・太字は本当に重要な箇所だけ使う

  7. 基本はアメ。どうしても必要ならムチを打つ

社内広報を書く際にこのnoteを思い出していただけるとうれしいです!
ここまで読んでいただきありがとうございました 🤟

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