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商品開発では当事者の覚悟も大事

この記事で初めて知ったんですが、今発売している12/JU-NIのヘアミルク、社内アンケートの評価はあまり高くなかったみたいです。

試行錯誤しながら開発した中身は個人的にすごく気に入ってたので、社内で試してもらったら社内のアンケートはそんなに良くなかった。
ただ、1人のスタッフだけはすごく良いって言ってくれて
そのタイミングで、ちょうど私が会社の中での商品企画チームのメンバーにもなったんで、出したれって思って

もし仮に、社内のアンケート評価が良くないからという理由で、もう少し評価上がるように改良しよう、少なくとも過半数ぐらいは良い評価になるようにしよう、平均点を上げないと、なんてことをやってたら、どうだったのかな、今のヘアミルクみたいな商品が出来てたのかな?って思うんです。

商品化の時に、大事なことは、当事者がその商品に納得できてるか、自信を持ててるかではないかと思ってます。特に、僕らみたいな小さい会社で必要なのは、当事者の覚悟じゃないかと思うんですね。

社内の多くの人が良いと評価する商品ができれば、一般の人が満足できるものになるのか、というと、僕は必ずしもそうではないと思っています。

社内評価は特に、かなりバイアスが掛かってるし、勿論、それはアンケートの仕方や質問の設計などでもかなり変わるとは思うんですが、そういう声に振り回されすぎないように気をつけたほうが良いです。

この手のアンケートでは、その商品が余程自身にフィットするとかでもない限り、何かしらネガティブな要素を拾い上げて回答してしまいがちです。あるいは自身が今使ってる類似商品や類似カテゴリーの商品と比較して、どうかと考えてしまう。その際にも比較対象に対してネガティブなところに目がいってしまう。それは「評価者」というモードで、その商品に向き合ってしまうことで起きるバグみたいなものじゃないかなと思うんですね。しかも、会社のことをよく知ってる「中の人」のほうが、自社のことを厳しめに捉える傾向はあると思いますしね。

社内の声とかアンケートが無意味とかやらなくて良いという意味ではないのですが、取り扱いには注意が必要だという意味です。

大手とかで販路もしっかり確保できてる、みたいな場合は、既存商品のマイナスを全部潰して、平均点が高い商品を作るってのは、ある意味王道の戦略なのかもしれません。売る力と価格力で勝負できるなら、商品は「差し障りのないもの」に仕上げるのが一番無難です。

でも、僕らみたいに販路もない、認知も高くないメーカーは、そんな及第点商品を出しても、ユーザーはなかなか振り向いてくれないし、仮に使ってくれてその瞬間は気に入ってくれたとしても、似たようなもので手短で安価に手に入るものがあれば、そちらに簡単に切り替えられてしまいます。

であれば、全方位に満遍なく良くするというアプローチより、何かを犠牲にしてでも何かを追求する、その結果、使う人が限られてしまう、好みがはっきり分かれてしまう。そういう商品がまだ可能性があるんじゃないかなと思うんですね。でも、アンケートやると、そういう商品は当然、あんまり評価が良くなかったりするものです。

ちなみに、このヘアミルクの場合、まず髪の補修成分をしっかり入れる、ということを考えたんですね。アウトバス系では元々ヘアオイルを作ろうとしてたんですが、オイルだと補修成分はあまり入れられないし、そもそも髪に浸透しない。表面的に滑らかにして指通りをよくしたりは良いけど、12/JU-NIのコンセプトの根幹は「本気で髪を良くする」なので、使うことでちゃんと髪の状態が良くなっていくものにしたい。そうなると、オイルより水溶性のミルクにして補修成分もしっかり入れようとなった。でも、オイルに較べると、当然、髪表面の滑らかにする力とかは劣る。

社内アンケートでどんな感じの内容を聞いていたのか覚えてないのですが、聞き方によっては、自分が今使ってるヘアオイルと較べてしまう人もいたかもしれません。そうすると、そこの評価はネガティブになってしまったりしてしまうんじゃないかと思います。でも、じゃあヘアオイルと同じぐらい髪表面も滑らかにしよう、ってなると、多分、補修成分をちゃんと入れられなくなったりして、どっちつかずの中途半端な商品になってしまったりするかもしれません。

ユーザーの声を聞いて、より良いものに改善していく、改良していくことはやるべきです。でも、ただ単純に不満や批判を抑えることを目的にしてしまうと、それはちょっと変な方向にいってしまいかねないので注意が必要だと思います。

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