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小学校PTAでkintoneを活用してプリントが見えるようになった話

※この活動は、完全にパパとしてのボランティア活動です。
※現状プレオープンの段階のため、実際の画面などはまだ掲載できないことご了承ください。

Twitterで、うちの小学校PTAでの取り組みを紹介したところ、想像以上の反響があり、正直ビックリしています。

それだけ全国的に、根本的に解決されてこないまま課題が残っているんだということだと思います。

うちもまだプレオープン段階なので、話せないことも多いのですが、その中でもお伝えできる範囲でまとめたいと思います。
この取り組みが多くのPTA活動の参考になり、また前例として勇気を与えられることになればと思います!

そして、全国で同じような取り組みをされている方、取り組みしたいと思いつつ悩んでいる方、ぜひお気軽に絡んでいただけると嬉しいです!DMでもコメントでも。

私たちの取り組みが正解だとも思いませんし、我々も現在進行形で悪戦苦闘中です。

ただ、結果をお伝えするのではなく、その取り組みのプロセス自体を共有していくことが大切だと思うので、上手くいっていることも上手くいっていないことも含めて、綴ります。

また、ツール選定について、うちは「kintone」を選択しましたが、
本当に今は便利なツールがたくさん提供されているので、各学校に最適なツールを選定をして頂ければと思います。


休校時に始まったボランティアのオンラインホームルーム。

アイデアは浮かぶ、やれそうだとも思える。
けど、やり切るのは、相当困難だった。

きっかけは、
新型コロナ感染が拡大する中での休校。

あの期間は、活動が制限され、本当に親も子供もストレスフルでした。

そんな中、小学校の「おやじの会」がボランティアで、「オンラインホームルーム」(以下HR)とやらを開催しているという噂を聞いたんです。

月・水・金の朝1時間ほど、100名ぐらいが参加してzoomを繋いで、みんなでゲームをしたりしていました。

それまでは、学校に対して、私は他人事でしたし、自分から何かをアクションしようという思考になったことはありませんでした。

しかし、その活動に参加してみて、

「あ、やれるんだ!やったらいいんだ。」

と思ったのを今でも覚えています。

そこで、私も思わず手をあげて、手伝わせてください。とメッセージを送りました。それが学校に初めて関わったきっかけでした。

久しぶりに同級生と顔を合わせる貴重な時間
あの時のzoom越しの子供たちの笑顔は、本当に忘れられません。


誰にも連絡ができない。アナログの現状に唖然し課題が浮き彫りになる。

この休校中、浮き彫りになった課題があります。

なんと、各家庭に連絡する手段がなかったのです。

学校から、休校中に課題などが送られてくるのですが、その手段は、

①区の一斉メールで課題が学校HPにアップされたことが届く
②学校のHPにアクセスして、一つずつPDFをダウンロードする
③家のプリンターで印刷する(泣けなしのインクを贅沢に使われて・・。)

しかも、①のメールはハイパーリンクが埋め込めないという仕様のため、直接クリックしてサイトに飛ぶことができず、いちいち検索してHPにアクセス。もちろん添付ファイルなどはつけられません。

さらに、こちらの一斉メールシステムの登録は任意のため、登録をしてない保護者にはそもそも課題がちゃんと届いてるか分からない。

さらに、学校側も誰が登録しているのかは把握できていないという状況でした。

え、なんだそれ。


休校解除。けどこのまま課題を放置して良いのか

そこから休校が解除され、小学校も制限されながらも再スタートしました。

ただし、登校は任意で、感染が怖い保護者は休ませても良いという条件でした。

しかしプリントなどの配布物は学校に行かないと受け取れない。

これ、また休校になったら、まずい。多くの保護者がそう感じたと思います。


そこで、オンラインHRを開催したメンバーを中心に、PTA活動をデジタル化しようという話が持ち上がったのです。


オンライン委員会の設立とオンラインツールの選定

今までは、おやじの会というボランティアで進めていたが、PTA活動全体のオンライン化を進めるならば、PTAの活動としてやろうということになりました。

ここで出てくるのが、PTAにはITに詳しい人がいない問題。

そこで、PTAに新しくオンライン化を推進する役割の委員会を作ろうという話になりました。それがオンライン委員会です。

ゆくゆくはPTA役員会の役職の一つとして、デジタル化に詳しい人間が参画するのがベストだということで、ひとまず2年間の期間限定での委員会となりました。

どれくらい人数が必要かは正直難しいところだったのですが、10名ほどを定員にして保護者に募集をかけたところ、倍近い応募をもらうことができました。

同じ課題感に多くの方が共感してくれたことが嬉しかったですし、想像以上に保護者の中にはITに関わっている方がいるんだなというのも発見でした。

そして、

今ここで自分の経験を活かさなければいつ活かすんだ
もっと子供たちの学校生活に親として積極的に関わっていきたい

という思いがあり、委員長に立候補させてもらったのです。


ちなみに、

「うちの学校にはITに詳しい人がいない」

という質問をよく受けます。渋谷さんがいたからできたんでしょ?うちには無理。と。

本当でしょうか?
今や仕事をする上でITは基礎スキルとして浸透しつつあります。

実は、スキルを持った方がいるかもいませんし、もしかしたらPTAというと母親という先入観に囚われているかもしれません。父親にも声をかけてみるというのも大切だと思います。


ツール選定について

オンライン化を進める上で、ツールの候補はいくつも検討をしました。

実現したいことは大きく3つありました

①保護者全員に連絡できる手段を確立する
②情報をいつでも載せておけるPTA会員向けの場所を用意する
③PTA役員・委員会の業務をデジタル化する

①については、オンラインHRでは「LINE」でグループを作ってやりとりをしていましたし、多くの保護者にも馴染みもあるだろうということで、まず候補に上がったのは「LINE」

管理やファイル共有などの面では、「LINE WORKS」が良さそうということで検討していたのですが、100名以上は有償で、かつ毎月継続して課金されるという点が懸念点としてあがりました。

また、LINEを使えない人もいるかもしれないという話も。

そこで、やはりまずはメールだなということで、メールの一斉配信ができるということで導入したのがサイボウズの「メールワイズ」でした。

アドレス帳にメールアドレスを登録しておけば、一斉送信が可能で、PTAの問い合わせの対応も一元管理できます。

そして、②、③については、ITに詳しくなくても使いやすいという点とメールワイズと連携できる点を評価して、同じくサイボウズの「kintone」を採用しました。

また、サイボウズは、「チーム応援ライセンス」というPTAを非営利団体向けの格安ライセンスを提供してくれていたことも大きなポイントでした。

これは本当に大事です。何よりPTAはお金がありません。

1年間 メールワイズは300名分、kintoneは900名分のライセンスを計9,800円で利用できます!(破格すぎる!)

通常料金は、

メールワイズ プレミアムコース 1,500円/人/月(年間換算で5,400,000円)
kintone スタンダードコース 1,500円/人/月(年間換算で16,200,000円)

これが、9,800円ずつで使えるんです!!サイボウズ太っ腹!!

無事にPTAでの費用申請も承認も得られて、導入することができました。

※ちなみに、2製品を紹介したのは私ですが、製品比較して、最終的に選定したのはPTA役員の皆様です。(渋谷の独断ではないですw)

※注:こっちではないので、注意してください。


事前準備

個人情報の管理・ツールのセキュリティ対策などの案内

こちらは、近郊の学校ですでにマニュアルを策定している学校があったので、そちらの内容を参考にさせていただきました。

セキュリティについてはサイボウズのセキュリティ情報を参照する形で、保護者全員でプリントで案内します。


①保護者全員に連絡できる手段を確立する

まず取り組んだのはメールアドレスの収集です。

PTA役員が主導となり、改めて1からメールアドレスの登録を依頼しました。

方法としては、Googleフォーム。

プリントを作成して、そこにQRコードと短縮URLを載せて、案内をもらいたい方は全員登録してくださいー。と案内したのです。

1回の案内では全員は登録してくれないので、何度か案内しつつ、ある程度集まったら、まだ登録してくれていない方に、直接声をかけて登録してもらえるようにお願いしていきます。

メールアドレスを持っていない、海外の方で日本語が読めない、という保護者の方も少数いらっしゃったのですが、この時点で99%メールアドレスを集めることができました。

この情報を、メールワイズのアドレス帳に登録して、一斉配信の体制が無事完了しました。

メールでも連絡しつつ、紙でも配布するというハイブリッドで対応していきます。

この段階で、休校になったら連絡がつかなくなる問題が概ね解決できました。


②情報をいつでも載せておけるPTA会員向けの場所を用意する(プリント、行事予定、動画など)

メールでの案内は、一方向での連絡になりますが、今回はもう1段階踏み込んで行きたいということで、学校に関する情報がいつでも見にこれる場所を作っています。

プリント、行事、動画、他にも学校の普段の様子など。そういったものが気軽にみられる場所が欲しいなと思います。

そこでまず取り組んだのが、このnoteのタイトルにもあります。配布プリント。

これ、本当に多くの方が悩まされているんじゃないでしょうか?

保護者の方が言っていたのですが、

プリントというのは、配布する側はちゃんと連絡しましたという感覚が大きい。
けど、受け取り側にはとてつもなく不親切。

そんなコメントをされていました。本当に同意しかないです。

プリントについては、kintoneで配布プリントが登録できるアプリを作成しました。
これ自体は非常にシンプルです。

あとは、プリントが配布されたら保護者の方が写真撮って、kintoneにアップする。

これで、kintoneに行けば、最新のプリントがいつでも確認できるようになります。
スマホでいつでも見られるって本当に便利です。

そして、もう一つ良かったのは、今までパパってあまりプリントを見る機会がなかったと思うんです。ママに渡して終わりで、パパに届かない。

そこが、パパも登録しているのでパパからもプリントが見られるようになったんです。

これだけで子供への関心度が高まりますし、子供との会話も増えるんじゃないかなと思います。

他にも行事予定を登録するアプリも作りました。

そして今は、運動会などの行事で撮影した動画を掲載するアプリを構築中です。

特にコロナ禍において、行事も人数制限や無観客での開催などが多くなり、見に行けないというケースも増えています。

そんな時に、アーカイブ動画を残しておくだけで、後から見ることができる。

そんな仕組みづくりを進めています。

ただ、YouTubeなどのストリーミングサイトに載るのは怖い、という声もあったので、

kintoneの他に、VimeoというサービスをPTA役員会に頼み込んで契約しました。

有償ライセンスを契約したのですが、このサービスのメリットは、動画を公開するドメインを指定できること。
これにより、kintoneの中でしか閲覧できない環境を準備でき、リンクなどを共有されて他に漏れるという心配がなくなります。

詳しくはこちらの記事が詳しいです。

この辺りは、子供たちの顔が映るなど、クリアしないといけない課題もあるので、保護者の方への許諾書などを準備して、進めています。


③PTA役員・委員会の業務をデジタル化する

そして、3つ目の柱がPTA業務のデジタル化です。

例えば、先ほども出てきた「プリント」
PTAからのお知らせを誰が印刷しているかというと役員会の皆様です。

役員会の方々は、なんと毎週のように学校に通い詰めて、学校のプリンターで紙の印刷をして、まとめて。という作業をしているんです。

これ、一保護者から全然見えてなかった真実。

そこまでやってもらっていたのか、と感謝すると共に、今までその作業を変えようと思ったことはなかったのか?という気持ちにもなりました。

大体の業務は、

「今までそうやってきていたから」

という一言で片付けられます。

そのために、大変な作業をしていたのです。

それは誰もPTAの役割やりたくないよなぁ。。と思います。

そこで、この役員・委員会の業務に一気にメスを入れていきます。

と言いつつも、こちらが強制するわけではないので、
各委員会の皆様とヒヤリングの時間を設けて、今の業務内容や、困っていること、そしてデジタル化できたら嬉しいことなどを聞いていきます。

そしたら、出るわ出るわ、非効率な業務。

デジタル化に積極的な委員会や、特に興味がまだなさそうな委員会もあるので、ここはやる気があるところから優先して進めていこうと思っています。

一つずつアプリやスペースを活用して、オンライン化していきます。


公平性という難しさ

この取り組みの中で、一番出てきて、一番厄介だった単語が「公平性」

何かあるごとに、この言葉が出てきます。

メール見られない人がいるのではないか?
スマホ持っていない人がいるんではないか?
家にネットが繋がらない人がいるのではないか?

それは公平なのか?

けど、そのために、我慢している人の方が多いのが現実です。

そして、こういう話をすると、「見捨てるのか」という話に思い込む方もいらっしゃるのですが、それも違います。

我々がやるべきことは、変えることではなく、選択肢を増やすことです。

例えば、プリント配布のオンライン掲載については、
紙プリントでも配布するし、kintoneにも掲載します。

どちらもハッピーな選択肢を増やす活動です。

そして、次の段階として、紙プリントが不要な方の分の印刷はやめて、PTAの負担と印刷費を削減していく。紙プリントが必要な分だけ印刷する。

こういった改善につなげていきます。

どちらかを選択しようとすると反対意見も出ます。いきなり0 or 1で考えるのではなく、選択肢を増やす。これが大切だなとこの取り組みを通して感じる点です。



この先の展望

ここまで、半年以上かかりました。
そしてまだまだ道なかば、ようやくプレオープンできた段階です。

これを、0からスタートする負担は相当なものだと私自身実感しています。

そこで、今後はテンプレートとして、配れるような動きができればと思っています。
さらに、アドバイザーのような役割も必要だと思うので、全国で先進的に取り組む学校の皆様とのネットワークを広げ、全国的なデジタル化を支援するコミュニティを作りたいなと思っています。

もちろん私一人の力では、限界があります。

ぜひ少しでも興味がある。共感してくれた方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけいただけると嬉しいです。

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渋谷雄大|プレゼンとITで誰もが自己実現できる社会へ
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