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連作「思い出の色」

抽象画を描きました。今回は同じ絵を元にしたバリエーション3枚の連作です。

昨日は札幌の映画館サツゲキで、自分が音楽を担当した鈴江誉志監督の短編映画『リスケ』を観てきました。

その時に感じたことを絵にしたのですが、同じものごとでも見る側のフィルターによってこれだけ別の意味に変わってしまうということがあるよなあというようなことを考えていました。

■ 連作「思い出の色」

思い出の色 Ⅰ 2022.9.24
思い出の色 Ⅱ
思い出の色 Ⅲ

制作時間は10分。BGMは『リスケ』に提供した8分超えの長いピアノ曲にしました。本当はあと2枚あるのですが、選んでこの3枚に絞りました。

どことなく池の水面を眺めているような感じが出て良かったなあと思います。

1枚目の灰ともピンクとも緑ともいえない画面は、左右で二つの季節が混ざっているような感じが出て気に入っています。2枚目の青っぽい絵は透明感、3枚目の黄色と緑の絵は枯れていく夏草の匂いのイメージ。

3枚それぞれに肌感覚、視覚、嗅覚と別々のチャンネルに繋がっていくようなものが描けたのでとても嬉しいです。

■ CDジャケットにしてみた

bird in spring

特別きれいだった2枚目のみCDジャケットにしました。このジャケットに合わせていい感じの曲を書いてみたいです。

■ 文庫本の表紙にしてみた

『いろは』上巻
『いろは』下巻

1枚目は、同じ抽象画の左右を切り取って上下巻にしてみました。主人公の名前が「いろは」なのかもしれません。朝ドラ向き脚本のイメージ。

上下巻の表記って(上)(下)とかどうするんだったかな……と思って画像検索をしたら、丸やダイヤ型で括っているものが多く出てきたので、自分の好みでこの形にしました。

こういうことを一つ一つ気になった時に調べて実践しておくと、デザインの引き出しが増えて制作にも満足感が出ます。

残りの2作も表紙にしてみました。

『春鳴き鳥』

上側の一番美しい青色の部分と、池の底を写したような灰緑の共存がなんともいえない感じになりました。春も泉も英語ではspringなので、英題は「Bird in spring」にしました。内容は純文学だと思います。

『夏草と蜜』

右からほんのりと傾き始めた日の光が差しているような画面になりました。ドローン空撮の風景画にも見えます。夏草が枯れ始める時の空気が好きで、そのイメージでタイトルをつけました。

3作とも同じ絵から生まれた表紙ですが、それぞれにパッケージとして内包している世界観が異なるのがとても面白かったです。並べてみてよかった。

こういうのは実際に形にしてみないとわからないもので、その都度狙いがハマったりハマらなかったりするんですよね。それがまた面白いところです。ソシャゲのガチャみたいで。笑

■ おわりに

こうしてただ自分の好奇心やコレクション欲を満たすために制作して、それが爽快感や着実なスキルとして返ってくる黄金ループに入っているのは、自分にとってとてもいいことだと思います。

音楽や物語に関してもそういう制作ができたら良いのですが……こればかりは向き不向きがあるなあと実感しています。

とはいえ、抽象画の制作はまだまだビギナーズハイのようなもので、既存のスキル(デザインなど)と組み合わせて初めて効果を発揮している現状を考えると、案外一つ一つの表現方法を切り離して考えない方が上手くいくのかもしれません。

・札幌国際短編映画祭は10/7から

冒頭にお話しした映画『リスケ』は、10月7日から行われる札幌国際短編映画祭の先行上映会ということで、事務局おすすめの7作品の中の一作としてスクリーン上映されたものでした。

スクリーンで観てきた感想を引用しておきます。

札幌国際短編映画祭の先行上映会で、音楽を担当した映画『リスケ』を観てきました。
大きなスクリーンで観ると、口元の細やかな動きとか、ちょっとした表情の翳りとか、そういうものが意識せずとも入ってきてとても良かったです。
音楽も映像に寄り添えていてホッとしました。感謝です!
#リスケ  が生涯ただ一度の映画劇伴担当作になってもなんの悔いもないくらい素敵な映画だった。
短い中にギュッと詰まっていて、どういう気持ちで発した言葉なんだろうということを、自分が体験したことみたいに何度も反芻して確かめてしまう。
答え合わせができなくても、何度も観る価値がある作品。

本祭でも札幌のスクリーンで見られる機会が何度かありますので、情報が出次第また改めてお知らせしたいと思います。

ここまで読んでくださりありがとうございました。
ではまた次回!

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