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イラストレーターが【選挙ポスター】を絵解きしてみるー2021東京都議会議員選挙
はじめに
こちらのシリーズは毎度のことながら、政策的な批判や批評では一切ありません。「なぜ当選したか」ということを言いたいのでもありません。
ただ今回当落で比較検討している箇所もありますが、全てがそれによるという意図の発言ではないことにご留意願います。
あくまでデザインや視覚的にどういう「メッセージ」があるのか、またはそれがちゃんと伝わるかを解いていくという主旨です。
今までの絵解きシリーズはマガジンとしてまとめておりますので、ご興味ある方はぜひともそちらもご一読ください。
今回のテーマははからずも「ブランディング」となりました。
都議選ポスター
(一番濃いラインナップだなと思った葛飾区…)
今回都議選において42選挙区のうち23区の選挙区について
実際に選挙ポスターを見て写真を撮ってきました。
そのため約半数の選挙区における分析となります。
各党がどういったデザイン傾向を持ちそれがしっかりと党という「ブランド」として機能しているかを検討していきたいと思います。
都民ファーストのポスター
都民ファーストは「濃緑」と「白」を基調色としています。
背景色をどちらにするかはバラツキがありますがこの2色と写真で構成されているポスターがほとんどです。
並べてみると「緑」の印象が強くなるのがわかると思います。
(写真の撮り方、時間帯がバラけてるので見づらい部分があり申し訳ないです)
選挙戦を振り返る番組やニュース記事などを読むともっと議席を減らすと考えられていたようです。
しかし小池都知事が選挙戦最後に応援に駆けつけたり、知事に物申せる政党として訴えを続けていました。
この「小池都知事との関係性」が都民ファーストのブランドの中身です。
そのブランドを背負っていると示すのがこの「緑」というわけです。
実は昨年の都知事選・都議補選でも同じカラーリングを使い
その時の選挙のイメージもあって「濃緑」×「白」というのはかなり定着しているのではないでしょうか。
選挙速報を見ている時にふと「まさか」と思ったことがあります。
実際振り分けてみたら結構しっかり出ているように思いました。
当選者のほうがより「濃緑」×「白」の印象が強く感じないでしょうか。
もちろんそのカラーリングにしたから当選した、というのは浅い話だと思います。
ブランディングとは戦略です。
とはこちらの本の受け売りですが…
全体の戦略(=ブランディング)をしっかり理解して実践するには
たかがポスターひとつでも、表現できることが必要です。
党の方針、中身、主訴、そういったものをしっかりと体現できるかどうか
そのひとつにデザインがテーマ(ここでは色として挙げていますが)にそってできるかどうか…に現れてしまったと考えるほうが自然です。
たかがポスター、されどポスターです。
立憲民主党のポスター
立憲民主党のポスターも一貫して「紺」と「白」のポスターです。
都民ファーストよりかなり統一がされている印象があります。
ブランディングという点からみれば、党の統一性や一貫性が見えるものと考えていいでしょう。
当落…というか議席は倍増したものの都民ファースト・国政与党には遠く「失敗」と考えられていると記事で拝見しました。
デザインとしてあるべき姿にあるという点では立憲民主党はかなり優れていると思われます。
ですが、ブランド力というかブランディングというのは、もちろんデザインだけで測れるものではなく
実際評価されるかどうか、というのは別問題ということです。
政策的な批判や批評では一切ありません。「なぜ当選したか」ということを言いたいのでもありません。
と毎度書いているのはそういう意味があります。
自由民主党のポスター
実はここがメインです。
実際23区を見て回っている時にポスター掲示の全体を見て気付いたことです。
「都民ファースト」と「立憲民主党」の候補者はすぐに見つけられるのですが、自民党は見つけられない。
さて。そんな自民党がこちらです。
とてもカラフルです!
少しカラーごとで分けて掲載したのでそれでもチカチカするほど色々だ、という印象ではないかもしれませんが。
今まで見てきた2党と比べるとその差は歴然としています。
意地悪なことをします。
左のブロックには自民党候補者が3人、右ブロックには1人います。
すぐにわかりますか?
見た目で自分たちの主張を印象つけるというのがデザインとしての役割です。
その中において「党」の印象は他党に譲ってしまっているかもしれない…というのが自民党のポスターデザインには見られると思うのです。
一応正解こちら。
私は23区分見ているのでそう思うだけかもしれない…とも考えていました。
普通は自分の投票選挙区しか見ないでしょうから、他との統一がどうのって関係ないのではないか…とも考えられます。
ですが選挙速報を見ている中で自民党東京都連、鴨下会長がこんなことを言っていました。
「党として一丸となって戦うことが難しく個人個人の評価で決まっていったように思う」
まさにこれ。これがただの選挙ポスターにすら出ていたのではないでしょうか。
明確な目標、明確な指針そういう「伝えるべきもの」が自分たちの中にあるからこそ伝えようとするために戦略やデザインというものが必要になってきます。
それが統一見解としてここでは党の候補者に浸透すると、戦略もデザインも統一されていきます。
統一された目標に向かうという意志が候補者にあれば伝達方法も印象も統一されていく…これがブランディングなんだと思います。
どこの段階からあいまいになっているのかは、さすがにポスターだけではわかりません。
しかし、少なくとも自民党からはなんらかの統一意志の「表明」がなかった…とはいえるでしょう。
私が23区まわる間、河野大臣の演説に3回もニアミスしました…
(聞いてると23区回りきれないので全部パスしたんですが…)
応援や国政与党をあげて戦っていたはずなのです。
でもたかがポスターですら党の統一が見られなかった。
そして個々が戦っていたというコメント。
決して偶然ではないと見るのは深読みでしょうか。
まとめ
ブランディングとは…とか私如きが語る前にいろんな書籍が出ています。
でもただただデザインを統一すればいい、ということではないのは確かです。
理念があって伝えたいことがあって実現したい何かがある…
それを間違うことなく広く伝え根付かせていく戦略なのです。
それって本当、政治にも必要ではないんですかね…
選挙ポスターのデザインひとつでもどれだけ思考や体制がアップデートされているのか透けて見えてしまうんですね。
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