Lateropulsionって何?
みなさま、はじめまして
見て頂いてありがとうございます🙇
今回は
Lateropulsionについてまとめていきたいなと思います。
※できるだけ正しい情報の発信に努めていますが、あくまで個人のまとめ、私の臨床経験や考えも含みますので、より正確な情報を知りたい方は、原著論文や書籍の確認をお願いします。
そもそもLateropulsionってみなさん聞いたことありますか?
臨床では短期間で軽快すると言われているので、あまり経験することは少ないかと思います。
では、どんな状態を指すのでしょうか?
一側に身体が不随意に倒れてしまい重篤な立位・歩行障害を呈する徴候と言われています。
では、どんな特徴があるのでしょうか?
Lateropulsionの特徴
▶多くは2週間程度で自立歩行可能となる
▶延髄外側梗塞を原因病巣とした症例報告が多い
▶Horner徴候、小脳性運動失調、解離性感覚障害、構音障害、嚥下障害、回転性めまいの症状を伴う
などがあります
ここで出てくる延髄外側梗塞の病巣ですが、これはワレンベルグ症候群というものです。
ワレンベルグ症候群について知りたい方はこちらの記事を参考にして下さい
このワレンベルグ症候群、つまり延髄外側に病変が及ぶと、lateropulsionも同時に呈しやすいと言われています。
では、どの神経回路が損傷すると、lateropulsionを呈するのでしょうか?
Lateropulsionに関する神経回路
・脊髄小脳路
・外側前庭脊髄路
・前庭視床路
こに部分の損傷でlateropulsionを呈しやすいと言われています。
このlateropulsionは通常、2週間ほどで軽快、もしくは消失するとの報告が多く、中には10日で消失するとも言われています。
では、なぜ短期間で軽快するのか?
仮に上記の神経回路の損傷でlateropulsionを呈したとしても、この姿勢制御に関与する神経系は両側にあることと、意識できる感覚は残存しているため、これらの神経系が代償的に働くため、短期間で症状が軽快するのではないかと言われています。
ここまでは、延髄外側の病変に伴うlateropulsionについて説明してきました
実は、このlateropulsionと似ている症候があるのはご存じでしょうか?
先ほどの、lateropulsionは延髄外側の病変、つまりHorner徴候、小脳性運動失調、解離性感覚障害、構音障害、嚥下障害、回転性めまいの症状と合わせて起こるものと説明しました。
このlateropulsionには、めまいや運動麻痺、感覚障害がみられないlateropulsionがあるんです!
えぇ~(-_-;)せっかく覚えたのに、まだあるのか・・
と思いますよね?
ただ、このlateropulsionと似ている症候を理解するとなぜ、このような病変が起こるかの理解が進みます🙆
では、Lateropulsionと似ている症候について説明していきます👇
Lateropulsionと似ている症候
Lateropulsionと似ている症候は、Isolated body lateropulsionと言われています。
では、臨床で延髄外側の病変があり、lateropulsionを呈している方をどのように鑑別したらいいのか?
次に、
LateropulsionとIsolated body lateropulsionの鑑別評価について述べていきます
LateropulsionとIsolated body lateropulsionの鑑別評価
まず、見るべきは
➢lateropulsion以外の、ワレンベルグ症候群があるのかどうか
➢延髄外側の梗塞がどの程度及んでいるのか
ここが鑑別するポイントです
ここでもう一つポイントがあります😊
Lateropulsion以外に生じる感覚障害やめまい、失調などは全て起こるわけではなく、病変部位によって変わります
下の図は、lateropulsion と各症候についてまとめた図になります
その症候は
・Lateropulsionに眼振を伴うLateropulsion&nystagmus
・Lateropulsionに運動失調を伴うLateropulsion&hemiataxia
・Lateropulsionに感覚解離を伴うLateropulsion&dissociated
などがあります👇
これは損傷部位によって変わるので、脳画像で確認していきましょう🙆
延髄の脳画像は非常に狭い領域に神経核が集まっているので、細かい評価が必要です👇
延髄レベルの脳画像
では、これをまとめていくと、どんな臨床評価が必要になるのか?
評価
あくまで1つの考えになりますので、ご参考までにお願いします。
以上になります。
最後まで見ていただきありがとうございました😊
【参考・引用文献】
[1]阿部浩明:脳機能を考慮した理学療法思考プロセス ―Isolated lateropulsionを呈した症例―,脳科学とリハビリテーション,2011
[2]岡本 善敬, 山本 哲, 武下 直樹, 沼田 憲治,左の延髄背外側および小脳虫部梗塞によりlateropulsionが遷延した症例,脳科学とリハビリテーション,2013
[3]大村 優慈 (著), 酒向 正春 (監修):コツさえわかればあなたも読める リハに役立つ脳画像,MEDICAL VIEW
[4]粳間 剛:国家試験にも臨床にも役立つ ! リハビリPT・OT・ST・Dr.のための脳画像の新しい勉強本,三輪書店
[5]沼田 憲治 :脳機能の基礎知識と神経症候ケーススタディ−脳血管障害を中心に,MEDICAL VIEW