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やさしい母が居たらこんな感じだったんだろうな

私がゲストハウスに泊まり始めて、数日経った日のことだった。

新しい住民二人組がやってきた。

彼女たちとの生活も、すごく私の心の中に刻まれる日々と言葉たち、そして愛情をたくさんもらった。

私の母(クソババァ)と同じくらいの年齢だった彼女たちは「娘だわ」と言いながらとても可愛がってくれて、一緒に手巻き寿司パーティーをしたり、みんなで日の入りを見に行ったり、星を見に行ったり、とにかく夜までおしゃべりして語りまくったのだった。

二人は中学来の友人らしく、まず、中学時代の友人とこんな風に旅行に来ていること自体が衝撃というか、そんな風な友人って貴重だよな…と今の自分にそんな友人はいるのだろうか…と考えてしまった。

お二人に「好きな人は被ったことがあるか?」と質問をしたら、好きな人が被ったことはただの一度もないらしい。そして、相手の中学時代の好きな人が誰だったのか聞いたら、もはやキモいとすら言っていて、女の友情はやっぱり好きな人が被らないことが重要な条件なんだなと改めて思った。

その二人、一人はまる子みのある方だった。
「あたしぁ~」と言ってそうで、ピーヒャラピーヒャラも言ってそうで。(実際には言ってない)

ここからはわかりやすく、まる子さんと呼ぶ。

まる子さんとは海辺まで夜に星を見に行って。
その時のことがすごく印象的で。

「死んだ人って星になるって言うよね。みんな~!見てる~!」と言っていて、それは「アリーナ!盛り上がってる?!」のようなテンションで夜空の星に言っていたのを覚えている。きっと星もびっくりしたかもしれない。

だけど「死んだ人が星になるって、そういうの私信じているんだよね」と言っていた言葉と顔がなんだかとても心に残っている。

私はわりと変わっているので「いや、それはそんなわけないでしょ」と本来は思うタイプなんだけど、なんだかその時は「死んだ人は星になるのかな…。そうなのかな…空から見ているのかな…そうだったら…いいな」みたいな気持ちになったから、すごく不思議だった。一緒に星を見れてよかった。

まる子さんはすごーく可愛がってくれて、
「娘がいないからさ。ウチが息子だからさ~」と言ってくれて、本当に一緒に泊まっている数日間、娘のように接してくれて。

彼女たちが出て行く前日。
「やさしいお母さんが居たら、こんな感じだったのかな」と言って、私は泣いた。

私に「やさしい母」という概念と思い出を数日間だったけど、プレゼントしてくれた人がまる子さんたち二人組だった。

もうひと方はすごく面白い的な意味で「おっかしい~」と言ってくれるとても明るい人で、それこそまる子みよりは母親みのある方だった。

とても明るい方だったので、ここからは明子さんと呼ぶ。

明子さんは、初日からいろーーーんな話をとにかく聞いてくれて、すごく会話のセンスや質のいいタイプの大人で。
母親世代で会話のセンスがヤバい人ってすごくたくさん居るから、その上品さとか言葉の美しさにグッとくることがすごく多かった。

そして、なんというかナチュラルしているというか、本当にいいさっぱりさで、だけど可愛らしさも兼ね備えて、あんな風に自分もなっていきたいな~って思ったのだった。人としての可愛らしさって、いくつになってもすごく大切だ。

ある夜、帰ってきた日にすぐに部屋で寝てしまったようだったんだけど
「昨日久しぶりに泣いたから、疲れちゃったみたい」と言っていて、
なんか上品なんだけど、その可愛らしさよ!!
それを恥ずかしいとか隠すことなく言えるその可愛らしさがなんともキュートだなぁ、と思って。

私の母親(クソババァ)のことも、すごーーーくよく話を聞いてくれて

「お母さんのこと一回説教したあげよっか?」

と言ってくれて。

なんというか、その言葉のチョイスの上品さ、だけど気持ちはストレートな辺りに何度もグッときて。

彼女が出て行く最後の日、一緒に海辺を散歩した時のこと。

「あなただったら子どもを作っても大丈夫だと思う」

そう言ってくれて。

私は毒親育ちだから、そこに関して、自分が子どもを作る作らない問題には当然影響をしていて。
そんな話もしていたから、そうやって言ってくれて、私は海辺で朝から涙を流したのだった。

とにかくいろんな引き出しがあり、たくさんのことを知っていて、たくさん教えてくれた。味噌汁がめちゃくちゃおいしい明子さんだった。絶対に忘れない。

お二人に出会って、60歳を過ぎても、こんなに素敵な女性っているんだなって、本当に思えた数日間だった。
年上とか年下とか、なんというかそういうのは関係なく、「人」として付き合ってくれて、話してくれる、そんな日々に私はすごく癒されたのだった。

またお二人とは絶対に集まりたいし、ごはんに行きたいし、私は絶対に彼女たちのことを忘れないだろう、本当に。

人生で私の支えになる、たくさんのお守りのような言葉をもらえたから。きっとそれは私のこれからの人生に絶対的な支えになると思っている。

ハウスを出ていく時、本当に泣けてしまったこと、出た後もやさしく温かいLINEをくれたこと。
私は彼女たちに出会えて、自分の人生の考え方が変わったし、いろんなことの背中も愛情とか思い出の補充も全部全部たくさんもらえた。

もらった愛情は自分や他人へのやさしさに変えていきたい。いつかまたお二人に何かしらいい報告ができるようにしたいなぁ。喜ばせたいなぁ、何か返したいなぁ。

また絶対会いたい。
また会いたい。

そう思える人たちに出会えて、本当によかった。


この記事は、なんだか恥ずかしくて、お二人には書きますって見せれないから、次いつか会った時に「書きました」って報告できますように。心を込めて。

絶対に二人なら「いい記事だね」って言ってくれるはず。

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深月あかり
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