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【治療レポート①】右視床出血による弛緩性麻痺へのアプローチ

脳外臨床研究会会長 作業療法士 山本秀一朗
セミナーレポート作成 言語聴覚士 yucco

フルリカバリーを目指し、全国のセラピストと共に成長し続ける脳外臨床大学校で学ぶyuccoです。

脳外臨床大学校、脳外臨床研究会にてセラピストを育成し、自費診療で患者さんをフルリカバリーへと導いている山本先生の治療をレポート化しました。
全国の悩んでいるセラピストや困っている患者さんの力になる学びを届けたいと思いお届けしています♪
皆さんの治療が1ミリでも変わり、患者さんの人生が変わりますように‼︎

《症例紹介》

60代・男性
疾患:右視床出血(保存的治療)
障害:左上下肢麻痺、弛緩性麻痺(入院時はMMT1)
現病歴:仕事中にゴルフカートに乗っている時に急にふらつき転倒し、左上下肢の麻痺発症し救急搬送。
回復期退院後は、独居にて週2回のヘルパーを利用しながら生活している。
発症からは8ヶ月が経過。
趣味:ゴルフ

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《左上肢の浮腫改善》

左上肢と顔面の痺れの訴えあります。
患者さんの筋肉を触った感覚がどうなのかでアプローチが変わります。
浮腫がある上下肢に電気を流していっても水でいっぱいなので放電してしまい、電気が流れません。
麻痺の練習しても筋肉が収縮しないから効果が出にくい!!

循環障害の手だと判断できます。
浮腫があると、痙性か麻痺か純粋に判断できない状況にあるから浮腫を取ってから見た方が良いです。

問診にて内臓系の問題は無し。
腹部に溜まりやすいから腹部にアプローチすることで浮腫を取ります。
その後、肘の屈曲をすると軽くお腹まで持ってくることができました。

《左上肢の随意運動の練習》

臥位で肘の曲げ伸ばし練習をします。
グーパー、ゆっくりパーの練習を自動介助練習。
筋肉には速度依存性があり、速さに弱い身体です。
速く動かしたら硬くなってしまいます(=痙性)。

ゆっくりしっかり動かすことが大事。
手首の掌屈、背屈の練習。
肩屈曲(30度〜90度)の練習。

痛みは動かしてないだけの痛みです。
油さしてない状態と一緒です。
肩外転内転の練習。
肘を曲げておでこを触る伸ばす練習。
ポイントはゆっくり動かす。
肩屈曲の練習。
使ってないからピリピリします。

問題点としては、麻痺軽度、感覚障害と不動。低緊張の状態。
皮膚が剥がれてくるのは、脳の中に必要ないという手のマッピングがない状態です。
麻痺側を見たら使ってないのがわかります。
脳も健側の使っている上肢にしか栄養を送っていません。
左上肢を使っていくと皮膚の状態と浮腫が治ります。

おでこから手を離して肘を少しだけ伸ばす練習。
ちょっと触るだけでおでこに戻ってくるのが大事。

1回できたってことは100回できる!100回できるってことは1000回できる!

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全国の悩んでいるセラピストに届くように、臨床のヒントとなり患者さんがよくなるように、心を込めて書いています。応援よろしくお願いいたします❣️