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おじちゃんが住む亀有 / つくりもの
小さい頃から
会うといっつも
❨ニワァッ❩って笑顔
大きな声で話しかけてくる
大きな手
大きな背中
一番仲良しの『親戚のおじさん』
亀有のおじちゃん
『瑠夏ちゃん!
もう、中学生かっ!』
今年夏休み最後
鶴川から電車に乗り
約2時間
妹のハルと遊びに行った時、
手術した後の
ひざが痛かったのか
立ち上がりながら
地面に
うつむき
すごい形相で
歯を食いしばってた
次の、
顔上げて
こっち向いた瞬間
❨❨❨❨❨グゥワワワワァァァァァッ、❩❩❩❩❩って、
視界はみ出るんじゃないかって位
どでかいバームクーヘンみたいに
笑ったおじちゃん
直接見たことないけど
お母さんから聞くには
たまに
ゲキコーして
すぐ
謝るらしい
『ごめんしてくれぃ。』
数独ドリルと
阪神タイガース、
ギターが大好きな
おじちゃん
生まれは葛西
バリバリの江戸っ子なのに
なぜタイガースをあんなにも
応援するのかは
今のところ謎
『天国ってーとこは、正しさしかゆるされなくて、さぞかし窮屈で退屈だろうよな。』
とか言って
大人の事情で
取り下げられた紅白の歌、
星野源の
「地獄でなぜ悪い」をかき鳴らす
ハチャメチャなおじちゃん
《天国にも鼻くそ、地獄にも咲く花》
地元仲間と4人でやってるバンド、
タートルズの曲名が
わけわからなすぎてウケる
瑠夏のお父さんとは
大学時代
軽音サークルの友だち同士だった
おじちゃんとおばちゃんの結婚式で
両親は初対面
つまり、
おじちゃんのお陰というか
その縁で
ふたりは出会えたのだった
縁、
って
なんか
大人用語ってかんじで
よくわかんないけど、
無理なく引き合い
難無く解けてゆく事。
なのかな
因果って
なぜか 息苦しいけど、
縁は
双方感あって、いいかんじ
「たえなる」感じ
(昨日国語の授業で
はじめて知った言葉)
「妙なる」感じ
(2度言ったった。
「みょう」じゃなくて
「たえ」って、読むの、
滋味めで相当気に入ってる
調べたら
「人知を超えて霊妙であるさま。
不可思議。」だって!
ヤバない?
要は、「謎にエモい。」ってことを
一言で表してるのかな
日本語って、ほんと不思議でさぁ
音読みとか訓読みとかも
わけわからなさすぎて、
どーしてそーなるのよ!って、
叫びながら
白目むいて
走り出したくなるんだよなぁ)
鶴川は東京の西
亀有は東京の東、
観たことないけど
昭和の映画「寅さん」に出てくる
帝釈天さんが
隣の金町にあって、
もう連載が終わってる
少年漫画「こち亀」でも
有名らしい
小さい頃歯が立たなかった
バリバリに堅くて亀の形した
昔ながらの手焼きせんべいを売る
「亀せん」のみきやさんも
この秋に閉店したんだって
やっぱり少しづつ
変わってゆくような
町並み
轟々と音を立てる
環七沿いに
大型ショッピングモールがある
下町
舗装された川
公園の桜並木
商店街の雑踏
交差点車流れ
表向きは変わっても
変わらないものもある
おじちゃんが住む
亀有
✳