キボリン / ショートショート × Branches / Bialystocks


昔々、

『「ボロボロの雑巾」と
呼ばれた人の
メモ帳の端に
キボリンの絵を
描いた人がいて、
さらに別の
刺繍した人がいて
また別に
バックに貼り付けた人がいた』
そうで

『希望と木を掛けた
ダジャレ妖精
なんですって。
あることないこと
掛け合わせれば
いいってもんじゃ
ないわよね。
持って歩くにも
かなりビミョーだし。』

木枯らし舞う
秋の
リサイクルバザー、
お姉さんから
50円で買い受けた。

お姉さん的には
あることないこと
掛け合わせるのは
ダメな事なのか。
近松門左衛門の
虚実皮膜論ビーム
あるけどな。

思ったけれど
違いは絶対的
間違いでもないし、
お姉さんは
掛け合わさなくても
生きられるから
掛け合わしたい人の
気持ちを知らないだけ
の話だし、
考えたら
すっかり
ビームの出し方忘れてた。

最近の
地球は
争わないから
戦い方忘れた。




帆布のバック
小脇に抱えて
仕事に向かう
ほぼ夜明け

冷えた曇天なのに
大気は
水墨画のような
濃淡と
静けさに満ちて
どことなく
ぬくい
どこかの
知らない小枝が
流れ着くような
言の葉たちが
琴音の在り処に
向かうような
そんな風に
感じて
今は
往来
ただ
安心してる

その
流れを
眺めてる

あの
アウトロが
聴こえる











ビアリストックス
4分34秒



(歌詞抜粋)

話はまだ終わらない
あたりはまだ薄暗い

あと何回でも何遍でも
いつまで続く

嵐はまだ答えない
話はまだ終わらない
終わりの知らせはない

覚えてる
覚えてる
忘れない
有限でも何千もの偶然を
平穏でも正論でも定温でも
足りない日々よ

嵐はまだ






家に帰る頃には
陽が差してきた





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