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指人形、はじめましたの行為と記録 Vol.161「スノードームゆびにん制作中」

ゆびにん制作日記(2024.10.14 - 10.20)
モノヴィレッジに向けて商品を作っていたのですが、風邪を貰ったのか週末は寝込んでいてあまり進みませんでした…
10/14 (月) - 18 (金) スノードームゆびにん制作。

スノードームパーツ

10/19 (土) - 20 (日) 制作休み。

今週観た映画
・まる(感想) ☞ 新作

今週読んだ本
『苦しかったときの話をしようか
 ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』
 森岡毅(ダイヤモンド社)

読了。
地下鉄の中で熱心に読んでいる人を見かけた、という話を母から聞き、気になって1年ほど前に図書館に予約していた1冊。
著者が自身の子どもに渡そうと思って書いた私的な文面をまとめたビジネス書でして、「はじめに」に進路について考えていなかった大学2年生の娘さんを追いつめてしまったエピソードが書かれているのですが、私が娘だったら不特定多数の人に読まれる本に書かれるのは絶対に嫌ですね。編集者が読んで泣きながら出版しましょうと言ったというエピソードを自ら書いているのにも引いてしまいまして、本文を読んでみたらこの時点での悪い予感がばっちり的中…一体この本のどこで泣いたんだろう…2章まででうんざりして、amazonのレビューを読んだら5章は面白いという意見が散見されたので読んでみましたが、私は5章も酒席のジジイの説教か?と思いましたよ…結果的に2章までと5章はきっちり読み、3・4・6章はぱらぱらと読んで返却することになりました。
P&Gのアメリカ本社で苛め抜かれた後、意趣返しとしてミドルネームと偽って「Uesama(上様)」と上司部下問わず呼ばせていたという部分だけ面白かったです(が、こう書いてみるとさほど面白くないな…)
電話恐怖症になって家族にも携帯を持たせなかったせいで、アメリカで妊娠中だった奥さんが運転していた車のタイヤがパンクしてしまった際に、誰にも助けを求められず家まで何kmも歩かせることになってしまったというエピソードも書かなきゃいいのにと思いましたし、これって自分が苦しかったときの話じゃなくて、奥さんが苦しかったときの話ですよね…?
先日読んだモリス・バーマンの『神経症的な美しさ アウトサイダーがみた日本』が歴史を紐解いた上で自分の考えを書いているのに対し、本書は何かの統計に基づいた「働くことの本質」がまとめられているわけではなく、自分の考え方にうっとりしている文章が延々と続く本でした。「(笑)」が出てくるたびに寒気がしましたよ…バーマンが資本主義社会の限界について書き、これからは異なる生き方・柔軟な政治や社会構造を考えなければならないと警鐘を鳴らしているのに対し、本書は資本主義社会でいかにうまく立ち回って優位に立つかが書かれているのでまさに真逆の本と言えるでしょう。
自己啓発本って読みたくなるようなタイトルを本当に上手くつけるよなあ…とつくづく感心してしまいます。具体的に本書のどういう点がおかしいのかはamazonの星1・2のレビューで鋭く指摘している方がたくさんいらっしゃるので細かくは書きません。一番どうなのと思ったのは、著者自身も電話恐怖症になったり血尿出たりしてるのに、そのたびに自分は乗り越えて強くなってきたんだ!という自信がついてしまっているせいか、逃げるな!戦え!戦わないと成長はないぞ!みたいなことが書かれている点。これは真正面から受け止めたら鬱病まっしぐらな危険性があると思いました。人には向き不向きってものがあるし、私は逃げるが勝ちだと思っています。正面から立ち向かうのではなく受け流すことの方が今の時代には必要だと思いますし。
まず、子どもに対して、300ページにも渡る自分の意見を読んでくれ、その上で人生設計を考えてくれ、という態度を取るのがそもそも押しつけがましいですよね。「この本、とってもためになるから読んでみて!」と自らが信じる宗教本を渡してくる知り合いと同レベルの迷惑度だと思います。どちらのパターンもなぜ押し付けられた本を読む時間を作らないといけないのかがわからない…渡された側には「1ページも読まない」という選択肢が存在しますからね。もし私がこの人の子どもで、これを読め!と渡されたらと考えると背筋が凍る…子ども達が「はいはい、また言ってらあ」ってな感じで日頃から父親に対して面従腹背を心掛けているなら全然問題ないと思うんですが
言われたことをくそ真面目にこなすような性格だったら父親の考え方に振り回されて、結果"自分の人生"ではなくなってしまいそうだなと心配になりました。どうか著者のお子さんたちが自分の人生を歩めていますように…

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