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WBC裏側日記〜アメリカに見る、先進国が抱える実態と矛盾【アメリカ🇺🇸】| 25/54ヶ国目 | 世界一周ふりかえり

★世界一周25カ国目 アメリカ
★滞在日数:2023年3月19日〜3月23日(4泊5日)
★かかった金額:¥98,805/2人(内WBCチケット¥53,600)

もう何ヶ月、トイレに紙を流していなかっただろうか。

サウジアラビアの大きなショッピングモールでトイレに行って(多分大丈夫だろうと思って流した。)からというもの、南米を北上してきた3ヶ月間はずっとゴミ箱にペーパーを捨てる日々だった。

知らない方のために解説すると、世界では水洗トイレだとしても紙は流せない国の方が多い。

不思議なもので、最初は無意識で「あっ!間違えて紙流しちゃったぁ・・・」となるのに、数週間経つと慣れたものでゴミ箱への紙の捨て方もだいぶ上手くなる。(何の話)

だから、マイアミに着いて、ホストの家でトイレをした時ふと、
「あれ、紙も流していいんだよね・・・?」 と迷ってしまった自分がいた。

何せ3ヶ月も紙を流さない生活をしていたので、体がそっちに慣れてしまって、むしろ「詰まらせたらどうしよう」という思考になってしまっていたのだ。

何が言いたいかというと、久々に”先進国”にたどり着いたのだ。
トイレに紙を流していいかどうか気にする必要さえない場所に。

ここで私は考えた。

“「先進国」って、何をもって定義できるのだろうか。”

私にとって初めてのアメリカ滞在は、その問いについて色々な側面から考えることとなった。

滞在したのはわずか5日間、しかも巨大な国のわずかマイアミという一都市のみ。

それで分かることなどたかが知れているけれど、

今回もカウチサーフィンを使ってアメリカ人の家に泊まり、低コストでローカル体験をできるだけした中で感じたことを、綴りたい。

(このnoteは、WBC期間中にマイアミに滞在し歴史的瞬間に立ち会った旅人がその裏側で考えていたことを振り返るものです)


◆何を持って先進国というのだろうか。

以前、チリについてこんな記事を書いた。

生活インフラが整い、一人当たりGDPも中南米の中で高いチリを、私は「先進国」と表現した。

日本の内閣府では、OECD加盟国を先進国と定義するようだ。

チリは今でこそ日本から見て先進国の部類に入っているものの、10年ほど前までは先進国の定義からは除かれていた。

そもそも、一人当たりGDP1万米ドル以上というおおよその目安はあるものの、先進国の定義は明確には決まっていない。

1975年に当時経済をリードしていたという理由で集まったG7が、いまだに「我々こそが先進国」という顔をして世界の経済のルールを決めている。

G20やOECDというように輪は広がっていつつも、”西側基準”であることは間違いない。

自分が先進国に生まれたという事実は、小さな頃は”先人たちの努力のおかげ”とか、”恵まれて”とかいう美談に捉えていたものだが、

こうして考えてみると、“世界にその構造を作ったものが勝ち”というような、逆らえない世の理というか、闇のようなものに思えてくる・・・

アメリカに来て、そんなことをふと考えたことを覚えている。

◆公共交通機関は誰のもの?二分される社会。

では、先進国では誰もが幸せで快適に暮らしているのかといったら、当然そんなことはないというのは、誰もが分かっていることだろう。

経済が発展するほど、貧富の差も激しいものになる。アメリカなんて、その代表格みたいな国ではなかろうか。

節約バックパッカーの我々は、マイアミで試しに公共バスに乗ってみた。

そこには面白いほどにアメリカの社会がよく見て取れた。

バスの中はガランとしていて、

(あえて表現を恐れずに言うと)着古した服を着た黒人、杖をついた老人、移民と思われる労働者しか乗っていなかった。

スーツを纏ったビジネスパーソンも、中流の白人ファミリーも、生き生きとした青年も誰も乗っていなかった。

プラスチック製の椅子とパイプの手すりは古びていて、心なしか寒々しい雰囲気を出していた。

アメリカ人は、国土が広すぎるというような理由もあり、基本は車社会だ。

"公共交通機関は貧しい人たちのもの"といった考えがあるらしく、公共バスもそんな光景になるということだろう。

誰もが使いやすい公共交通機関を誇る国(特にTOKYO)の私としては、正直あまり好きになれない考え方で、

EV普及も前途多難、結局この”先進国”がたくさんの排気ガスを排出して、その他の国の自然環境に悪影響を及ぼしているということに、やるせない気持ちになってしまった。

西側にも色々だが、どうもアメリカという国は私には合わないのかもしれない・・・

◆不動産・株投資でFIRE目前!子供はホームスクーリングにして旅行しよう

それでも、やっぱりこの国はすごいなー!と思うことは色々あった。

マイアミでカウチサーフィンを通じてホストしてくれたのは、スタートアップ勤務のローリーとクルーズ会社勤務のカレン夫妻だった。

旅行系の会社で出会った30代前半二人は、旅好きでアクティブだ。

“タウンハウス”というのだろうか、アメリカによくある2つ横つながりの家の片方に住んでいて、隣の家も所有しているという。

「コロナ禍でリモートワークが進んで、移住者が増えたから、マイアミの家賃は急騰してるんだ。僕たちは隣の物件も持ってて、家賃収入が増えて助かるよ」

5年後を目処にFIREして、君たちみたいに世界を夫婦で旅したい」

初日の会話はそれだった。

不動産を持っていて、スタートアップで働いていて、数年後にはFIRE。

全部、これまで旅してきた国では聞いたことのない会話の内容だったので、思わず心で”おー、先進国だぁ〜”と感嘆の声をあげてしまった。

さらに驚いたことには、彼が半年後には赤ちゃんを迎えるということ。
5年後にFIREして世界旅行というけど、子どもが学校に行く頃にはアメリカに戻るのかな?

「いや、ホームスクーリングがいいかなと思っているよ」

“おー、教育にも選択肢がある国〜!”とまた感嘆。

資産、教育、自己実現。彼らはそれを全て得ることができる位置にいる人たちだった。

先進国じゃないと日常生活で聞かない会話。
でも、先進国だからといってみんなができるわけでもない生き方。

持つものと持たざる者、得るもの得ざる者。

彼ら夫妻の場合は努力で得たものかもしれないけれど、
世界の中で構造的に形作られた”先進国”で生きることで得ている特権も少なからずあるだろう。

今こうして世界旅行をできている我々も、構造的に特権を得ている側にいる。

その立場をどのように使ってこれからを生きようか。

そんなことも考えさせられたマイアミ滞在だった。

(スポーツ史に残る名シーンをちゃんと楽しみましたのでそちらはぜひ動画で。笑)

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