ご縁でございます
友人が東京に遊びに来た。
待ち合わせの1時間前、お目当ての展示会(には友人と友人の娘のみ参加)が大盛況すぎて長蛇の列、入場から退場まで要相当時間がかかりそうで待ち合わせにはかなり遅れると思う、と連絡が入った。
こちらはその時すでに電車の中、浅草へ向けて移動中。
お土産に持って帰ってもらいたい、でもきっと並ぶ時間は取れまい、と思い、
亀十のどら焼きを並んで入手してから待ち合わせに向かうつもりだった。
唐突に少なくとも1時間の時間が空いてしまった。浅草でモーニングでもするか…と喫茶店情報をググっていて、車内の行先掲示板をふと見ると次は人形町。
小網神社。
確か、私と同じく離職の憂き目にあった友人がお参りし「平日でも混んでた。仕事にご利益があるらしいよ」と話していた小網神社。しかしながら、こちとらいつも宵っ張り、午前も昼近くなってから動き出す生活、なかなか参詣のタイミングを見つけることが出来ず、友人の話を聞いてからすでに4ヶ月…。
現在、私にしてはめずらしく、まだ午前10時にもなっていない、朝。
これはチャンスでは?
で、朝の人形町散歩を楽しむことに。
まだやっと(?)朝10時になったところ。なのに、駅を降りてスマホを片手に歩いていると、同じ風体の方々がちらほら。
あら〜、やっぱり有名な神社なのねぇ、と思いつつ、すぐ到着。自分の前にお二方。お守りなどの授け所前には4名ほど。こんなに小さな神社なのに、この時間でもうすでに賑わっている感じ。
お二方の後ろに並んで、順番を待つ。
ほどなく、前の方のお詣りが終わり、私の方を振り返って軽く会釈された。会釈を返し、前へ進む。
心静かに、思う存分、お詣りさせていただいた。
その後、御朱印をいただき、思うところあり絵馬も求め、お願い事を書いてお預けした。
神社に一礼し、外へ出ると、もうすでに長蛇の列。ひえ〜、こんな短時間でもうこんなに…あまり並ばずにお詣りできた幸運に、心の中で神様に再びのお礼。
その後、浅草へ。
友人から「かなり時間がおす!」と連絡があったときは、今日の予定が狂うなぁ、と思ったものの、そのおかげでかねてからお詣りしたかった小網神社の参詣が叶った。なんてラッキー。
…と思いつつ、亀十へ。すでに通路に並んでいる人数は20人を超えている。この様子だと20分くらいかなぁ、と思って並ぼうとしたらお店の人が飛んできて、この列のずーっと後ろに列があるので、その後ろが最後尾なのだ、と説明。
慌ててその列の後ろに小走りで向かってみれば、その列すでに15名ほど。合計50名ほどの人が並んでいるではないか。
(え〜、こりゃ失敗したか、悠長に人形町に寄り道してる場合じゃなかったかぁ)と心の内でつぶやいていたら、後ろから「あらぁ、なんだお店もう開いてたの?30分前に行こうかと思ったんだけど、まだ開いてないかと思って家で時間合わせてきたのよ、こんな並ぶんだったら早く出て来りゃよかったのに、あらまぁ、失敗しちゃったわ」とお話しなさっているおばさまが。
入院のお見舞いにしようと思って、自転車飛ばしてきたのよ、とおっしゃるそのおばさまに、つい、あら、いいですね、亀十のどら焼きがお見舞いだなんて、喜ばれますね…とそれとなく話を返したら、そうなのよ、ここのはねぇ…と話が続いてしまった。
不思議だ。不思議でもないのか?
話し始めたおばさま、誰が入院してるかって実はうちの主人なんですけどね…と、そこから始まって、どら焼きを買い終わる前には、おばさまのお子たちの話とお孫さんの話、お家の話、私の父の脳梗塞の話から若き日の留学の話まで、なんだか人生のあらすじをチラッとお互い見せ合いっこし、「いろいろありますね」「こんなになるだなんて思いもよらなかったわ」「でも楽しく生きていきましょうね」なんてお互いにエールを送り合って別れる、という感じになった。
長らくお詣りしたいなと思っていた神社に参詣が叶ったこと。
(朝だから)時間をかけずに入手できると思ったどら焼きの、長蛇の列に並んだこと。
そこで件のおばさまに出会い、思いがけずお互いの人生を垣間見て、励まし合えたこと。
友人が展示会の入場にかかる時間の目算を誤らなければ、これすべて、起こり得なかった出来事。
人生、たまにこんな素敵なプレゼントをもらえることがある。
すべて、ご縁でございます(^^)。