【デリバティブ取引】

・デリバティブ:金融商品(株式or債券等)から派生した商品

・有価証券を持ち続けたいが、価値が下がるリスクに備えたい/価値下がっても損しない方法

・デリバティブ取引:株式や債券等、従来から存在する金融商品から派生して生まれた金融商品の取引

eg株式自体を売買するのではなく、株式を売買する権利を商品化し、権利を売買する取引

・種類(非常に多い)

①先物取引:将来の一定の時点に、特定の商品を一定の価格で一定の数量だけ売買の約束取引

②オプション取引:将来の一定の時点に、一定の価格で特定の商品を売買する権利を売買する取引

③スワップ取引:金利や通貨から生じるキャッシュフローを交換する取引

・債券先物取引

・金利スワップ取引

・デリバティブ取引の特徴:

①現物取引(株式or債券自体を売買する取引)と組み合わせ、現物取引から生じるリスク(不確実性)を低下できる(リスクヘッジ)

②投機目的、少ない手元で多額の利益を獲得できる、損失も多額になる可能

・債券先物取引

・委託証拠金:先物取引の契約時に証券会社に保証金として支払う金額

・反対売買:買い建てたときは売る(転売する)、売り建てた時は買う(買い戻す)

・買い建てる:先物取引に新規に買い注文を出す

・売り建てる:新規に売り注文を出す

eg×2.2.1、契約、国債先物1000円(10口)を1口92円で買い建て、委託証拠金30円を現金で支払った

契約時:国債先物の仕訳無し、証券会社に保証金(委託証拠金)を差し入れる

委託証拠金の処理:【先物取引差入証拠金(資産)30/現金30】

×2.3.31、決算、@92円で買い建てた国債先物の相場が@96に上昇

決算時:先物損益(営業外費用or収益)の処理(先物相場が変動した時or決算時に相場の変動によって生じた損益)

→時価評価替え=値洗い

→先物損益(貸方残高)=収益、先物損益(借方残高)=費用

・先物取引は、将来予め決められた価格で決済する約束、どんな相場が変動しても@92で国債先物を買う

・決算日に決済すれば、@4の利益を得る、先物利益計上(=@92で買って、@96で売った)

・先物利益と先物損失は相殺、【先物損益ac】を使う

【先物取引差金(未収入金)40/先物損益(先物利益)40】

・先物取引差金(借方残高)=未収入金(資産)、(貸方残高)=未払金(負債)

×2.4.1、期首、評価差額(値洗差金)を振戻(しない場合もあり)

翌期首:【先物損益40/先物取引差金40】

×2.4.20、決済、国債先物の相場@99、同額で反対売買による差金決済を現金で行った

・決済時:買いと売りが同時=反対売買

①買い建ての決済(売る)を転売する②売り建ての決済(買う)を買い戻し

①先物取引差入証拠金の取消(契約時支払った委託証拠金戻ってくる)

【現金30/先物取引差入証拠金30】

②@92で買い建てた国債先物を@99で売却した。差額(受取額or支払額)のみを現金で決済

【現金70/先物損益70】

→売却代金と購入代金の差額のみが決済=差金決済

・金利スワップ取引:変動金利と固定金利の交換取引

お客様→固定金利→銀行

お客様←変動金利←銀行

・想定元本:利息の計算基礎

・変動金利:その時の経済情勢で変わる金利

・固定金利:借入時の金利が最終返済時まで適用の金利

・スワップ:交換

eg銀行から変動金利で10000円を借入、利払日=決算日

・×1.4.1 金利変動リスクを回避するため、想定元本10000円、変動金利と固定金利(年3%)のスワップ契約済

契約時:仕訳無し

・×2.3.31 利払日、同日の変動金利年4%、現金決済

利払日:銀行に変動金利の利息を支払う(変動金利で借入のため)

①普通の利息支払処理:【支払利息400/現金400】

②銀行から変動金利の利息を受取400、銀行に固定金利の利息を支払300

→金利差額のみ決済

【現金100/支払利息or金利スワップ差損益100】

→借入金の利息に加減するため

※実質:①+②【支払利息300/現金300】

・×2.3.31 決算日、金利スワップ時価(金利スワップ資産):188円

・金利スワップ取引:決算時、金利スワップの価値を時価評価

→金利スワップ資産or金利スワップ負債で計上

・金利スワップ資産/金利スワップ差損益188(営業外収益)

・金利スワップ差損益ac:借方残高=損、貸方残高=益

・ヘッジ取引:
①国債現物購入同時、国債の先物取引で、国債現物の価格変動リスクを回避=リスクヘッジ出来る
②ヘッジ対象(現物)の価格変動リスクを回避=ヘッジのため、デリバティブ(先物)にヘッジ手段使う=ヘッジ取引
③現物取引(買ってから売る)と逆の取引(売ってから買う)すれば、現物取引で損失が生じても、損失の額を一定額に抑えられる

・現物購入時@95、現物売却時@92→損失@3
・先物契約時(売建)@97、先物決済時(買戻)@93→利益@4

・ヘッジ会計:一定要件を満たすヘッジ取引に、ヘッジ対象(現物の国債)から生じる損益と、ヘッジ手段(国債先物)から生じるそんえきを同一会計期間に認識し、どれだけリスクを回避できたかというヘッジ効果をFSに反映される会計処理

・ヘッジ会計処理方法
①(原則)繰延ヘッジ:
時価評価されるヘッジ手段(国債先物)にかかる損益をヘッジ対象(現物の国債)にかかる損益が認識されるまで純資産で処理
②(例外)時価ヘッジ:
ヘッジ手段(国債先物)にかかる損益を当期損益で認識


eg:
・国債現物:全部純資産直入法
・国債先物取引:ヘッジ取引該当
・ヘッジ会計(繰延ヘッジ)適用
・×2/2/20、国債10口(その他有価証券)を95円/口で現金購入、価格変動リスク回避のため、国債先物10口を97円/口で売り建て、30円の委託証拠金を現金払済
・×2/3/31、決算、国債現物の相場:93円/口、国債先物の相場:93.5円/口
・×2/4/1、期首、評価差額振戻
・×2/4/25、国債現物10口を92円で売却、現金受取、国債先物10口を反対売買、現金で差金決済、決算時の国債先物の相場93円/口

・購入時:(現物=ヘッジ対象)【その他有価証券950/現金950】
・契約時:繰延ヘッジと時価ヘッジは同じ処理
(先物=ヘッジ対象)【先物取引差入証拠金30/現金30】
※他のデリバティブ取引(スワップ取引等)をヘッジ手段したのも、同様に現物(ヘッジ対象)とヘッジ手段を分けて処理

・決算時:その他有価証券は時価評価
(ヘッジ対象=国債現物)購入時@95×決算時@93→評価損@2
【その他有価証券評価差額金20/その他有価証券20】→BS
(ヘッジ手段=国債先物)契約時@97×決算時@93.5→先物損益@3.5

【先物取引差金35/繰延ヘッジ損益35】→BS

※現物で損益計上してないため、先物も損益計上無し

※繰延ヘッジ処理:時価評価のヘッジ手段(先物)に損益(評価差額)が生じたら→ヘッジ対象(現物)に損益が認識後、ヘッジ手段(先物)の損益計上
=先物時価評価差額の計上:現物損益の認識後(現物の国債を売却して「投資有価証券売却損益」が生じた後or部分純資産直入法で「投資有価証券評価損」が計上された後)

・翌期首:その他有価証券の決算評価差額は翌期首は要振戻

(ヘッジ対象:現物)【その他有価証券20/その他有価証券評価差額金20】

(ヘッジ手段:先物)【繰延ヘッジ損益35/先物取引差金35】

・売却時(現物)

※その他有価証券の取得原価と売却価額の差額=売却損益

・購入時@95×売却時@92→売却損@3
【現金920+投資有価証券売却損益30/その他有価証券950】

・決済時(先物)

・契約時@97×決済時@93→利益@4

【現金30/先物取引差入証拠金30】

【現金40/投資有価証券売却損益40】

※通常の先物取引=ヘッジ会計不適用:先物損益acで計上

※ヘッジ会計適用:ヘッジ対象(現物)で生じた損益acと同じac使用

※ヘッジ取引はヘッジ対象(現物)の価格変動リスクを回避するため、その他効果(国債の売却をヘッジしている)をFSに適切に表す

※先物損益acで処理もあり

・時価ヘッジ(例外):ヘッジ対象(現物)の評価差額をPLに反映、ヘッジ手段(先物)の時価評価損益も同一会計期間(当期)に認識

eg決算時の仕訳、その他有価証券の評価差額:全部純資産直入法でも「その他有価証券評価差額金」でなく「投資有価証券評価損益」で計上

・購入時(現物)@95、契約時(先物)@97×決算時(現物)@93、(先物)@93.5

(ヘッジ対象:現物)【投資有価証券評価損益/その他有価証券20】

→全部純資産直入法でも評価差額=投資有価証券評価損益

(ヘッジ手段:先物)【先物取引差金/投資有価証券評価損益35】

・オプション取引:特定の金融商品(株式or債券or金利)、将来一定時点までに、予め決めた価格で買う権利(コールオプション)or売る権利(プットオプション)を売買する取引

・4通り

①コールオプションの買い(基本)

②コールオプションの売り

③プットオプションの買い

④プットオプションの売り

・契約時=コールオプションの買建、オプション料を支払

eg×2/3/1、株価上昇の見込でA社株式のコールオプション(権利行使価格@2000×1株)を購入、オプション料100円を現金で支払った、権利行使期日×2/5/31

【オプション資産(or前渡金)100/現金100】

・決算時、オプション価値の時価評価、評価差額=オプション差損益(営業外)

eg×2/3/31決算、コールオプションの時価250円

【オプション資産150/オプション差損益150】=250‐100

・翌期首、評価差額の振戻

【オプション差損益150/オプション資産150】

・決済時、方法①反対売買によるオプションの転売

→コールオプションの時価上昇時、買手がコールオプションの転売後、計上済のオプション資産を減少、減少するオプション資産とコールオプションの時価の差額:オプション差損益

eg×2/4/10コールオプションの時価500円、反対売買(転売)により現金で決済

【現金500/オプション資産100+オプション差損益400】

方法②権利行使によるオプション対象(A社株式)の売買
方法③権利の放棄

・オプション対象(A社株式)の時価が権利行使価格より低い時、買う権利を放棄できる。契約時支払ったオプション量は戻らない→支払ったオプション量=当期損失(オプション差損益に振替)→損失抑えられる

まとめ

・先物取引

①契約時:委託証拠金の処理

【先物取引差入証拠金30/現金30】

②決算時:時価評価、差額:先物損益の処理

【先物取引差金40/先物損益40】

③翌期首:先物損益の振戻

【先物損益40/先物取引差金40】

④決済時:先物取引差入証拠金の回収+決済差額は先物損益の処理

【現金30/先物取引差入証拠金30】

【現金70/先物損益70】

・金利スワップ取引

①契約時:仕訳無

②利払時:金利差額は支払利息、受取利息or金利スワップ差損益で処理

【支払利息400/現金400】

【現金100/支払利息100】

③決算時:金利スワップ価値の時価評価、金利スワップ資産or金利スワップ負債の計上

【金利スワップ資産188/金利スワップ差損益188】

・ヘッジ会計(先物取引をヘッジ手段にする)

①購入時(現物)【その他有価証券950/現金950】

②契約時(先物)【先物取引差入証拠金30/現金30】

③決算時:原則は繰延ヘッジ=ヘッジ手段(先物)の損益はヘッジ対象(現物)の損益が認識されるまで純資産にする

(現物の時価評価)【その他有価証券差額金20/その他有価証券20】

(先物の時価評価)【先物取引差金35/繰延ヘッジ損益35】

④翌期首:振戻

⑤売却時(現物):【現金920+投資有価証券売却損益30/その他有価証券950】

⑥決済時(先物):

【現金30/先物取引差入証拠金30】

【現金40/投資有価証券売却損益40】

・デリバティブ取引

①先物取引:

将来一定時点に、特定の商品を一定価格、一定数量だけ売買できる約束の取引

②オプション取引:将来一定時点に、特定の商品を一定価格で売買する権利の売買取引

③スワップ取引:金利や通貨から生じるキャッシュフローを交換する取引

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