【税効果会計】

・PLの税引前当期純利益(会計上の収益と費用で計算)とPL末尾の法人税等(税法で計算)適切に対応=税効果会計

・法人税等=課税所得×税率
・課税所得:税法上の利益
・損金:税法上の費用
・益金:税法上の収益
・実効税率:法人税のほか、住民税、事業税を加味した実質的な税率

<税効果会計>
・会計:企業の実態の適切開示が求められる
・税法:課税の公平が目的、同じ条件なら損金の額が同じにする
・会計上は備品の使用状態に合わせて適切と思われる耐用年数4年、税法上の法定耐用年数で計算した減価償却費を超える金額は損金として計上できない
⇒会計上の減価償却費1000(=4000/4)、税法上の減価償却費800(=4000/5)、課税所得の計算上、200円は損金でない
・耐用年数まで使用した場合の全体期間を通した減価償却費は会計上も税法上も同額になる
⇒減価償却費の差異は生じてもいつかは解消
・会計上の減価償却費が少ない時700円、税法上の減価償却費800円、課税所得は700円、差異無し

・一時差異(いつか解消、税効果会計対象=法人税等の調整)
①棚卸資産の評価損
②引当金の繰入限度超過額
③減価償却費の償却限度超過額
④積立金方式による圧縮記帳
⑤そのた有価証券の評価差額
・永久差異
①受取る配当金の益金不算入額
②交際費の損金不算入額
③寄付金の損金不算入額

・損金不算入:〇会計上費用、×税法上損金
・損金算入:×会計上費用、〇税法上損金
・益金不算入:〇会計上収益、×税法上益金
・益金算入:×会計上収益、〇税法上益金

eg:当期収益10000円、当期費用6000円、
当期用に減価償却費1000円含む、200円は法人税法上の損金として認めない
法人税等の実効税率40%

税引前当期純利益(会計上利益)=収益‐費用=10000‐6000=4000
課税所得(税法上利益)=益金‐損金=10000‐(6000‐200)=4200

【法人税等1680/未払い法人税等1680】PLの法人税等に記載=当期納付額=4200×40%

会計上の法人税等=1600(4000×40%)
PLに記載した法人税等1680円→あるべき法人税等1600円に調整、法人税等の金額を減算
⇒法人税等の調整は法人税等調整額acで処理
<PL>
Ⅰ収益10000
Ⅱ費用6000
税引前当期純利益4000(会計上の金額)
法人税等1680(税法上の金額:4200×40%)
当期純利益2320

<PL>
Ⅰ収益10000
Ⅱ費用6000
税引前当期純利益4000
法人税、住民税及び事業税1680
法人税等調整額△80(1600)
当期純利益2400
⇒税効果会計によって、法人税等が会計上あるべき金額1600

・税効果会計の適用方法
①資産負債法:
・税効果会計に係る会計基準、
・処理を考える時、費用収益、損金益金の差額で考えた方が楽
・会計と税法の差異をBSに視点で認識方法、差異を会計上の資産負債と税法上の資産負債との差額として考える
・税効果会計で適用する法人税等の税率=差異が解消時の税率(将来の税率)
②繰延法
・会計と税法の差異をPL視点で認識方法、差異を会計上の収益費用と税法上の益金損金との差額として考える
・税効果会計で適用する法人税等の税率=差異が発生した時の税率(過去の税率)

・棚卸資産の評価損
・商品評価損の損金不算入と税効果会計
eg,当期決算、取得原価500円の商品の評価損50円、全額が税法上損金不算入、法人税等の実効税率40%
・会計上の費用が50円、税法上の損金が0円、差額分だけ課税所得(税法上の利益)が多くなる、法人税等が多く計上
・商品評価損が損金不算入時、会計上の費用より、税法上の損金が少なくなるため、当期の納付税額(税法上の金額)があるべき法人税等(会計上の金額)より多く計算される
⇒PLに記載された法人税等を減算調整
・会計上の費用より、税法上の損金が少ない⇒税法上の法人税等が多く計上⇒法人税等を減算調整

・差異が生じた時の税効果会計の仕訳
①会計上の仕訳を考える
商品評価損の計上【商品評価損50/繰越商品50】
②会計上の仕訳のうち、費用or収益acに注目、費用or収益が計上されてる逆側に法人税等調整額を記入
③金額は会計上の金額のうち、損金不算入額に実効税率を掛けた金額
④法人税等調整額の逆側に繰延税金資産(借)or繰延税金夫妻(貸)
【商品評価損50/繰越商品50】
【繰延税金資産/法人税等調整額20】50×40%

・(当期)会計上の商品評価損(費用)50円、商品金額450円、税法上の商品評価損0円、商品金額500円
・(次期)販売した時、会計上の売上原価(費用)450円、税法上の売上原価(損金)500円
⇒全体期間を見ると、会計上の費用(500円)と税法上の損金(500円)が一致
⇒商品評価損の損金不算入の差異は商品販売した時or処分した時に解消する
⇒一時差異の解消時、差異発生時と逆仕訳で、繰延税金資産を取消
・差異が解消した時の税効果会計の仕訳:【法人税等調整額/繰延税金資産20】

・将来減算一時差異と将来加算一時差異
・商品評価損(費用)=損金不算入:当期の課税所得(税法上の利益)が多く計上、
次期販売した時=差異解消:税法上の売上原価(損金)多く計上、課税所得(税法上の利益)少なくなる
・将来減算一時差異:差異発生時=法人税等の前払い状態=繰延税金資産計上、将来(差異解消時)の課税所得を減らす効果の一時差異
・将来加算一時差異:差異発生時=法人税等の未払状態=繰延税金負債計上、将来(差異解消時)の課税所得を増やす効果の一時差異

・棚卸資産の評価損

・期末に①法人税等計上②法人税等調整⇒前期差異解消と当期差異の法人税等調整を一括行う

eg前期決算、商品評価損50円、全額損金不算入(繰延税金資産20円)、当期全て販売、当期末の商品評価損60円、全額損金不算入、法人税等実効税率40%

①前期末の税効果会計
【繰延税金資産20/法人税等調整額20】

②当期末の商品評価損計上
【商品評価損60/繰越商品60】

③当期末税効果会計【繰延税金資産4/法人税等調整額4】

前期分差異解消【法人税等調整額20/繰延税金資産20】(販売)

当期分差異計上【繰延税金資産24/法人税等調整額24】

・前期差異(繰延税金資産20円)は当期商品販売で解消、繰延税金資産から前期の20円を差し引いた金額が当期新に計上する繰延税金資産

・BSの繰延税金資産=20+4=24円

・貸倒引当金の処理(差額補充法)似てる

・貸倒引当金の繰入限度超過額

・税法上、貸倒引当金の繰入額(限度額)を超える分(損金不算入)に法人税等の調整を行う

・貸倒引当金取崩=差異解消=逆仕訳

eg税効果会計仕訳、法人税等の実効税率40%

第1期期末、貸倒引当金200円繰入、うち50円は損金不算入

第2期期末、貸倒引当金280円設定、うち80円は損金不算入、期中に売掛金(第1期発生)が貸し倒れ、第1期設定した貸倒引当金を全額取崩

①貸倒引当金の設定:【貸倒引当金繰入(損益項目)200/貸倒引当金200】

②税効果会計:【繰延税金資産20/法人税等の調整額20】=50×40%

③第1期差異解消と第2期差異処理一括行う

・第1期差異解消(貸倒発生)【法人税等調整額20/繰延税金資産20】

・第2気差異処理【繰延税金資産32/法人税等調整額32】=80×40%

⇒【繰延税金資産12/法人税等調整額12】

BS繰延税金資産=20+12=32

・減価償却費の償却限度超過額

・税法上減価償却費(限度額)の超過分、損金不算入

eg税効果会計仕訳、備品の法定耐用年数5年、法人税等の実効税率40%

第1期期末、備品4000円、定額法、耐用年数4年、残存価額0、減価償却済

第2期期末、備品4000円、定額法、耐用年数4年、残存価額0、減価償却済

・会計上の減価償却費1000円(4000/4年)、税法上の減価償却費(限度額)800円(4000/5年)

⇒限度額超過分200円に法人税等の調整を行う

①減価償却費計上【減価償却費(損益項目)1000/減価償却費累計額1000】

②税効果会計【繰延税金資産80/法人税等調整額80】=200×40%

③第2期も①+②

【繰延税金資産80/法人税等80調整額】

⇒第2期のBS繰延税金資産=80+80=160

・第1期差異解消と第2期差異処理(税効果)一括行う

・備品売却or除却=差異解消=逆仕訳

・その他有価証券の評価差額

・全部純資産直入法の税効果会計

eg当期決算、その他有価証券(取得原価1000円)、時価800円に評価替済、全部純資産直入法、法人税等の実効税率40%

①全部純資産直入法評価差損計上:

【その他有価証券評価差額金(BS項目)200/その他有価証券200】

・費用収益項目出ない→「法人税等調整額」の代わりに、「その他有価証券評価差額金」で調整

②税効果会計

【繰延税金資産80/その他有価証券評価差額金80】=200×40%

・時価1400円に上昇時=評価差益

①全部純資産直入法の評価差益計上

【その他有価証券400/その他有価証券評価差額金(BS純資産項目)400】

②税効果会計

【その他有価証券評価差額金160/繰延税金負債160】=400×40%

・ヘッジ会計適用時、繰延ヘッジ損益(純資産)も税効果会計適用、その他有価証券の評価差額と同様に「繰延ヘッジ損益」で調整

・部分純資産直入法の税効果会計

①評価差益:その他有価証券評価差額金=全部純資産直入法⇒その他有価証券評価差額金

②評価差損:投資有価評価損⇒法人税等調整額

評価差額計上:【投資有価証券評価損(損益項目)200/その他有価証券200】

税効果会計:【繰延税金資産80/法人税等調整額80】=200×40%

・翌期首:洗替法=評価差額振戻

①全部純資産直入法+部分純資産直入法の評価差益⇒その他有価証券評価差額金で調整⇒翌期首振戻

【その他有価証券200/その他有価証券評価差額金200】

【その他有価証券評価差額金80/繰延税金資産80】

②部分純資産直入法の評価差損⇒法人税等調整額で調整⇒翌期首振戻無し

【その他有価証券200/投資有価証券評価損200】

・積立金方式の圧縮記帳:国庫補助金or工事負担金の受取、固定資産取得時→圧縮記帳

・圧縮記帳方法①直接減額方式(固定資産の取得原価を直接減額)②積立金方式(固定資産の取得元を直接減額せず、圧縮積立金を計上)

・積立金方式は会計上、圧縮損を計上しない(代わりに圧縮積立金を積み立てる)、税法上圧縮損を計上

⇒積立金方式の会計上資産の額(費用の額)と税法上資産の額(損金の額)に差異発生、税効果会計適用

eg法人税等の実効税率40%

①×1/4/1、国庫補助金8000円を現金で受入

国庫補助金の受入時【現金8000/国庫補助金収入(特別利益)8000】

②×2/3/31、国庫補助金に自己資金加え、建物16000円購入、現金支払、国庫補助金相当額は積立金方式で圧縮記帳

固定資産購入時【建物16000/現金16000】

(積立金方式は固定資産の取得原価を直接減額しない)

③×2/3/31、法人税法上、国庫補助金相当額が損金算入、税効果会計処理、圧縮積立金(税効果相当額控除後)を積み立てた

④×3/3/31、建物は定額法、法定耐用年数20年、残存価額0で減価償却、圧縮積立金に減価償却費相当額を取崩

決算(第1期)

・税法上の国庫補助金相当額が損金算入、税法上の購入時仕訳(実際しない):

【建物16000/現金16000】

【固定資産圧縮損(特別損失)8000/建物8000】

・第1期会計上利益8000円(国庫補助金収入)、税法上利益0(国庫補助金収入‐固定資産圧縮損)

⇒差額8000円は税効果会計適用

・国庫補助金受取時:【現金8000/国庫補助金収入(損益項目)8000】

・決算時【法人税等調整額3200/繰延税金負債3200】=8000×40%

・国庫補助金を積立金方式処理時、決算時、繰越利益剰余金を減額して圧縮積立金を積み立てる、税効果会計適用時、税効果相当額を控除した後の金額を積み立てる

【繰越利益剰余金4800/圧縮積立金4800】=8000×(100%-40%)

ーーーーーー

・会計上購入時仕訳:【建物/C 16000】

・税法上購入時仕訳:【建物/C 16000】+【固定資産圧縮損8000/建物8000】

・税法上決算:【法人税等調整額3200/繰延税金負債3200】

ーーーーーー

決算(第2期)

・減価償却費の計上と税効果会計

・第1期期末に建物購入のため、第2期より減価償却行い

・会計上:【減価償却費/減価償却累計額800】=16000/20年

・税法上(圧縮記帳のため、圧縮記帳後の金額(取得原価)8000円)

【減価償却費400/減価償却累計額400】

→差額400円、第1期生じた一時差異の解消分なので、第1期に計上した繰延税金負債を減額する

→税効果:【繰延税金負債/法人税等調整額160】=(800-400)×40%

※第1期は固定資産圧縮損の分だけ税法上の損金が多くなったが、第2期はその分、税法上の減価償却費が少なくなるので、差異解消される

・圧縮積立金の取崩

・第1期期末に積み立てた圧縮積立金のうち、会計上と税法上の減価償却費差額400円から税効果相当額160円を控除した金額を取崩

【圧縮積立金/繰越利益剰余金240】

=(800-400)×(100%-40%)or (800-400)-160

・BS上相殺表示:
①繰延税金資産:「資産の部」「固定資産」「投資その他の資産」
②繰延税金負債:「負債の部」「固定負債」
eg,税効果会計適用結果、繰延税金資産と繰延税金負債はBS上の表示
・繰延税金資産:
①商品評価損の損金不算入300円
②減価償却費の償却限度超過額500円
・繰延税金負債:その他有価証券の評価差額600円
⇒繰延税金資産=200円(300+500‐600)

・繰延税金資産の回収可能性:繰延税金資産が将来の税金支払額を減額する効果あるか否か
・繰延税金資産(資産)は回収可能性(資産性)あるのみ計上⇒回収可能性の検討が必要
・回収可能性が見込まれない繰延税金資産:将来減算一時差異生じても、繰延税金資産計上できない
eg,当期発生将来減算一時差異(減価償却費の償却限度超過額)1000円の回収可能性を検討、400円が将来の課税所得で回収困難、実効税率40%
【繰延税金資産240/法人税等調整額240】=(1000‐400)×40%
・回収可能性の判断要件(いずれか可能)
①収益力に基づく課税所得の十分性(将来課税所得=儲けの発生可能性高い)
②タックスプランニングの存在(含み益がしている固定資産or有価証券を売却し、利益を出す、具体的なタックスプランニング存在か)
③将来加算一時差異の十分性(将来減算一時差異が解消する年度に将来加算一時差異の解消が見込まれるか)

・回収可能性の見直し(毎期)
①繰延税金資産の修正差額処理:見直しで生じた修正差額は見直した年度の法人税等調整額に加減する
eg,将来の課税所得で回収困難の将来減算一時差異400円が回収可能性見直し、全額回収可能
【繰延税金資産160/法人税等の調整額160】=400×40%
※全額回収可能のため、繰延税金資産の追加計上
※見直し年度の法人税等調整額に加減
eg,繰延税金資産の回収可能性見直し、前期計上した100円が回収困難
【法人税等調整額100/繰延税金資産100】
※見直し年度の法人税等調整額に加減
※回収可能性認められない繰延税金資産は取崩
② 繰延税金資産の修正差額処理:
資産or負債の評価替えで生じた評価差額が直接純資産に計上時=「その他有価証券評価差額金」生じた時、
見直しで生じた修正差額は見直した年度の「その他有価証券評価差額金」に加減する

eg,×2/3/31、その他有価証券(帳簿価額5000円)の時価4000円に評価替え(全部純資産直入法、実効税率40%)繰延税金資産の回収可能性は問題無し

①時価評価【その他有価証券評価差額金1000/その他有価証券1000】
②税効果【繰延税金資産400/その他有価証券評価差額金400】
×2/4/1、翌期首の再振替仕訳
③翌期首
時価評価の再振替【その他有価証券1000/その他有価証券評価差額金1000】
税効果の再振替【その他有価証券評価差額金400/繰延税金資産400】
×3/3/31、その他有価証券(帳簿価額5000円)、時価3000円に評価替え(全部純資産直入法、実効税率40%)業績悪化、繰延税金資産の回収が全額困難
時価評価【その他有価証券評価差額金1400/その他有価証券1400】
税効果仕訳無し


・税率変更
・税効果会計の会計基準は資産負債法を採用するので、繰延税金資産or繰延税金負債の金額は一時差異が解消する期の税率で計算
→法人税等の税率変更時、既に計上された繰延税金資産or負債を変更後の税率で再計算必要
①法人税等調整額が計上された時:税率変更で繰延税金資産or負債の金額が増減時、税率変更年度の法人税等調整額を修正
eg,第1期期末、将来減算一時差異(減価償却費の償却限度超過額)500円発生、税効果会計適用、第1期法人税等の実効税率40%
【繰延税金資産200/法人税等調整額200】=500×40%
第2期期末、将来減算一時差異(減価償却費の償却限度超過額)1000円発生、税効果会計適用、第2期法人税等の実効税率30%
【繰延税金資産100/法人税等調整額100】→法人税等の実効税率を変更した年度の法人税等調整額に加減
※変更後の税率30%で第2期期末の繰延税金資産を計算し、第1期期末に計上した繰延税金資産との差額を追加計上
※第1期期末:200円、第二期期末:1000×30%=300円、差額100円
②評価差額が純資産に計上された時

・資産or負債の評価替えから生じた評価差額が直接純資産に計上=「その他有価証券評価差額金」計上、変更後の税率で繰延税金資産or負債を計算、修正差額は評価差額「その他有価証券評価差額金」で処理
eg,第1期期末、その他有価証券(帳簿価額1500円)を時価1000円に評価替え、全部純資産直入法、法人税等の実効税率40%

評価替え【その他有価証券評価差額金/その他有価証券500】

税効果【繰延税金資産/その他有価証券差額金200】=500×40%

翌期首の再振替

【その他有価証券/その他有価証券評価差額金500】

【その他有価証券差額金/繰延税金資産200】

・次期期末、その他有価証券(帳簿価額1500円)を時価1200円に評価替え、全部純資産直入法、法人税等の実効税率30%

評価替え【その他有価証券評価差額金/その他有価証券300】=1500‐1200

税効果【繰延税金資産/その他有価証券評価差額金90】=300×30%

→変更後の税率に基づいて金額を計算以外、いつもの評価替えと税効果会計適用の仕訳



【まとめ】

・税効果会計の対象となる差異、ならない差異

・税効果会計の対象:一時差異

①棚卸資産の評価損

②引当金の繰入限度超過額

③減価償却費の償却限度超過額

④積立金方式による圧縮記帳

⑤その他有価証券の評価差額

・税効果会計対象外:永久差異

①受取配当金の益金不算入額

②交際費の損金不算入額

③寄附金の損金不算入額


・法人税等調整額のPL表示

Ⅰ収益10000

Ⅱ費用6000

税引前当期純利益4000

法人税、住民税及び事業税1680

法人税等調整額△80 (1600)←借方残高:+、貸方残高:△

当期純利益2400


・その他有価証券の評価差額以外の税効果会計

①差異発生時:【繰延税金資産/法人税等調整額】

or【法人税等調整額/繰延税金負債】

②差異解消時:【法人税等調整額/繰延税金資産】

or【繰延税金負債/法人税等調整額】


・その他有価証券の評価差額の税効果会計

・差異発生時

①全部純資産直入法+評価差損

【その他有価証券評価差額金/その他有価証券200】

【繰延税金資産/法人税等調整額80】

②全部純資産直入法+評価差益

【その他有価証券/その他有価証券評価差額金400】

【その他有価証券評価差額金/繰延税金負債】

③部分純資産直入法+評価差損

【投資有価証券評価損/その他有価証券200】

【繰延税金資産/法人税等調整額80】

④部分純資産直入法+評価差益

【その他有価証券/その他有価証券評価差額金400】

【その他有価証券評価差額金/繰延税金負債160】

・翌期首

①全部純資産直入法+評価差損

【その他有価証券/その他有価証券評価差額金200】

【その他有価証券差額金/繰延税金資産80】

②全部純資産直入法+評価差益

【その他有価証券評価差額金/その他有価証券400】

【繰延税金負債/その他有価証券評価差額金160】

③部分純資産直入法+評価差損

【その他有価証券/投資有価証券評価損200】

④部分純資産直入法+評価差益

【その他有価証券評価差額金/その他有価証券400】

【繰延税金負債/その他有価証券評価差額金160】


・繰延税金資産/負債の表示

①繰延税金資産:資産の部「投資その他の資産」

②繰延税金負債:「固定負債」

③繰延税金資産と負債は相殺できる


NO17.①税効果会計の仕訳、②各年度期末の繰延税金資産or負債の金額③法人税等の実効税率40%
・×1年度期末、取得原価10,000円の商品、商品評価損1000円計上、税法上、全額損金不算入、期首一時差異なし
・×2年度期末、×1年度に評価損を計上した商品はすべて廃棄、取得原価20,000円の商品は商品評価損1800円計上、税法上全額損金不算入
①×1年度期末:
会計上【商品評価損1000/繰越商品1000】
税法上【繰延税金資産400/法人税等調整額400】
②×2年度期末
1年度期末の差異解消【法人税等調整額400/繰延税金資産400】
2年度期末の差異発生【繰延税金資産720/法人税等調整額720】

NO18.①税効果会計仕訳②各年度期末の繰延税金資産or負債の金額③法人税等の実効税率40%
・×1年度期末、売掛金20,000円、1200円の貸倒引当金を繰り入れた、税法上の繰入限度額200円、期首一時差異無し
・×2年度期末、×1年度期末の売掛金が貸倒、貸倒引当金1200円を取崩、×2年度期末の売掛金28,000円、1680円の貸倒引当金を繰り入れた、税法上の繰入限度額280円
①×1年度期末
会計上【貸倒引当金繰入1200/貸倒引当金1200】
税法上【貸倒引当金繰入200/貸倒引当200】差額1000
税効果【繰延税金資産400/法人税等調整額400】
②×2年度期末
貸倒発生【貸倒引当金1200/売掛金1200】
1年度期末の差異解消【法人税等調整額400/繰延税金資産400】
会計上【貸倒引当金繰入1680/貸倒引当金1680】
税法上【貸倒引当金繰入280/貸倒引当金280】差額1400
税効果【繰延税金資産560/法人税等調整額560】

NO19.税効果仕訳、法人税等の実効税率40%
・×1年度期末、×1年度期首に車両450,000円購入、定額法(残存0円、耐用年数3年)、税法上法定耐用年数5年
・×3年度期末、車両を50,000円で売却
①×1年度期末
会計上【減価償却費150000/減価償却費累計額150000】
税法上【減価償却費90000/減価償却費累計額90000】差額60000
税効果【繰延税金資産24000/法人税等調整額24000】
②×2年度期末
会計上【減価償却費150000/減価償却費累計額150000】
税法上【減価償却費90000/減価償却費累計額90000】差額60000
税効果【繰延税金資産24000/法人税等調整額24000】
③×3年度期末
会計上【減価償却費150000+減価償却累計額300000+現金50000/車両450000+売却益50000】
差異解消【法人税等調整額48000/繰延税金資産48000】

No20.仕訳、法人税等の実効税率40%
・×1年度期末、保有その他有価証券↓(全部純資産直入法)
取得原価:A=8000円、B=6500円
期末時価:A=7600円、B=7000円
・×2年度期首、評価差額の振戻処理

NO.21、仕訳、法人税等の実効税率40%
・×1年度期末、保有その他有価証券↓(部分純資産直入法)
取得原価:A=8000円、B=6500円
期末時価:A=7600円、B=6600円
・×2年度期首、評価差額の振戻処理、法人税等調整額は期末計上

NO.22仕訳、法人税等の実効税率40%
・×1/4/1、国庫補助金400,000円を現金で受取
・×2/3/31、国庫補助金に自己資金を加えて、1,000,000円の備品を現金で購入、×2/4/1から使用、国庫補助金相当額は積立金方式で圧縮記帳
・×2/3/31、法人税法上、国庫補助金相当額が損金算入、税効果会計処理、圧縮積立金(税効果相当額控除後)を積み立てた
・×3/3/31、決算、備品を定額法(残存価額0、法定耐用年数5年、間接法)で減価償却、圧縮積立金について減価償却費相当額を取崩

NO23.法人税等の実効税率40%

・当期首現在の繰延税金資産3000円、全て建物の減価償却費にかかるもの

・受取配当金のうち益金不算入金額50,000円

・商品評価損のうち、損金不算入金額6,000円

・売掛金にかかる貸倒引当金繰入額のうち、損金不算入金額2,000円

・前期首に取得した建物450,000円、定額法(残存0円)で減価償却、会計上の耐用年数20年、法定耐用年数30年

・その他有価証券(全て当期購入)の取得原価40,000円、時価45,000円、全部純資産直入法

①BSの繰延税金資産/負債の金額

②BSのその他有価証券評価差額金の金額

③PL完成

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