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俺【No.1】になったよ✩新人ホストだった《雪❅冬矢》君。花束に込めた思い【前編】〈カフェ33冬矢5前〉

カランカラーン。

時刻も18時をとうに過ぎているのに、本当に日が長くなったせいかまだ明るさが残る。それでも確かに夕刻を迎えようとしていた。

私は何故かドキドキ、ワクワクしている。

もちろんいつも、微かながらもどんなお客さんが来てくれるのかと、ドキドキ、ワクワクはしているけれど今日はそうじゃない。

カウンターの後ろに置いてある真っ白い薔薇の花束。ゴールドのリボンがまた輝いている。

そう。

実は先日、たまには私もショッピングとか駅ビルとかに出掛ける。その時に、ふとそういえば最近姿が見えなくなったホストの〈雪冬矢〉君を思い出していた。

 --- 確か、駅の近くのホスト。店の名前が

《俺が1番!🌹君も1番!》とか言っていたわよね。

私は何故かちょっと気になって、冬矢君の店を何気なく探していた。駅からはちょっと入った昼間だったせいか夜の街という程の雰囲気の場所では無かったけれど、全体が黒のイメージに渋い紫で《俺が1番!🌹君も1番!》の文字。たぶん夜になってライトアップされたらきらびやかになるのだろう。そして、店名の上には、その店のホストの写真が飾ってある。たぶん3枚あるから人気というか売り上げ?のNo.1〜No.3ホストなのだろう。

その日は、

 --- へぇ。ここで働いているんだ。冬矢君。

私は、チラッと、その3枚のホストの写真を見ながら、冬矢君の方がいいなぁなんて思いながら思わず微笑んで帰ったのだけれど。

そして、私はその3日後、そう、それが昨日。また冬矢君の店を見に行っていた。何故か足が向いていたのだ。

そして、私は目にしてしまった。

あの店の前に飾られた3枚の写真の真ん中に〈雪冬矢〉君の写真を。ちゃんと名前も書いてあった。【雪❅冬矢】って。

そう、真ん中は【No.1】

何で。

何で。

涙が溢れて来て仕方が無かった。

 --- 冬矢君が、No.1だなんて。

私は、何度も何度も写真を確認して、何度も何度も名前を確認していた。

 --- 確かに〈冬矢〉君だ。頑張ったんだね。

何だか、そこに飾られている写真の冬矢君は、本当に輝いていた。意外とシャイで優しい冬矢君というより何だか怖いぐらい自信に満ちた顔。思わず引き込まれてしまう。

私はしばらく立ちすくんで写真を見ていたけれど、何故か近々冬矢君に逢えるような気がした。

 --- そうだ。

そう思うと、私は何故か駅ビルに向かって歩いていた。

 --- 確か、咲希ちゃんが花屋さんでバイトしているって言っていた。

私は、その事を思い出した。

そして私は、駅ビルに向かい花屋さんを探した。花屋さんは駅ビルに入ってすぐの場所にあった。

 --- ここかしら。

私は、さり気なく店内を探してみた。

 --- あっ。

店の奥の方に居た女の子。私が見ると女の子もこちらを見た。

 --- 咲希ちゃんだ。

そう思った瞬間、咲希ちゃんがこちらに歩いて来た。

「あっ、ママ」

咲希ちゃんは嬉しそうに迎えてくれた。

「咲希ちゃん、ここで働いていたのね。可愛い素敵なお店ね。たまには駅ビルにも来るんだけど」

私が言うと

「可愛いお店でしょ。私も気に入って働かせて貰ってます。ママ、お買い物?」

咲希ちゃんはニコッと微笑んだ。

「そうなのよ。ねぇ、真っ白い薔薇ってあるかしら」

私は、そう聞いていた。

やっぱり、真っ白が好きな冬矢君には真っ白い薔薇が似合いそう。そう、私は何故か花束を買おうとしている。

「真っ白い薔薇?。ちょっと待ってね、ママ」

そう言って咲希ちゃんは店の奥に入って行った。

あの冬矢君の写真を見て、何故か真っ白い薔薇の花束を買いたくなった。不思議なくらい自然に。

「ママ、エーデルワイスとオスカル.フランソワっていう薔薇がありますよ。それでいい?」

咲希ちゃんは、綺麗で真っ白い可愛さもある薔薇を持って来てくれた。

「あら、素敵。エーデルワイスとオスカル.フランソワ?。名前もピッタリ。ねぇ。それを花束にしてもらえるかしら。ちょっと、大きめに」

本当に素敵な薔薇。名前まで知らなかったけれど綺麗だった。

「真っ白い薔薇だけでいいですか?」

そう聞く咲希ちゃんに

「咲希ちゃんに任せるわ」

私は、そう言っていた。

「はぁい、任せてママ。でも、誰かへのプレゼント?。相手の雰囲気がちょっとわかると嬉しいけど」

確かに。

「実は、ホストの男の子に」

「えぇ〜。ホスト?」

サラッと言ったんだけど、咲希ちゃんがかなりビックリしたのには笑ってしまった。

「あ、違う違う。お客さん」

あまり細かい事を言っても、場合によっては誤解されるから。でも、咲希ちゃんはそれだけでさり気なく理解してくれた。

「はぁい。素敵に作って来ますね、ママ」

そう言って咲希ちゃんはまた奥に入って行った。

私は、出来るまで店内を見ていた。

いろいろな綺麗な花がたくさんある。他のお客さんも、見たり買って行ったり。

すると、咲希ちゃんが、真っ白い薔薇の花束を抱えて持って来てくれた。薄いイエロー系の和紙みたいな洒落た薄い紙で囲いゴールドの大きめのリボン。まさしくホストに合いそうな。

「わぁ。素敵。凄いね咲希ちゃん。咲希ちゃんが作ってくれたの?」

あまりにも素晴らしいから、ちょっと働き始めた咲希ちゃんが作ったとは思えなかった。

「ママ。私が作ったんだよ。私好きなの、こういう事」

咲希ちゃんは嬉しそうに言った。

何だか、疑った自分がちょっと恥ずかしかったけど、でも更に嬉しかった。

「凄い、凄いね。素敵な花束に感動しちゃった」

私は、代金を支払い、その大きめの花束を抱えた。

「ママにも似合うよ」

咲希ちゃんは、そう言って笑ってくれた。

「ありがとう、咲希ちゃん。また来てね」

私は、そう言って真っ白い薔薇の花束を抱えて店に向かった。

 --- 冬矢君。本当におめでとう。

本当に、近々、冬矢君に逢えそうなそんな気がしていた。

🌹続く🌹

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