《俺さぁ🌹店辞めるかも》No.1だったホストの〈雪冬矢〉君☆何があったの？☆〈ｶﾌｪ77冬矢10〉

カラン、カラーン。

何だかちょっと不思議なお客さんを見送って、ポカーンとしていたらドアが開いた。

「ちわーっす。ママ」

「えっ、あっ」

冬矢君が、そこに居た。

「何、驚いてるの？」

冬矢君が、不思議そうな顔で言った。

「あ、うん、ちょっと不思議なお客さんが来てたんだけどね」

「なーんだ、俺が一番かと思ったんだけどなぁ。ま、いっか」

そう言うと、冬矢君は、相変わらずカジュアルだけど真っ白な服装で、カウンターの奥に座った。

「おめでとう、ママ。今年も宜しく」

「こちらこそ、冬矢君、宜しくね」

そう言えば、昼前から来るなんて初めてかもしれない。

私は、おしぼりとグラスの水と、そして、冬矢君の真っ白いマイカップにコーヒーを入れて、カウンターに置いた。

「お昼前に来るなんて初めてかもよね。今日は、お休み？」

そう、私が聞くと、

「実はさ、俺、店辞めるかもなんだよ」

「えっ、どうしたの？。喧嘩したの？」

私は咄嗟に言ってしまった。

「あのさぁ、喧嘩って、そんなガキじゃないよ、ママ」

「ごめん、ごめん。びっくりしちゃって」

そう言いながらも、真剣な顔の冬矢君。

「どうしたの？。何があったの？」

すると、冬矢君がコーヒーを一口飲んで言った。

「実はさ、年末からずっと忙しくて」

--- ま、ホストは年末年始やっているのかな。それじゃぁ、忙しいよね

そう思った。

「休みじゃなかったの？」

私が聞くと、

「休みだったよ、店は。あの店長さぁ、変わってるから、ホストで年末年始休みってある？」

--- ん？、それで喧嘩したのかしら。でも、忙しかったって？。

「年末年始やってる店はあるかもしれないわよ。よくわからないけど」

私は、そう言った。

「でさぁ、俺、店辞めるんだよ」

今度は、言い切った。

「辞めるかもじゃなくて、辞めるの？」

私が、煽ったのかしら。

すると、冬矢君がこう言った。

「店長がさぁ、本当に変わっててさぁ、この俺にさぁ。···俺さぁ、実は店出すんだよ」

「えぇ〜！。マジで？。凄いじゃない」

私は、嬉しくて大きな声で言った。

「変わってる店長だろ、俺に店だよ。それで、店の準備で忙しかったんだよ」

すると、冬矢君がニコッと笑った。

私に、ウインクして。

--- ドキッ！。

でも、本当に嬉しい。

「でさぁ、ママに店の名前考えて貰いたくて来たんだよ」

--- もう、ビックリばかりさせるんだから。

「私が？。そんな大事な事、勿体無いわよ」

そう言うと、

「俺の出発点は、ここだからさ」

「でも···」

私が、ちょっと困っていると

「じゃぁ、この店の名前、使っていいかなぁ」

そう言った。

「それは構わないわよ」

すると、うーん、うーん。冬矢君は、何やら考えている。そして、しばらくして、

「決めた！。〈ラピリアム〉。店の名前は〈ラピリアム〉にするよ。いいかなぁ、ママ」

嬉しそうに言う冬矢君。

「〈ラピリアム〉？。いいかもしれないわね」

「決めた！。ママ、サンキュー」

「私は、何もしてないけど。でも、良かった。凄いじゃない。冬矢君が店を持つなんて」

すると、やっといつも通りになった冬矢君。緊張していたのね。

「あぁ、店長が用意してくれたんだよ。名前だけ俺に任せてくれて。ホストと言っても、男性客もオッケーな店なんだよ。ホストって、基本、男性一人は入りづらいし、駄目な店もあるからさ。俺らしくやれって、任せてくれたんだよ。相談にはのってくれるし、俺さぁ、本当に店長にもママにも感謝しか無いんだよ。ありがとう、ママ」

年始から、嬉しい知らせ。本当に嬉しい。

冬矢君が店を持つなんて。

一年も経たないうちに。

「ねぇ、ママ。俺が店をオープンする時は来てくれないかなぁ。招待したいんだよ」

--- 冬矢君の店に？。

「いいの？。嬉しいわ、本当に。必ず行くから、ありがとう、冬矢君」

私は、また涙が滲んだ。

「何言ってんだよ。ありがとうは、俺の言う言葉。本当に、来てよな、ママ」

冬矢君は、またニコッと笑った。

楽しみが出来た。

ドキドキ、ドキドキ。

冬矢君の店が、オープンする。

❦〜❛ラピリアム❜〜❦

また、新たな話が始まる。

冬矢君は、ゆっくりコーヒーを飲みながら、いろいろ話してくれた。お客さんの事やホスト仲間の事を。

冬矢君の店で、また、いろいろ話してくれるだろうね。

私は、逞しくなった冬矢君を見ていた。

冬矢君の店に行くのを楽しみに。

❦〜❛ラピリアム❜〜❦

宜しくお願いします。

　　　　　　<79>

#小説 #カフェ #ホスト #No .1　

#雪冬矢 #ラピリアム #ラピル ☆ムーテリア