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両手から見えてきた、物事の継続に必要な「好奇心」と「意外な発見」

両手が物語ることを教えてくださいと問われたら、あなたは何を思い浮かべるでしょうか。

今回取材したのは、IT関連業務に従事しながら、コミュニティマネージャーやライターとして活動するまーちんさん
杉並区・高円寺にある老舗銭湯小杉湯にそれぞれの形で関わっていること、同じ時期にライター活動をはじめたことなど、複数の共通点を持つ大切な友人です。

インタビュー音声を聴き直すたびに、まっすぐで、キラキラした目でこちらを向くまーちんさんを思い出しました。
ぜひ、最後までご覧ください。

まーちんさんの両手が物語ることとは。

誘われたら、思いついていなくてもやってみる

ーー今回、わたしからまーちんさんへインタビューをオファーしましたが、話を受けたときはどんな気持ちでしたか?

まーちんさん:
あの日の居酒屋で一緒にライターを名乗りはじめたので、あゆさんはどんなインタビューをするんだろうと興味がありました。

元々人から誘われたらやりたいと思うタイプではあるので、どんなテーマでも受けていたと思います。
…でも、手についてなにも話すことがないんですよ。どうしましょう。

ーー正真正銘のライター同期ですよね。
「あなたの両手が物語ることを教えてください」について、少しでも思いついたことはありますか?

まーちんさん:
私の小指が曲がっていることと、関節がなぜ太いかなら説明できます。

ーー興味深いです。ぜひ聞かせてください。

まーちんさん:
まず、小学校の子ども会でドッジボールをしていたとき、つき指をして指が曲がった当時の名残が、今も小指にあります。
両手のお題をもらったとき、手をじーーっと見ていたら思い出しました。ドッジボールをすることは好きでも嫌いでもなく、朝ごはんを食べると同じくらい日常でしたね。

次は、指のつけ根の関節のこと。
小学生のころ、りぼんやなかよしなど少女マンガ雑誌をよく読んでいて、雑誌の中に好きな作品があったんです。
その作家さんが描く男性の手がゴツゴツしていたので「骨を鳴らしたら、このマンガの男性みたいにかっこいい手になれるのでは」とバキバキ鳴らした最終形態がこれです。

幼少期の思い出から見えた、好奇心がもたらす行動力

ーー少女マンガで見た男性の手の関節がゴツゴツしていてかっこいい。だから”自分の”関節を鳴らそうと思うことが、まーちんさんのおもしろいところですね。

まーちんさん:
そうなんですかね。意識してなかったな。
そのマンガは、ほかにも影響を受けていることがあります。作中にルビーのピアスが出てくるのですが、「ピアスを開けて、ルビーのピアスをつけたい!」となり、今でもピアス屋さんで理想のルビーのピアスを探しています。
ああ、このマンガの題名を覚えていないことが残念です。

ーーわたしも、そのマンガが気になってきました。

まーちんさん:
気にさせてしまってすみません。調べてみますね。

ちなみに、ジブリアニメも好きなんです。小さいころのドライブのお供は、ジブリ映画のセリフや音楽が映画と同じように流れるCDでした。
魔女の宅急便で、絵描きの女の子・ウルスラさんの家で、主人公のキキが泊めてもらうとき「ベッド取っちゃって悪いね」と言うセリフがあるのですが、友人が自宅に泊まりにきたときは「『ベット取っちゃって悪いね』って言って!」といいます(笑)

ーー好きなアニメを、ここまで日常に落とし込める人は珍しい気がします。

まーちんさん:
そういえば、今、ブルージャイアントの石若駿さんが主催したライブ「JAZZ NOT ONLY JAZZ」がストリーミング配信されているんですが、1ヶ月限定配信なのでライブを毎日見ているんですね。

そこで、石若さんが「ジャズを聴くときは、演奏する人にフォーカスすると同じ曲でも見え方が変わる」とおっしゃっていて、試してみることにしました。
映画や舞台、ライブを集中して何度も繰り返し見ることがなかったけど、石若さんの言葉どおりそのライブを何回もきいてみたら、アーティストや楽器の名前がわかるようになってきましたね。

ーー何度も繰り返すことはないとおっしゃいましたが、先ほどの「マンガの男性の手になりたい!」「ジブリアニメのセリフを言ってほしい」というのは、何度も読まないとその行動に至らないのではないでしょうか。

まーちんさん:
自覚はしていなかったけど、たしかに繰り返して読んだり、見たりしていますね。1ヶ月に1回しか発刊されないマンガ雑誌をひたすら読んだり、ジブリアニメのセリフは覚えるくらい聞いていたし、映像を見ていたと思います。

幼いころも今も続けていることはあるけど、継続は苦手分野だと思っている

ーーまーちんさんが1年間毎週更新しているnoteでの週報は、繰り返しができている象徴だと感じます。

まーちんさん:
そうですねぇ。でも、続けられるものと続かないものがあるんですよ。ダイエットと筋トレはとにかく続かないです。なぜ……

ーー続くものの共通点はなんだと思いますか?

まーちんさん:
なんでしょうね。適当でいいことと、他人に影響しないものかな。無責任な人に聞こえますね…(笑)
あと、ダイエットや筋トレは、数字の結果が出ないと悲しくなってしまうけれど、継続できるものは数字だけでなく、途中から意外な発見があるのかもしれません。

自分の習慣となるものを探したいなと思っていたのですが、きっとこれが1つの答えですね。

ーー習慣にできていることがないと思っていたのですね。驚きです。

まーちんさん:
自分では、継続することが苦手だと思っています。だから無意識で行動するのではなく、自分の習慣を特定して意識的に活用したいんです。
同じ動きを繰り返せばいいのか、と思ったらなんだかできそうな気がしてきました。

でも、最初から変化を探そうとするとつまらないんですよね。
ジャズの話でたとえると、ずっとライブで聴いていた曲をたまたまSpotifyで流したら、違いに気づけておもしろい!と思ったんです。
一方で、「Spotifyの録音データ音源とライブには、なにか違いがあるはずだ」という予測のもとで曲を聴いて変化がわかったとしても、つまらなくなってしまう。

ーーわあ、おもしろい。今回のインタビューで、まーちんさんは幼いころから継続できていることがあって、その理由を引き出せてよかったなと思います。ありがとうございました!

おわりに

インタビューの翌日、まーちんさんから連絡がありました。

「マンガの名前、NERVOUS VENUSだとわかりました!『なかよし 90年代 連載一覧』『りぼん 90年代 連載一覧』で調べました。鎖骨好きもこのマンガの影響みたいですwww」

まーちんさんからのLINEを要約
表紙はこちら
関節を鳴らすに至った手の関節の描写(左下)


翌日にマンガの名前を特定して、翌々日には中古本を取り寄せて写真を送ってくれたまーちんさん。
今回のインタビューを通して、彼女の習慣化サイクルは【好奇心が実行を加速させる→意外な発見がある→継続につながる】なのかもしれないと思いました。

「両手についてなにも話すことがない」と、心配しつつも楽しそうな彼女もまた、好奇心に満ち溢れていたのだと気づくことができました。

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