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映画『ちいさな独裁者』@UPLINK吉祥寺ー重ねた嘘と緊張と快楽
UPLINK吉祥寺
先日はじめて
UPLINK吉祥寺
に行きまして、いつもは渋谷の方のUPLINKに行っているのでその大きさにびっくり…
吉祥寺PARCOの地下2階にあるのですが、去年12月に出来ただけあってめちゃくちゃ綺麗…
(まともな写真がなくて加工した床の写真ですすみません)
ギャラリースペースも大きくなってて、いまは
カナイフユキさんの『ドミナントストーリー −私は男の子− 』
展が開催されていました。ポップアートの明るさの中に自己という概念が揺らいでしまう不安が描かれているなぁと。今の自分にストライクでございました。好き。
『ちいさな独裁者』を観る
【Filmarks より】↑から詳細見れます
映画繋がりの素敵なお方とのランチの後、いよいよちいさな独裁者を観る。
私が入ったのはシアター4でコンセプトは「ウッド」。
温もりあるウッド調の座席。アンティークな感じで照明も間接照明でとにかく落ち着く〜という感じ。
音響もイタリアの音響機材をつかった平面スピーカーらしく、何というかスクリーンの後ろ、その映画の世界から直接音が流れているようで、正に特別な映画体験という感じ。
あらすじとしては、WW2も終戦を迎える頃、ドイツ軍から脱走した19歳の青年ヘロルト(同い年〜😂)が、その途中にたまたま空軍将校の制服を発見し、それを着て自分はヒトラー直々に特殊命令を任された将校であると嘘をつき、どんどんと嘘を重ねていくうちに徐々に周りは気付きそうになるが…という感じ。
実は実話。
人間の根底にあるもの
バレるかバレないか、終始ハラハラしているので全く飽きない。
こんなにずっと画面に釘付けだったのはパルプフィクション以来かもしれない…。
そして主人公ヘロルトの嘘をつく時の堂々たる姿勢は逆に尊敬するものがあったというくらい、ハッタリかますのが上手い。
本当に将校なのじゃないかと思うくらい、美しく毅然とした態度だし、それは周りのみんなは気づかないよなと…いや途中気付きそうになった軍人はいたけど…
そのひとがあの時軍隊手帳無理矢理でも剥ぎ取っていればバレただろとも思ったけど、そこは主人公パワーなのか気づかれずに済み…
終始バレるかバレないかの話なのでずっと緊張状態だから飽きないし、ゴアな描写もあって疲れたけどある意味一つ一つのピンチをを颯爽と潜り抜けて行くのは痛快で良かった。
でもそれを痛快と思ってしまうのは、やはり人間の性なのだと思い知らされた。
その様子をものすご〜く客観的に見てしまったのは平和ボケというやつかも。
人は嘘をつき続けると本当に自分がそうだと思い込み始めるのか
集団虐殺とか略奪とか、どんどん残酷になっていくところに怖さを感じた。
さっきまでは自分がそうされる側だったのにここまで残酷なことができるのかと。
でもその狂気の行動を次々とテンポよくこなしていく様には逆に爽快感を覚えてしまった。そんな所に爽快感を覚える自分が怖くなった。それがこの映画の面白さかと。
今映画という形で人が狂気を纏う姿を観ているから絵空事に感じるかもしれなけど、その
狂気に爽快感を覚えるということは、自分の中にもその狂気はある、自分もヘロルトのようになるかもしれないということ。その怖さ。
「私は将校」
(だったかな?)
と主人公が独り言で言うシーンがあるのだが、本当に将校として周りに扱われる結果となっている。
良いことを思えば良いことが起きる。悪いことを思えば悪いことが起きる。
『 あなたは必ず成功するマーフィーのサクセスサイエンス マーフィー理論研究会編著』より
これはジョセフ・マーフィーの理論であるが
この映画を観てやっぱり本当のことかもしれないなんて思ってしまった。はったりは大事。
エンドロールまで見て欲しい。
この映画が人ごとではなくなる仕掛けが隠されている。
お楽しみに…。
最後までお読みいただきありがとうございました。