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たった3時間でHubspot(Saleshub)の営業プロセスをプロセスマイニングした結果

こんにちは、業務可視化・改善コンサルタントのスズキユウです。
営業プロセスの効率化のためにSFAを導入される企業が増えてきています。弊社もその一つですが「SFAを導入したことによって何が実現できたのか」という点をうまく説明できていない企業が多いように思われます。
今回はSFA導入効果やセールスイネーブルメントの観点から、SFAに蓄積された情報をプロセスマイニングを使って分析してみたいと思います。


調査の観点

今回はSFA導入の目的であったパイプライン管理の進捗とステータス遷移の経路に着目しました。
製品や担当者ごとにステータス遷移に有意な差があれば、その差分を分析することでハイパフォーマーとローパフォーマーの行動分析もできると期待しています。

検証方法

今回の分析はHubspot(Saleshub)の取引ステータスのログを使用してプロセスマイニング分析しています。
取引ステータスの取得期間は、サービス導入時から約3年間の全データを対象としています。

ログの取得方法

取引ステータスは、Hubspotの管理画面から取得できます。取引に紐づく担当者名や製品名は別途レポートを作成し、取得しています。
全てHubspotの標準機能を使用しており、特別な対応は行なっていません。

分析に使用したツール

プロセスマイニングはiGrafx  Process360 Live Miningを使用しました。iGrafx Process360 Live  MiningはCSVファイルを取り込めば数分で分析が完了するので、上記で作成したCSVファイルをそのまま取り込んで分析にかけています。

分析結果

今回の調査により、以下の結果が得られました。
なお分析に要した時間は全体でおよそ3時間であり、従来のヒアリング主体の方法と比較すると大幅な作業時間短縮を実現しています。

①取引ステータスの進行状況

マイニングした結果、全体の中で最も多いパターンが「問い合わせに対して未対応」でした。なお次点は「途中のステータスを登録せずにいきなり受注」であり、本来SFA導入することで管理した買った情報が全く管理されていない、SFAが使えていないという実態が判明しました。

②製品ごとの商談リードタイム

①のデータを除くことで、かろうじてきちんとデータ登録されているデータを抽出し、分析することができました。
下図のように製品ごとにフィルターをかけることで、製品ごとの商談リードタイムを得ることができます。

③担当者ごとの取引ステータス推移状況比較

②のデータをさらに担当者ごとに細分化することによって、製品別担当者別の活動結果を可視化することができます。
(図)
このように製品ごとに得意とする担当者と活動結果が表示され、ハイパフォーマーとローパフォーマーの差異を比較分析することができます。

考察

今回の調査では、事前に期待した分析結果を得ることはできたものの、本来期待していたパイプライン管理はあまり実現できていないという衝撃的な結果も浮き彫りになりました。
これは営業プロセスとシステムに設定した取引ステータスの考え方が乖離していることに原因が求められます。

本来SFAは営業プロセスに基づいて取引ステータスと、ステータスの進行条件が決定されなければなりません。現状は下図のように営業プロセスと取引ステータスが乖離しているため、現場の担当者は本来の想定とかけ離れた運用を行なってしまっていました。

この対処法としては、以下の2点が挙げられます。
・営業プロセスに基づいた取引ステータスの再定義
・ワークフロー等によるステータス進行の制御

ワークフロー等の機能はHubspotにも搭載されているので、重要なのは営業プロセスに基づいた取引ステータスの再定義となります。
一般的な例では、下図のようなステータス設定が理想でしょう。

セールスイネーブルメントという観点では、今回の分析によってハイパフォーマーとローパフォーマーの活動内容が可視化できたことは重要だと捉えています。
例えば下図のような比較では、ハイパフォーマーはステータスの進行につれてステータス間の移動時間が短くなっていくことがわかります。

これは商談の初期段階で時間をかけてお客様と要件整理を行なっているため、双方の合意に基づいたスムーズな商談進行を実現できていることが表されていると理解できます。

まとめ

このように、今回の検証では3時間程度でここまでの分析を行うことができました。
SFAの導入が上手くいっていない企業は少なくないと感じていますが、その原因と、本来求めていた効果を得るためのヒントを今回の記事で提示できたのではないでしょうか。

プロセスマイニングを使用することで簡単にここまでの成果を得られるとは事前に予想しておらず、今回の検証は非常に有効であったと感じています。引き続きこのような事例を共有していきたいと考えています。

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