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#139. 【書店訪問記】ウィー東城店(広島県庄原市)

書店訪問記というマガジンを作って、私が訪れた書店を紹介しています。

今回で11回目の投稿になりますが、「ウィー東城店」は今まで紹介してきた書店とは少し毛色が違います。

今まで紹介してきた書店の多くは、1人で開業して経営されている店や、ご夫婦で経営されているお店がほとんどでした。
今回訪れたウィー東城店は、今まで紹介してきた書店のなかでも一番の大きさで、郊外型のいわゆる「まちの本屋さん」という感じです。
本だけでなくCD、文房具も販売されています。

そして、なんと言っても夏葉社発行の『本屋で待つ』という書籍を書かれた佐藤友則さんが社長を務めるお店ということで、本屋さん好きにはとても有名なお店です。

『本屋で待つ』表紙と同じアングルでパシャリ

#一度は行ってみたいあの場所
というテーマに、私にとってウィー東城店ほどふさわしい店はないのでは、というくらいにワクワクします。

『本屋で待つ』は、佐藤さんがウィー東城店の店長(現在は総商さとうの社長)として地域住民の方と関わって困りごとを解決してきたこと、経営の危機に直面したこと、学校に行けなくなったような子をアルバイトで雇って成長を見守ったことなどが書かれた物語。
そして、店長職を引き継いだ教え子が運営するお店で、活き活きと働く人たちが描かれます。

佐藤さんは、お店を訪れる住民の方の困りごとは何でも聴いて、できる限り寄り添って解決しようとしてきたそうです。ラジオが故障した、はがきを印刷してほしい、携帯電話の使い方が分からない、など。主に年配の方の様々な困りごとに真摯に向き合っているうちに、少しずつお店は頼りにされる存在になっていったのだとか。

私が滞在していた間にも、何人もの年配の方が来られては、店員さんへ何かの相談をされていました。そのたびに、店員さんはとても丁寧に話を聴いて、自分たちにできることはないかと会話をされていました。

そこに本を買う目的の方はいませんでしたが、「困ったことはウィー東城店に行けばなんとかしてくれる」という文化が根付いていることを強く印象付けられました。佐藤さんが築いてきた住民との信頼というリアルを目の当たりにし、なんだか胸が熱くなります。

店員さんに話を聴くと、佐藤さんをはじめ『本屋で待つ』の登場人物の方々はあいにく今日はご不在とのことでした。それでも、本を読んで足を運んだという私をとても丁寧に歓迎して頂きました。
ありがとうございます。

お店に入ると、店員さんが明るく挨拶をしてくれます
メインの書棚 陳列がとても綺麗です
もちろん『本屋で待つ』もしっかりディスプレイされています
書籍で重要な役割を担っていたタバコ かなりの品揃えです
こちらも重要な役割の化粧品コーナー



敷地内にコインランドリーがあります。
導入の決断には数年かかったそうですが、コインランドリーの待ち時間を利用して書店に訪れる方や、化粧品コーナーでのエステを利用される方が増えるなど大成功だったそうです。

利用者が多く、稼働率は高い



そして、ウィー東城店の物語で触れないわけにはいかないのが、隣のパン屋さん『mon petit chéri(モン プティ シェリ)』。
中学生の時にウィー東城店で買ったパン作りの本をバイブルにして店をオープンさせたという店主の前田さんは、高専に通っていた10代の頃にウィー東城店でアルバイトをされていたそうです。
ご結婚されたあとにご主人の転勤でいくつかの街を移り住みながらパン屋さんで働きながら経験を積み、Uターンで東城町に戻ってウィー東城店の隣にお店をオープン。
『本屋で待つ』にも、この奇跡のパン屋の物語は書かれています。
本屋さんでは書籍の登場人物に出会えなかった私ですが、このお店で出会うことができました。

「奇跡のパン屋」mon petit chéri
パン、とても美味しかったです
優しい雰囲気のお店です



私は目的としては本を買いに行ったわけでもなく、パンを買いに行ったわけでもありません。
ただ1冊の書籍のノンフィクションの物語に感動し、そこで働く人たちに会いに行ったのです。
でも、「ここで買いたい」と、わざわざ行きたくなるお店。
ウィー東城店の従業員さんも、mon petit chériの店主・従業員さんも、そんな私を本当に温かく迎えて頂きました。
そんなお店と物語が、広島県庄原市東城町という人口約6,500人(令和6年9月現在)の小さな町にあります。

心が温かくなるような書店訪問記でした。
本当にありがとうございます。



書店情報
ウィー東城店
広島県庄原市東城町川東1348-1

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