絵本ゼミ第2期始動!
前回の振り返りで話していたように、絵本ゼミの第2期が始まりました!
ゼミを受講される方が第1期からかなり変わったので、ワクワク7割ドキドキ3割でパソコンの前に座っていました。
第1期の1回目で行なったことはこんな感じです↓
グループで自己紹介
第2期もグループが作られたので、まずグループ内で自己紹介をしました。
私のように第1期から継続ではなく、第2期からはじめて参加される方々は、自分の好きな絵本を紹介するという宿題が出ていました。みなさんが紹介くださった絵本は・・・
・『おどりたいの』 作:豊福まきこ BL出版 2018年
・『トラのじゅうたんになりたかったトラ』 作:ジェラルド・ローズ 訳:ふしみみさを 岩波書店 2011年
・『おつきみおばけ』 作:せなけいこ ポプラ社 2015年
第2期の全体の目標発表!
講師の先生から、第2期の目標についてお話がありました。
「いい絵本とは何か」を答えられるようになる
大きな目標!と思いましたが、私が生意気にも第1期で掲げていた目標でした。笑
「いい絵本とは何か」に対しては、様々な切り口から数えきれないほどの答えがありそうですが、第2期では絵本のジャンルというアプローチから考えるそうです。
昔話絵本について
絵本のジャンルのひとつ、今回は昔話絵本についての講義でした。
まず、昔話とは何か?の定義から始まります。(アカデミック!)
OxfordのA Dictionary of English Folkloreによると、昔話とは
・伝統的な物語の書式に添った語りの散文で
・口承によって世代を超えて伝えられ、
・作者不明であるもの
ある程度昔話には型があり、その型を集めて分類したものでベーシックなものがAT型(アーネル・トンプソンのタイプ・インデックス)。
ここからさらに、定義を深めていきました。
藤本朝巳先生によると、
昔話とは発端句から始まり、伝聞を示す言葉があり、結末句で終わる伝承文芸である。
そして、「絵本の中のテクスト(物語)が伝承されてきた昔話であるのが昔話絵本」である。
(藤本朝巳『昔話と昔話絵本の世界』日本エディタースクール出版部、2000年、p.17)
発端句の例:「むかしむかしあるところに…」
結末句の例: 「どんとはらい」→意味のない言葉で終わることが多い。
発端句と結末句でお話が区切られていることで、この話は現実ではないことを示している。区切られた世界の中では、そのお話は本当だけれども、その世界は現実世界とは異なることを示しているそうです。
昔話絵本研究における3つのアプローチ
1, 構造論
例: 外部からの課題を解決するもの。例えば「シンデレラ」は、親がいないためいじわるな継母に育てられる。
2, 昔話の型
例: AT型
3, 様式論→語法
マックス・リュティ著、小澤俊夫訳『ヨーロッパの昔話 ーその形式と本質』岩崎美術社、1969年
小澤俊夫著『昔話の語法』福音館書店、1999年
昔話絵本についてディスカッション
講座のあとは、第1期から継続して第2期を受けている人は好きな昔話絵本を選んでくるという宿題が出ていたので、グループ内で選んだ絵本を紹介し合いました。
私が選んだ絵本は・・・
昔話絵本という宿題が出て、まず、自分がどんな昔話を覚えているか考えてみました。「かちかちやま」の他にも、「桃太郎」「一寸法師」、「赤ずきん」など浮かびましたが、その中でも最も鮮明に記憶していたのが、「かちかちやま」でした。
そして、この絵本の、赤羽末吉の絵がとても好きなので選びました。最初の見開きの絵が特に好きです。文章は、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいて、ある日、おじいさんが畑へ行くという内容です。絵は、2人の家やおじいさんのクローズアップではなく、雄大な山々と共におじいさんとおばあさんの家が小さく描かれています。「あるところ」とはどこなのかを補完していることと、連なる山から受けるスケールの大きさがとても好きです。読んだことがない方には、ぜひ読んでみてほしいです…!
絵本を紹介したあと、みなさんがコメントや質問をしてくださり、なぜ「かちかちやま」のストーリーが記憶に残っていたのか理解することができました。
それは、「かちかちやま」の残酷性です。
「かちかちやま」のストーリーで1番残酷だと思うところは、おじいさんに捕まったたぬきが、おばあさんを打ち殺したあとに「ばばあ汁」をつくり、それをおじいさんに食べさせるところです。そのあと、うさぎがたぬきの背負う柴に火をつけたりと他にも残酷なシーンはありますが、「ばばあ汁」が1番強烈だと思います。
この残酷さが、ストーリーを記憶に留めていたのです。
先生によると、昔話は人間の本質を描いたものが多いため、人間の残酷な本性がよく描かれるそうです。
しかし、重要なことは、この絵本がその残酷さをおどろおどろしいようには、恐怖を与えるようには描いていないこと。
文章はあくまで淡々としていて、おばあさんが血を出すところやおばあさんの死体は絵で描かれていない。絵で描かれているのは、おばあさんが着ていた着物の前で泣き崩れるおじいさんです。
よい昔話絵本は、子どもが読んだあとに怖くて眠れないなんてことがないように、「中身を抜いて語る」ことを巧みにするそうです。
同じグループで第1期から継続して受けている方が紹介してくださった絵本は・・・
・『かさじぞう』 再話:瀬田貞二 絵:赤羽末吉 福音館書店 1966年
・『てんぐとそばまんじょう』 作:深山さくら 絵:長谷川義文 ひさかたチャイルド 2010年
リュティの様式論
絵本を紹介し終わったあと、残りの時間は講義に戻りました。
最後は昔話の様式についてです。
マックス・リュティは昔話には以下の要素があると主張したそう。
・一次元性
・平面性
・抽象的様式
・孤立性と普遍性
(小澤俊夫『昔話の語法』福音館書店、1999年より引用)
マックス・リュティの様式論は少し難しくて理解が追いつかなかったため、時間があるときに教えていただいた文献を読んでみようと思います。
昔話は奥深いですね…おもしろくて、沼にはまっていきそうです。
第2期の目標!
第1期と同じく、今期も目標を決めなければならないのですが…
第2期の最後の講座で、自分はどうなっていたいのか…
友達に、絵本の良さを伝えられるようになる
これを半年後の目標にしたいと思います。
絵本の良さを伝えるためには、絵本のなにが良いのかをまず理解する必要があります。自分にとって、絵本とは何なのか。自分にとっての絵本の良さとは何なのか。第2期を通して考えてみようと思います。
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