見た目は羊羹、味は潮風、触感はみかんゼリー
はじめまして、エゴ。
「エゴ練ってきたよ、食べる?」
エゴってなんやねん。
未踏の地に移住したら、食べ物なのか、甘いのか、しょっぱいのか、想像すらできないものと出会った。
その名はエ(もしくはイ)ゴ。
食べてみると、海藻の寒天みたいなものだが、食べていても原形はまったく想像できない。
そんな風に言っていたら、地元の方がエゴ作りを教えてくださった。
はじめまして、エゴ草。もさもさした、一見食べ物なのか?と思うような、スチールたわしみたいな塊の海藻が登場。
まずは軽く洗う。そして、水を入れた鍋にそのまま投入。
ちなみに、今回は銀鍋を使用したが、銅鍋を使用すると鍋の成分かなにかで、出来上がりの色が変わるらしい。
あとは、火にかけて、ひたすらかんもする。
・・・かんも?する??
地元の方に言われて流れでわかったように頷いてしまったが、実は、これ、方言。
「かんもす」とは新潟の方言で、「混ぜる」という意味らしい。
20~25分ほどかんもしながら、溶けない黒いゴミが浮いてきたらお箸で取り除く。
エゴ草と水以外なにも入れていないのに、混ぜていると、いや、かんもしているとどんどんとろとろになってくる不思議。
エゴ草の原形がほとんどないくらいとろとろになったら、荒熱を取り、容器に入れて冷やす。
その間に、酢味噌作りだ。
よく考えたら、簡単に作れそうなものだが、酢味噌なんて刺身こんにゃくに付属のものか、お豆腐にかける用にスーパーで買ったものしか知らなかった。
そうか、作れるのか!
味見をしながら、目分量とカンで味噌と砂糖と酢を混ぜ、鍋で火をいれる。
こちらも冷ませばできあがり。
これにて、いとも簡単に、エゴが完成。
あとは、冷えた頃を見計らって取りに行って、持ち帰ったものを切り分けて酢味噌をかければ、いただきます!
寒天みたいな、海の香りのする刺身こんにゃくみたいな。
きっと酒の肴には最高なはず。(わたしは日本酒が飲めない)
緑のものが銅鍋で作ったもの、黒っぽいほうが今回銀鍋で作ったもの。
色は違うが味は同じ、固さは水分量やエゴ草の量によって変わってくるそうだ。
地元の、そこでしか食べられないものを味わったり料理したりするのは、今ここでしかできない貴重な体験だなあと思う。
図書館で、こんな本も借りてみた。
知らない食材がわんさか出てくる。季節ごとになっているので、季節が変わるたびに借りてレパートリーを増やしていきたい。
(すでに一度延長済、私物化して付箋いっぱい。笑)
ちなみにこの本にもエゴ練りは載っていました!
材料となるエゴ草は、岩に張り付いているのを採るのは密漁になるので違法だが、嵐の後など砂浜に流れ着いたものを拾うのは問題ないらしい。
裁量が難しすぎる。岩の上のものは拾うとは言わないのか。
まあ、何はともあれ、いつか砂浜に流れ着いたエゴ草を見つけたら拾って、また作ってみたいと思う。
自作のエゴ練りを日々美味しく食べていたら、運よく水揚げされたエゴのゴミ採りの現場に遭遇し、お手伝いもさせていただいた。
何気なく食べているものの作り方を知ったり、その素材ができる過程を知るのは貴重で楽しい経験だなあと改めて思った。
先日、家庭菜園に挑戦しようと種を植えてようやく発芽した紫蘇の葉が育つのも楽しみ・・・!
その模様は、元気に育ってきたらまたそのうちお届けします。