叔母さんと樹木葬
毎週1回、私は90歳を過ぎた叔母さんと電話で話をします。この電話は、母が叔母さんの任意後見人候補者だった頃から続いています。叔母さん曰く「生存確認」だそう。
前回の話題は、今、叔母さんが一番気になっている樹木葬のこと。墓園での申込みが受理された、という報告でした。
叔母さんは叔父さんが亡くなった20年以上前から樹木葬を希望していました。理由は「叔父さんはお寺が嫌いだから」。そして叔母さんがこの世を去った後、一緒に樹木葬にするため、叔父さんのお骨は家に置いてあるのです。
そんな叔母さんから、「樹木葬でなくてもいいよ。どこでもいいから散骨しておいて」と突然、言われたのです。
なぜそんなことを言うのかな?
ずっと前から決めていたことなのに…
何だか変だなと思ったので、ゆっくり話を聞いてみると原因が2つありました。
1つめは、入会していた「散骨について考える団体」がなくなってしまったこと。
そして2つめは、最近の樹木葬ブーム(?)によって、樹木葬をお願いできる場所は増えたけれど、ほとんどがお寺管理だということ。お寺が苦手な叔父さんのお骨を、お寺管理の樹木葬に…というのが、叔母さんにとって、とにかくNGなのだそうです。
「お骨はどうなってもいい。捨ててくれてもいい」
と叔母さんが言うのを聞くと、また心がぎゅっとなって…自分のお終いについて一生懸命に考えている叔母さんに、何とか安心してほしくて、「探しますからね、諦めないでくださいね!」と約束しました。
ネットで「樹木葬」を検索すると、上位に出てくるのは、やはりお寺管理のものばかり(叔母さんのお住いの地域はそうでした)。それでも根気強く検索していくと、とうとうお寺管理ではない樹木葬が見つかりました!
それは市営の墓園。
数年前から、墓園の一角を樹木葬用に作り替えたのだそう。シンボルツリーとしてサクラとクスノキを植えた、とあります。申し込めるのは市内在住者(または在住であった者)のみ。叔母さんと叔父さんのように、お一人は健在な場合の「ペア申込み」枠もあるとのこと。ここが叔母さんたちにピッタリなのではないかしら?早速、パンフレットをプリントアウトして叔母さんに送りました。
その週の電話口の叔母さんの声は、いつもより明るく弾んでいて…「あの墓園には、自分のお友達も沢山、眠っている見晴らしの良いところなの。直ぐに申し込むわ!」と。その後、無事に申込みが受理されたと聞いて、私も自分のことのようにホッとしました。
ちなみに、もしもシンボルツリーが選べたら、どちらがいいですか?と叔母さんに尋ねたところ、答えは「クスノキ」「毛虫が苦手だから、サクラは嫌。クスノキは葉っぱもいい匂いがするから」と叔母さん。早速、申し送りノートにメモしておきますね。