【横浜ビー・コルセアーズ】 2022-23シーズンクリエティブワークスまとめ
こんにちは。Bリーグ 横浜ビー・コルセアーズの外部デザイナーの増田です。現在Bリーグはオフシーズン中ですが、開幕に向けて着々と準備を進めています。
このノートは1年に1回のペースで更新している、横浜ビー・コルセアーズのクリエイティブワークスの2022-23シーズン版です。シーズン中の制作物を一覧にして、簡単な解説とともにまとめました。
公式ホームページ
https://b-corsairs.com
1|スローガンロゴ
【BEAT】(人やチームに)勝つ/やっつける/打つ/たたく/鼓動・拍子
【ALL】全部・すべて/最大・最高の
【BEAT ALL】驚きである、感銘を与える
横浜ビー・コルセアーズは2016年のBリーグ発足以降、一度もチャンピオンシップ(プレーオフ)に進出できずにいました。2022-23シーズンの最大の目標として、「チャンピオンシップ出場」を掲げ、そのためには対戦するすべてのチームから少なくとも「1勝」することが求められました。
また、2026年からスタートする「Bリーグプレミア」への参入に向け、クラブが越えなければならない営業面・運営面の高いハードルをクリアするという決意を表したスローガンになりました。
中地区2位でレギュラーシーズンを終え、クラブ史上初のBリーグチャンピオンシップ出場を果たしました。チャンピオンシップ用のスローガンは「BEAT ALL」をベースに「BE ALL YOU CAN BE.」に変化させたデザインにしました。意味は「できることを全てやり、出せる力を全て出す」。
2|ユニフォーム
2022-23シーズンもユニフォームデザインを担当させていただきました。今回のオーダーは「海賊」らしさを出すことでした。歴史書を始め、海賊映画やゲームなどの設定資料をリサーチし、海賊っぽいエッセンスを探し求め、ユニフォームに落とし込む作業をしました。中世・大航海時代にありそうな装飾をヒントにオリジナルの模様をデザインしました。まず、アイキャッチの役割を担う脇の柄は「羅針盤の針」をイメージしており、ネガティブスペースに「荒波」がデザインされています。肩の柄は船の錨(アンカー)のイメージ。パンツの柄は水平線に浮かぶ島を図案化したデザインになっています。
ユニフォーム柄はこのシーズンの重要なデザイン要素になっており、後述するSNS画像やポスターの背景に使用したり、グッズなどにも度々登場しました。
3rdユニフォームの本体カラーはホームユニフォームのネイビーよりもさらに濃い、黒に近い「濃ネイビー」を採用。差し色には、トップスポンサーであるウエインズグループ様のブランドカラーを配色しました。
3|【SNS】試合関連情報画像
背景にユニフォーム柄を大胆にあしらったデザイン。中央の赤い部分はほとんど見えませんが、船の帆の画像がレイアウトされています。当日チームが着用するユニフォームのカラーに合わせて背景色を変えています。
4|【SNS】WIN画像
■Bリーグレギュラーシーズン
■天皇杯
■Bリーグチャンピオンシップ準々決勝
前シーズンまではホームゲームの勝利時しか「WIN」画像を作っていなかったのですが、今シーズンからアウェイゲームも制作することになりました。レギュラーシーズン33勝、天皇杯4勝、チャンピオンシップ2勝、トータル39枚作成しました。WINの文字部分がテキストアニメーションになっており、インパクトを与えるデザインにしました。こちらもユニフォームの色に合わせて背景色を変える仕様にしています。
5|【SNS】ショート動画
ビッグゲームの試合告知のほか、出場記念などの重要な出来事では、事前に何日もかけてショート動画を準備しました。今シーズン最も労力を注いだ制作物であるのは間違いありません。
■Bリーグチャンピオンシップ出場決定
※下の動画はメイキング動画です。ぜひご覧ください。
通称「CLINCHED」動画。「CLINCHED」は日本ではあまり一般的ではありませんが、アメリカのプロスポーツでは頻出のワードです。元々は「ガッチリ掴む」という意味で、転じてスポーツシーンにおいては「出場権を確保する」という意味になります。
レギュラーシーズン30勝を達成したあたりからチャンピオンシップ出場が濃厚になり、ビジュアルの制作に取り掛かりました。中地区1位でも2位でも、クォーターファイナルの対戦相手が川崎ブレイブサンダースであることがほぼ確定していたので、河村選手が見つめる先を稲妻にするというアイディアを思いつきました。CS出場の歓喜と、勝って兜の緒を締める意味合いを込めました。ビジュアル完成後2、3試合ほど足踏みしたのですが、4月19日の平塚のホームゲームで決まり、安心感と高揚感に包まれた最高の気分になりました。
■Bリーグチャンピオンシップ準決勝進出
初のチャンピオンシップ出場、アウェイゲームにも関わらず、連勝でセミファイナル進出を果たしました。このビジュアルは試合前に用意したものなので、敗退していればお蔵入りしていました。
■天皇杯準決勝告知
天皇杯の準決勝の対戦相手は琉球ゴールデンキングス。敵地沖縄に乗り込むのでビジュアルも沖縄らしさ全面に出したビジュアルにしました。いただいたキャッチコピーが秀逸で、「バトル」や「戦い」などの直接的でセンシティブな表現を避けながらも、大一番の勝負を表したワードチョイスが本当に素晴らしいので注目してください。
■河村選手Bリーグオールスター初選出
#5 河村勇輝選手が歴代最多得票数でBリーグオールスターに初選出されました。発想の原点から「動く流れ星」をアイキャッチにしたいという思いがあり、流れ星と河村選手を使ったビジュアルを構築していきました。
■河村選手Bリーグ12月度月間MVP
昨シーズンに引き続き2度目の月間MVP受賞。今回は立体文字のアニメーションを使った重厚感のあるビジュアルを作りました。
6|【SNS】記録達成記念画像
元々チームカラーの一つではありますが、現在は特別な機会にしか使用しないスペシャルカラーの位置付けであるゴールドを効果的に使用したビジュアルを多数制作しました。
■個人記録達成
■河村選手Bリーグオールスター個人賞
■河村選手Bリーグアワード
7|【SNS】公式発表画像
■選手契約発表
みなとみらいの街並みと横浜の洗練されたイメージを全面に出したビジュアル。
■誕生日
ユニフォーム柄の中にエンブレムを配置しています。白を基調とし、赤の差し色が生えるデザインになっています。
■退団・移籍発表
今シーズン限りで移籍する選手たちへの感謝と今後の活躍を祈念して、「UW旗」のデザインを入れています。
8|ポスター
海賊のチームであることから、シーズンを「航海」と表現することが多いのですが、今シーズンはキービジュアルにもよく海や船を登場させました。開幕時のビジュアルは出発感、リーグ後半戦のビジュアルは航海中、チャンピオンシップ出場時はクライマックス感が出るように意識しました。
9|ファンクラブ会員証
2022-23シーズンより会員証が5つのカテゴリーになりました。ユニフォーム柄を大きく配置した大胆なデザイン。
10|会場装飾
試合会場の装飾として「RAISE THE SAIL」と書かれたタテ約6.5mのビッグフラッグを新たに設置しました。海賊らしさを演出するだけでなく、飛び込み台の存在感を薄めるよい目隠しとしても機能しました。
11|まとめ
ご覧いただきありがとうございました!
いかがだったでしょうか。
今シーズンの制作物は、キービジュアル、試合関連のSNSのビジュアルが中心でした。昨シーズンまで手掛けていた選手入場動画などのアリーナビジョン関連は協力会社に委託し、私の手からは離れました。
ショート動画はSNSとの相性が抜群なので、今後作る機会はますます増えるでしょう。必要な知識さえあれば、グラフィックデザイナーが挑戦しやすい分野なので、他クラブでも目にする機会も多くなるのではないかと思います。
2022-23シーズンは最大の目標であったチャンピオンシップ進出を果たし、結果的にチームはベスト4で終えました。河村勇輝選手を中心にチーム全体がまとまり、飛躍を遂げたシーズンとなりました。チーム成績の向上と河村勇輝選手の大活躍と比例して、制作物の大半も河村選手を起用したものになりました。必然的に河村選手を使用したビジュアルには注目が集まりやすくなり、クラブの認知度も体感的には前シーズンの5倍から10倍くらい上がったように感じています。少なくとも今後数年は伸びていくだろうと予想しています。今後の大きな課題として、スーパースターのいるチームのクリエイティブはどうあるべきか?ビッグクラブを目指すチームのクリエイティブはどうあるべきか?と問われてる気がしています。めったにないこの機会を活かし、全力で課題に取り組んでいきたいと思っています。
2023-24シーズンは河村選手の3年間の契約延長も決まり、新加入する選手たちの実績も申し分なく、いよいよ「リーグ優勝」という目標が現実的になってきました。クリエイティブ面でも新しいフォント、新しいカラーなどを使用した取り組みをスタートさせています。お楽しみに!
※全ての制作物の著作権は株式会社横浜ビー・コルセアーズに帰属します。
※画像の無断転載禁止です。
クリエイティブディレクション:秋定太一
アートディレクション・デザイン:増田有
写真:大澤智子、 B.LEAGUE
©B-CORSAIRS
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