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出世欲に取り憑かれた悪魔
あなたは、何のために力を手に入れたかったの?
あなたの上司にこう聞いてみてください。
その答えで前回僕が定義した怪物かどうかを見極めることができる。
今から話すのは、ある1人の男の正義の物語。
サラリーマンのあなたには、これから3つの質問に答えてもらいます。
Q1:あなたは、なぜ出世したいのですか?
自分の胸に手を当てて、深呼吸して、偽りなく本心で答えてください。
おそらく多数派の意見としてでてくるのは、「給料が上がるから」「権限が増えてやりたいことの幅が広がるから」「転職する時に優位だから」など、こんなものでしょうか。
では、2つ目の質問です。
Q2:あなたが部下だとして、どんな人に上司(=出世)になって欲しいですか?
おそらく即座に答えられる人は少ないでしょう。
自分が上司の人事に干渉できると思っていないから考えたこともないのかもしれません。
でも、これは、自分が組織のトップに立った時に絶対に必要な感覚です。
考えましたか?
答えを持っていない疑問は、何の価値もない。
どんなに拙いと思う答えでも、まず自分で答えを出すことが大事です。いいですか?
では、最後の質問です。
Q3:あなたが出世したい理由と、上司になって欲しい人を選ぶ時の理由は、一致しましたか?
不思議なことにきっと大多数の人が一致してないんじゃないかと思います。
この世界では、自分が欲しいものと、他人に持っていて欲しいものは、全く違うものになる。
なぜでしょうか。
今日の授業を最後まで理解したいなら、ここで皆さんは、一つ目と二つ目の質問の共通点を見つけなければなりません。
さぁ、どこに共通点がありますか?
答えは、どちらも「自分が」という主語が付いていることです。
出世したい理由は?と聞かれると、「自分が裕福な生活を送りたいから、自分が能力をつけたいから、自分が人生の選択肢を広げたいから」となる。反対に、出世して欲しいなと思う人は?と聞かれると、「部下想いの人がいい、背中で見せてくれる人がいい」というような答えが返ってきます。
このように明確に回答がズレています。
つまり、人は、現在地点で望める自分にメリットがあることを常に選択しているのです。
人は、本当に欲張りな生き物です。
人間の欲望とは、底なしの海に、天井のない空に似ている。
ここで本当に強い人間は、Q1の回答がどんなものになるかというと、
A1:部下を守るために出世したい
A2:部下想いの人に出世してもらいたい
このように一致するようになる。
これが、本来あるべき組織の形だと僕は思っています。
でも、実際には綺麗事になっているのが現実です。そんなやついるわけないし、いたとしても一時的に綺麗事を言っているだけだと言う声が沢山聞こえます。悔しいですが、実際その通りだと僕も思います。
今の社会では、綺麗な外見に隠れた本心を見抜く術を正確に教えられる人間がいない。
ほとんど全員が騙されている。
高価なブランド品に身を包み、イメージに隠れた素材の品質を正確に測ることができていない。
だからこそ正直者がバカをみる時代と言われる。どれだけ誠心誠意、誰かを想って仕事をしても、報われない。どれだけ本気で向き合っても、きっとその想われた誰かは、もらった愛情を自分だけのために消費していく。
そうやっていつの日か心が耐えるのに限界を迎える。なんでこんなにも世界は利己的なのか。なんでこんなにも自分のことしか考えていない人しかいないんだろう。なんでこんなにも頑張っているのに、報われないんだろう。
苦しいですよね。本当に、本当に苦しい。
世界に絶望し、人に失望して、自分の無力さに怒りが抑えられなくなる。
終身雇用制度に守られ、時間と共に待遇が良くなるという過去の記憶が、出世さえすれば待遇が良くなるというイメージを作り出した。そして、SNSが人々の承認欲求を高め、利己的な怪物を世の中に生み出した。
どうにかして変えなければいけない。世界から優しさが失われる前に、必ず変えなければいけない。
少なくとも僕は、自分ではなく誰かを守るために力を必要とする人と刺激的な仕事がしたいなと思っています。
僕にとって未来のそんな人に届くことを願って。