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医療的ケア児のママへ〜頑張りすぎない環境をつくろう〜

はじめに

現在、近代化するとともに出産時の小児死亡率が減少する一方で「医療的ケア児」が増えている現状があります。医療的ケア児のママたちは日々、子育てのために頑張りがちです。
今回はそんなママたちの状況を改めて整理し、活用できるサービスも一部ご紹介します。ひとりで無理をせずに、周囲に頼ることもおこなっていきましょう。

〈このnoteは『COTETE Labo』掲載記事です〉

医療的ケア児とは

医療的ケア児とは、心身の機能に障害があり、呼吸や栄養摂取、排泄などの際に、医療機器やケアする方たちのことをいいます。全国の医療的ケア児は現在約2万人といわれています。


東京都福祉局 医療的ケア児とは?」より引用

主なものとしては上記のような処置が多く、これに加えて
・PEG管理(胃ろう)
・小児麻痺などの麻痺部位がある状態でのケア
・気管切開があり気管切開部の管理
・入眠時のみCPAP装着(持続陽圧呼吸管理方法)
なども行うような児のことを医療的ケア児と呼びます。

このようなケアを必要とする児の場合、ほとんどのケースでお母さんが
24時間ケア児の子を看ていることが多いのが現状です。

医療的ケア児のママの実際は…

私自身も、看護師としてのお仕事の際に医療的ケア児と関わることもありますが
基本的に医療的ケア児のママのお話を聞くと

「仕事もできない」
「子どもを看ることで精一杯」
「なかなか自分の時間が持てない」「旅行にもいきたいけど、それが難しい」
「他の兄弟との関わりが難しい」

など、医療的ケア児特有の悩みがあるように感じます。

医療的ケア児の子どもは、他の子どもよりも感染症にもかかりやすい子も多く
入院した場合にはなかなか退院ができないケースや
ママの疲労が溜まってしまい、ママの体調で帰れない場合も多いです。

また、医療的ケア児のママは仕事ができないケースも多く生活保護を受けているケースもあります。
医療的ケア児を育てる場合、ママにはどうしても精神的・肉体的負担がかかることが多く、休んでほしいと思う反面…それが難しい一面もあります。

そんなママのために、医療的ケア児の法律やサービスについて下記でご紹介しますね。

医療的ケア児の法律とサービスについて

医療的ケア児を守るために、さまざまな法律があります。

医療的ケア児を取り巻く法律など

医療的ケア児を守るために、さまざまな法律やサービスがあります。
このサービスはそれぞれの状況や目的に応じて使用できるものとそうでないもの。また、利用条件などもありますのでそれらを踏まえて利用をご検討ください。

介護給付
居宅介護:自宅で入浴、排泄、食事の介護などを行う
同行援護:視覚障害により、移動に著しい困難を有する人に、移動に必要な情報の
     提供(代筆・代読を含む)、移動の援護などの外出支援を行う。
行動援護:知的障害・精神障害により行動上著しい困難を有する人に、居宅内や外
     出時において行動する際に生じる危険を回避するために必要な支援及び
     介護を行う。
重度障害者等包括支援:介護の必要性が非常に高い障害者に、居宅介護など複数の
     サービスを包括的に行う。
短期入所:自宅で介護する人が病気のときなどに、短期間、夜間も含め施設で、障
     害者の入浴、排泄、食事の介助などを行う。

児童を対象とするサービス
福祉型障害児入所施設:保護、日常生活の指導及び独立生活に必要な知識技能の付
     与を行う。
医療型障害児入所施設:保護、日常生活の指導、独立生活に必要な知識技能の付与
     及び治療を行う。
福祉型児童発達支援センター:日常生活における基本動作の指導、独立生活に必
     要な知識技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う。
医療型児童発達支援センター:日常生活における基本動作の指導、独立生活に必要
     な知識技能の付与または集団生活への適応のための訓練を行う。
児童発達支援事業(児童発達支援センター以外で行うもの)
:日常生活における基本的な動作の指導、知識技能の付与、集団生活への適応のための訓練を行う。
放課後デイサービス:学校に就学中の障害児を授業の終了後または休業日に施設に通わせ、生活能力の向上のために必要な訓練、社会との交流を行う。
保育所等訪問支援:保育所などの施設に通う障害児に対して施設を訪問し、障害児
      以外の児童との集団生活の適応のための専門的な支援を行う。
居宅型訪問型児童発達支援:障害児に対し、居宅を訪問して、日常生活における基
      本的動作の指導、独立生活に必要な知識技能の付与又は集団生活への
      適応のための訓練を行う。

地域生活支援事業(市区町村事業)
市区町村により、地域の特性や利用者の状況に応じて、柔軟な形態で事業を実施しています。下記以外にも事業があり、詳細はお住まいの市区町村へお問合せください。
相談支援事業:障害者(児)やその保護者等からの相談に応じ、必要な情報提供を
       行う。また、協議会を設置し、地域の相談支援体制やネットワーク
       の構築を行う。
日常生活用具給付等事業:障害者(児)に対し、日常生活支援用具等の日常生活用
        具の給付または貸与を行う。

その他、東京都における事業
(こちらは東京都にある支援事業になります。市区町村により状況が異なりますので東京都以外の方はお住まいの市区町村へお問合せください)

在宅レスパイト・就労など支援事業
【事業内容】
在宅の重症心身障害児(者)及び医療的ケア児に対し、訪問看護師が自宅に出向いて一定時間ケアを代替し、当該家族の休養や離職防止を図る。
(利用上限)年間144時間まで(利用単位)2〜4時間までの30分単位
【対象】
都内に住所を有する医療的ケアを必要とする在宅の重症心身障害児(者)、障害児を有する家族など
【問い合わせ先】
お住まいの区市町村

在宅重症心身障害児(者)等訪問事業
【事業内容】
ご家族が自身を持ってお子様の在宅療育に当たれるよう、看護師がご家庭を訪問し、健康管理や看護技術の指導、療育に関する相談などの支援を行います。
【対象】
東京都内に住所を有し、在宅で生活をする重症心身障害児(者)及び医療的ケア児
【申請窓口・お問合せ先】
お住まいの地区を管轄する保健所・保健支援センターなど

東京都福祉局 障害福祉サービスなど

このように、医療的ケア児が利用できるサービスは多いです。
このほかに医療的ケア児の場合には下記のようなサービスもあります。

・レスパイト入院
医療的ケア児が親や家族のレスパイト(休息)を目的とした数日〜1週間の病院への入院が可能なサービスもあります。
ただ、こちらのサービスは医療的ケア児を受け入れいている病院への受診が必要です。また、予約を行ったうえで順次…というケースも多いですので問い合わせをして確認を行うことを、まずお勧めします。
大きく掲げていなかった場合でも、状況によっては受け入れ可能なケースもあります。

訪問看護などの活用もおすすめ

訪問看護
医療的ケア児は医療保険で利用することも可能です。
また、医療保険外の場合でも自費サービスとして活用できる訪問看護もあります。
ご自身の家庭状況などにもよりますが、今は少しずつ医療的ケア児を受けていれている訪問看護があります。
もし、心配な場合にはお問合せだけでもいいのでされてみてはいかがでしょうか?

地区が限定されてしまいますが、ホームページを有している医療的ケア児の訪問看護さんをご紹介しますね。
また、医療的ケア児のシッター業をされているホームページも同時にご紹介します。


東京
・ソイナース(医療的ケア児訪問看護)
・あい訪問看護ステーション(医療的ケア児訪問看護)
・医療的ケアシッター ナンシー(シッターサービス)

神奈川県
タツミ訪問看護ステーション(医療的ケア児訪問看護)

千葉県
稲毛駅前訪問看護ステーション(医療的ケア児預かりサービス)

埼玉県
埼玉県で医療的ケア児対応の訪問看護事業所一覧

兵庫県
訪問看護ステーションぷくぷく(医療的ケア児訪問看護)

広島県
広島県医療的ケア訪問看護事業所一覧

福岡県
ライフスタイル訪問看護ステーション(医療的ケア児訪問看護)

まだまだ、探したら出てくるのかもしれません。
私が探した中でヒットしたのはこれらの訪問看護事業所でしたが
もし追加があれば、適宜追加させていただきますね。

医療的ケア児専門訪問看護のサイト
医ケアキッズなび

私がご縁をいただいた事業所さま

私も医療的ケア児を病院で看るなかで過去、お世話になった事業所様や今でも親交がある事業所さまについてご紹介します。

訪問看護ステーション はーと (東京都 葛飾区)


こちらの訪問看護さんは、東京都にある教育ステーションとしても選ばれている事業所です。
訪問看護を学ぶ場所としても広く多くの医療者を受け入れつつ、質の高い訪問看護を提供されている訪問看護ステーションです。
以前…数年前になりますが私は、研修でお邪魔しましたが医療的ケア児のお子さんを訪問していたのを一緒に同行させていただきました。
医療的ケア児のママの「相談役」をしながら、ママの手助けをされていました。

オールハッピー訪問看護ステーション高崎(群馬県高崎市)

小児〜大人まで幅ひろく、自費でも受付てくれる自由度の高い訪問看護が
群馬県にあります。

私はこちらの代表である天田美鈴さんと親交が深く、もう何年もお友達として交流させていただいています。彼女はご自身でもさまざまな活動をしながらも地域に貢献するために保健適応外のサービスも柔軟に対応できる訪問看護をご自身で立ち上げされました。
都内でも、ここまで自由度が高く相談しやすい訪問看護ってあまりないと思います。それほど、彼女が「利用者の方がどうすればできるか」という視点で考えてサポートをされているからこそできることです。
彼女の代表としての言葉をこちらにも掲載しておきますね。

相談したい時は…

医療的ケア児のことで相談したい場合には支援センターなどに一度相談をされることをお勧めします。

北海道医療的ケア児支援センター(北海道)
青森県立中央病院 小児在宅支援センター(青森県)
岩手県医療的ケア児支援センター(岩手県)
秋田県医療的ケア児支援センター「コラソン」(秋田県)
宮城県医療的ケア児支援センター「ちるふぁ」(宮城県)
新潟県 医療的ケアが必要なお子さんのためのガイドブック(新潟県)
福島県医療的ケア支援センター(福島県)
富山県医療的ケア児支援センター(富山県)
長野県医療的ケア児支援センター(長野県)
山梨県医療的ケア児支援センター(山梨県)
医療的ケア児支援センター(東京)
千葉県医療的ケア児支援センター(千葉)
かながわ医療的ケア児支援センター(神奈川県)
埼玉県医療的ケア児支援センター(埼玉県)
栃木県医療的ケア児支援センター「くくるん」(栃木県)
群馬県医療的ケア児支援センター「やっほ」(群馬県)
茨城県医療的ケア児支援センター「みちしるべ」(茨城県)
いしかわ医療的ケア児支援センター(石川県) 
障がい児・者の医療について(岐阜県) 
あいち医療的ケア支援センター(愛知県)
静岡県医療的ケア児支援センター(静岡県)
福井県医療的ケア児支援センター(福井県)

滋賀県医療的ケア児支援センター(滋賀県)
三重県医療的ケア児支援センター(三重県)
兵庫県医療的ケア児支援センター(兵庫県)
大阪府医療的ケア児支援センター(大阪府)
奈良県重症心身障害者・医療的ケア児に対する支援(奈良県)
医療的ケア児の支援について(和歌山県)

香川県医療的ケア児支援センター「ソダテル」(香川県)
徳島県医療的ケア児支援センター(徳島県)
高知県重症心身障害児・医療的ケア児支援センター「きぼうのわ」(高知県)
愛媛県医療的ケア児支援センター(愛媛県)

鳥取県医療的ケア児支援センター(鳥取県)
岡山県医療的ケア児支援センター(岡山県)
島根県医療的ケア児支援センター(島根県)
広島県医療的ケア児支援センター(広島県)
山口県医療的ケア児支援センター(山口県)

福岡県医療的ケア児支援センター(福岡県)
佐賀県医療的ケア児支援センター(佐賀県)
大分県医療的ケア児支援センター「みつわ」(大分県)
熊本県医療的ケア児支援センター(熊本県)
医療的ケア児などへの支援について(長崎県)
医療的ケア児の支援について(鹿児島県)

沖縄県医療的ケア児支援センター(沖縄県)

さいごに

医療的ケア児のママは心身ともに休まる時が少ない現状があります。
そのため、無意識で無理をしてしまうことも多く母子で体調を崩してしまうこともあります。
なるべく、体調を崩してしまう前に周囲へ頼ることや外部サービスを受けるなどすることで、少しでも休息が得られるような環境をつくってもらえたら嬉しいです。
迷った時は支援センターなどに気兼ねなく相談をしてください。

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