見出し画像

西へ

西へ行く。
品川の空は青く、雲のない、2月の霞んだ青空が遠くて淡い。人が行き交うホームで僕はその空を見る。
決してできないから、目線の先のそれに手を伸ばす、そんな想像で済ませた。

新幹線に乗り、神奈川を越え富士を横目に進む。
特に感傷的にもならず、ただ過ぎてゆく一瞬の景色が、まるで資料のスライドのようにページが進んでいく。
トンネルに入ると闇。ごおおっという走る音も耳で流してゆく。
ただ、トンネルを抜けるごとに、悲しくもない、嬉しくも楽しみもわかない、いや、もしかしたらそれらの感情が同時にやってきて、混じってぐちゃぐちゃになったのかもしれない。

今は遠くへいっている。
不思議な泊数が、体内を支配し、
それはセンチメンタルだったり、
エモーショナルだったり。

名古屋をぬけ、岐阜が横目に消えてゆく。
トンネルを抜けると雪が目立ち、そして白。

西へ行く。
僕の想いも乗せて行く。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?