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トランプ政権が日本のスタートアップエコシステムに与える影響
もし他にも考えられる影響があれば、ぜひコメントください!
防衛におけるデュアルユースが加速する
日本はアジア地域の安全保障においてより大きな責任を負い、防衛力を高めることを求められる可能性が高いです。
トランプ氏は米国の北大西洋条約機構(NATO)脱退をちらつかせ、防衛予算を増やさない同盟国は守らないと言明しています。
加え、すでに防衛費をGDPの2%に引き上げる政府の公約もあるため、防衛につながるロボティクスやAI、ドローン、先端宇宙技術に取り組むスタートアップにとって追い風が吹く可能性があります。
GX系に逆風
環境保護庁(EPA)が定める温室効果ガス排出規制の緩和や、化石燃料開発・発電に関わる規制の撤廃が予想され、それにより共和党が優勢な州では脱炭素化が停滞する可能性が高いです。
民主党優勢の州は、再生可能エネルギー比率の高い目標を独自に設定している場合が多いです。
他方、共和党が優勢な州は、脱炭素目標を持たない、あるいは低い目標を設定している州が多いです。
日本のクリーンテック・再エネ系スタートアップが米国進出を図る際は、進出先の州・自治体の政策を注視し、連邦ではなく州や都市との提携やローカル政策を活用した事業展開が鍵となります。
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加えてトランプ2.0は、新興国向けの気候変動対策支援の「緑の気候基金(GCF)」に対する拠出金などを停止し、世界的な脱炭素の動きを停滞させる恐れがあります。
日本のスタートアップが新興国市場で再エネ・省エネビジネスを展開しようとした場合、GCF由来の資金を活用できなくなる可能性があるため、事業計画の修正が必要となります。
米国の自国保護は日本企業の事業機会にも
米国の製造業は半導体や医療機器などを中心に他国への依存度が高いため、米国内生産回帰する過程で、インフラ整備や関連部材の需要拡大が見込まれます。
JETROによれば、中国企業からの調達切り替えを背景に、化学、医薬、自動車部品などで需要が増加する見立てです。
また、重要と位置づけられる医薬品や半導体などの先端技術品では、輸入に占める中国の割合の低下が著しいです。
そこで日本企業は、中国企業から保護された米国市場に対し、「域内調達・生産・販売」を前提に参入することで、新たな事業機会を得られる可能性があります。
貿易政策の影響
トランプ政権は、貿易政策において保護主義的なアプローチを強化する意向を示しています。
具体的には、全輸入品に10〜20%の関税を課す計画や、中国に対しては60%の関税引き上げが見込まれています。
例えば、京都フュージョニアリングは米国立機関に核融合関連機器や部材を輸出していますが、関税対象品目に該当する場合、輸出コストが上昇する可能性があります。