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パン屋で試食販売のプロが本気で集客したらどうなるか?(試食販売番外編②)

この記事では「スーパーやモールなどでよくあるパン屋さんでの試食販売体験談」です。

よく似た立地のパン屋さんなら同じことができるでしょう。

ほかにも「和菓子屋さん」「洋菓子屋さん」などでもできそうですね。

「売り上げが伸び悩んでいる店主さん、販売チーフさんにおすすめの記事」です。

「味はおいしいのに、うまく集客できない」、そんな悩みを解決するヒントをこの記事で知ることができます。

とある試食販売にチャレンジするパン屋の日常

(店長)おいしいパンをいっぱい作っているのに、お客さんが来てくれない。

そうだ!試食販売をしてみよう!

でもどうやって試食販売ってするんだろう?

コツややり方ってあるんだろうか?

とりあえずバイトのいちごちゃんに任せてみようかな?



(バイトのイチゴちゃん)・・・試食販売ですね店長、わたしガンバリマス!

えーと、焼きたてフワフワのパンをナイフで切って・・・と。

ギャー全部ぺちゃんこですぅー。

じゃあ焼き立てのクロワッサンを切って・・・と。

ぎゃー全部バラバラになっちゃいましたーー!!

最近は食パンが人気ですよね?

じゃあ食パンを切ってみよう。

うまくできました。

試食用のトレーにパンをのせてっと。

何かしゃべるヒマもなく、お客さんが殺到して全部なくなっちゃいましたーー。

・・・どうしたらいいんでしょう?(涙)


初めての試食販売は高額アルバイトで魅力的ですが、なかなか大変なようですね。

試食販売にはいくつかのコツがあります。

プロとして3年の経験をもとに、いろいろ解説していきます。

今回の話はもと本職の「パン屋」での試食販売です。

地方の小さなスーパー内にあるパン屋さんでしばらくの間パート店長をしていました。

その時のことを解説していきますね。

パン屋さんの話だけではなくて、試食販売ができる可能性のあるお店で活かせる考え方です。

「なかなか売り上げがあがらないなあ・・」なんて考えてる店主さんやスタッフさんにも何かの参考になると思います。

今回のお仕事先、パン屋の概要

一日4万円売ればいいところの小さなパン屋さんを任されました(パート店長です)。

働いているスタッフは私も含めたパートさん3人で、いつも1人がお休みで残りの2人でお店を運営してました。

よくあるスーパーのパン屋さんの裏側の話

扱っているパンのほとんど全部が冷凍生地でした。

ミキサーで粉から作るのはごく一部のパンでした。

しかも粉はミックス粉です。

地方のヒマなスーパーの現状


スーパーにはいろんなお客さんの入り方のタイプがあります。

このお店は典型的な夕方一気に売ってあとは値引き販売で何とかするタイプでした。

つまり朝からほとんど誰も来ない(汗)

昼も・・・スーパーのレジにほんの数人のお客さんが‥。

夕方からレジがようやく混みだし、スタッフ総動員でレジのお客さんをさばいています。

あとは適当に売れ残りを値引きして売りさばいていました。

地方の田舎にはこんなスーパーがよくあります。

売上+25%UPを狙う今回の作戦

朝から一気にパンを作ってもお客さんはだれもいない・・。

午後3時くらいからちらほらお客さんを見かけるようになります。

さてどうしたものか??

パートさんたちと作戦会議をしようにも3人そろうこともない。

仕方ないのでほぼ私の案を通しました。

〇今回の作戦

①朝からは少ししかパンをならべない。

②昼から順番に焼き立てを出していく。

③夕方のピーク前に全商品が並ぶようにして
 値引き販売をせずに焼き立てをアピールしながら売っていく。

④閉店の2時間前に本来やっている売り尽くしセールをやめて、
 さらに焼き立てパンを出して「よりどり〇個○○円セール」を閉店までしていく。

⑤閉店前の最後の駆け込み客に対してのみ今までのたたき売りセールをする。

とこんな感じです。

〇今回の改善点は

●働いている自分たちの都合でパンを出すタイミングを決めるんじゃなくて

スーパーにお客さんが来てくれる時間の少し前に焼き立てパンをたくさん出す。ことをしっかりやっていくってことです。

あと追加で、

製造やレジなど仕事が忙しくなる時間にあわせて、パートさんの時間を調整してシフトを入れていくことも提案しました。

お仕事のシフトが大幅に変わってしまうのでほかのパートさんからは大反発!

売り上げ目標はとりあえず5万円。

いきなり売り上げ目標が4万円から5万円の+25%UP。

パートさんからは「売れるわけがない!!」と強く否定されましたが、1か月だけやってほしいとお願いしてしぶしぶやってくれることになりました。

勝算が全くないわけではないけどス―パ-自体の集客がいまいちなのでちょっとコワいです。

会社の社長にこの案を通して採用されました。

「だめでもともと」とぼそっと言われてちょっとさみしいですががんばるしかありません。



いろいろ材料を発注して次の週から作戦開始です!

私が出した案をそのままやってもおそらく失敗するでしょう。

「③夕方のピーク前に全商品が並ぶようにして

値引き販売をせずに焼き立てをアピールしながら売っていく。」

ここで私の試食販売のワザを使います。

詳しいことは企業秘密で言えませんがこの③でいかに売り上げを伸ばすかにかかっています。

さあ正念場です!試食販売開始!

今回試食に選んだのはうちのお店では最高額商品のジャンボアップルパイ980円

これを使ってお客さんを呼ぶことにします。
焼いてからしばらくたったものを試食用に切っていきます。

焼き立てで本当においしいのは「フランスパン」「クロワッサン」などです。

でもクロワッサンは焼き立てで切るとバラバラになってしまいます。

「調理パン」「ドーナツ」もおいしいですね。


焼き立てから少し時間をおいて、少し水分が抜けてからのほうがおいしいパンもあります。

食パンや菓子パン、メロンパンは特に時間を置いたほうがいいですね。

メロンパンの上にのっている「クッキー生地」は、水分が抜けないとサクサクしてきません。

菓子パンやデニッシュにのっているジャムは、焼き立ては恐ろしい熱さです。

焼き立てをそのまま食べたらヤケドしてしまいます。




パン用のトング&トレーのセットは40セット分。

準備をしてさあ試食販売開始です!

すぐに最初のお客さんがもぐもぐ・・・それを見てほかのお客さんも寄ってきます。

とりあえずもぐもぐもぐ・・・・・・そのまままとめて店内への誘導に成功!

そのまた次のお客さんが「何やってんの?」と近づいてきてもぐもぐもぐ・・からの店内へ・・

そのままスーパーのレジから・・もぐもぐ・・店内へ・・と連鎖してお客さんが列をなしてきます。

〇試食や試食販売をやったことがある方なら、ここで試食をもらったお客さんが、「全員店内へ誘導できるなんておかしい???」という疑問が浮かぶはずです。

ここでただ試食を食べさせているわけではないです。

「魔法のことば」をうまく使っています。

お客さんが試食のパンを食べている一瞬に、

「ひとことふたこと」言葉をそえてパン用のトングとトレーを差し出します。

ほぼ100%のお客さんがパン用のトングとトレーを受け取ってパン屋の店内に入っていってくれます。

私がどんな声かけをしているか?「魔法のことば」って何だろう?

よく考えればわかるかもしれませんね。

お客さんが販売員の前で、一瞬で無防備になる言葉です。

私の得意とする「お客さんがお客さんを呼ぶ状態」作ることに成功しました。

いつもならここから試食販売のセールストークが始まります。

今回はパン屋の中にお客さんを呼ぶだけでOKなのでとってもカンタンです。

試食販売を始めて10分でお店には40人のお客さん。

お店は見たことないくらいにお客さんが行列を作りみなさんパンを買ってくれています。

お店の外には次のお客さんが試食待ちをしている状態になりました。

原価500円のアップルパイ一個でお客さん40人GETなら安い出費です!

レジのパートさんのこの世の終わりみたいな顔を見て(笑)試食を中断してレジのヘルプと商品整理をしに行きます。

このようにうまく試食を配っていけば簡単に集客できます。

ぜひチャレンジしてみてください。


売れないパン屋で、試食販売のプロが本気で集客した結果

かなりドタバタしましたが結局たった30分で5万円を売り上げてお店はあっという間に売り切れ閉店。

後半の焼き立てを出して、「よりどり〇個○○円セール」をすることもありませんでした。

いつも閑古鳥の売れないパン屋が、ありえない位お客さんを集めて、一気に売り切れ閉店。

すぐにスーパーの店長に呼び出されて「なにをした!!」とすごいいきおいで聞かれました。

その後お店はけっこう売れるお店になりました。

この結果を社長に報告しておどろかれました。

そのあと社長とパートさんみんなを交えての会議がありました。

そこで私からいくつかの提案をしました。

毎日同じ時間に試食販売をやると効果が薄れるので、スーパーの広告が入った売り出し時と土日祭日のみ試食販売をやるようにすること。

そうすることで製造量の調整にメリハリをつけていくようにしました。

時間も夕方とするだけで決めないこと

●あらかじめ忙しくなる日にちと時間を決められるので、パートさんの仕事時間も日によって調整していくこともしました。

●パートさんにも今のワザを教えること。(ぜひやってみたいそうです!)としてやっていくことに決まりました。

しばらく試食販売を続けていくと、うちのパン屋が試食販売の準備をしようとするとお客さんがさーーと集まってきて勝手に列を作りだすようになりました。

開店前の人気のラーメン店みたいです(笑)

スーパーの来店客の2%がこういう立地のパン屋の本来の来店比率なんですが、このお店では日によって20%以上だったそうです。

売り上げも8万円くらいまで上げることができました

製造能力的にも売り場の面積的にももうこのお店ではMAXの売り上げでしょう。

アルバイトさんをさらに2人雇い元のパートさんも給料UPできたようです。

めでたしめでたし・・・。


あとがき

試食販売のことを抜きにして、改善点としてよかったのは、

「お客さんの来店にあわせて、できたての商品を出していくこと」です。

それにあわせて「スタッフのシフトも調整していること」です。


〇なぜ今回試食販売がうまくいったか?考えてみます。
その土地では田舎過ぎて試食販売があまりやられていないのでめずらしいこともありました。
ほかのパン屋がなくて競合が自店のスーパーのパンしかなかったこと。
あとはみんなのがんばりですかね!

試食販売のできる可能性のあるお店なら、どこでも同じような結果が出せるんじゃないかな?と思います。


売り上げが上がらない…と悩んでいるなら
ぜひ「試食」を検討してみてはいかがでしょうか?


いい話で終わりたいところでしたが‥このスーパーは2年後に撤退してしまったんです。

パン屋だけ売れていてもだめでした。

私もここでパン屋さんを終了しました。

社長さんからお店を買ってあげるから雇われ店長しないか?と言われてましたが、介護の問題が急浮上してきて断念しました。

↓ ↓ 私のワザは全部このNOTEに書いています。 ↓ ↓

【完全版】試食販売のやり方 極意|夕張メロン|note

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