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EGFR-TKIでコントロールされている脳転移に対してSRSを行うべきか?肺癌脳転移治療におけるSRSの役割に関する後方視的研究

Hung JS, Su YH, Chen CJ, Chiang CL, Shen CI, Yang HC, Shiau CY, Luo YH, Wu HM, Hu YS, Lin CJ, Liu KD, Chung WY, Guo WY, Lee CC. Is it advisable to perform radiosurgery for EGFR-TKI-controlled brain metastases? A retrospective study of the role of radiosurgery in lung cancer treatment. J Neurooncol. 2023 Sep;164(2):413-422. doi: 10.1007/s11060-023-04425-0. Epub 2023 Sep 1. PMID: 37656378.
Taipei Veterans General Hospital

要約

中枢神経系に高い有効性を示すTKIが使用可能な状況下で、SRSを加えることに臨床的に意義があるのか?TKIで制御できない脳転移に対する救済療法としてのSRSの臨床転帰を明らかにした。
→ ①TKI単独群、②TKI+SRS群、③TKI後failureに対するサルベージSRS群とを比較

<結果>①のTKI単独群において24か月の局所制御率は63%だった。
局所制御率は①よりも②で有意に高い結果だったが、遠隔制御に関しては①と②の間に有意差はなかった。③の、TKI不応となってからSRSを行った群においても、局所制御率は58%であった。つまり、最初からTKIにSRSと加えた場合でも、TKI不応となってからSRSを追加しても、局所制御率は同等であった。

<結論> MRIによるサーベイランスは必須だが、まだTKIで制御されうる脳転移であれば、SRSをはじめから行うのではなく、サルベージとして行うべきである。

<感想>

日常臨床に関連した興味深い研究。これまでSRS側の立場からは、TKI aloneよりTKI+upfront SRSのほうがbetterという研究が主流だったように思う。本論文にも挙げられている最近の論文(Langston, JNO, 2023)も、TKIによるCNS downstaging(多数個BM→少数個)でWBRT適応の症例をconsolidative SRS適応に持ち込む、というコンセプト。本論文は彼らとは一線を画しており、「TKIが効いているうちはSRSを施さない、TKI不応となってからSRSを行っても遅くはない」というスタンスであり、自分もほぼ同意見である。今後、よりエビデンスの高い研究が望まれる。

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