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ロートレックに基礎の大事さを学ぶ

何事も基礎から始めていくことの重要性を改めて感じている。
情報も方法もネットで探せば簡単に手に入るこの時代、
何かを身につける経験も苦労も無意識にスキップしようとしがちだったと、自分の経験を振り返っても思う。

実際なにごとも習得しやすくはなっているんだろうと思う。
何かを好き、と思った時それを極めるためのツールも環境も
きっと昔よりは開かれているはずだ。

だからこそ自分のスキルも経験も
少し見たり学べば身についたような感じがして
なのに実際やってみると思った以上にできなくて
「自分には向いてないんだ」とか「自分には才能がないんだ」とがっかりする。

人によって器用不器用もあるし、勘の良さもあったりなかったりするが
(そして人によって巧拙の分野が違ったりする)
もし自分が何かの上達を目指していて、思ったようにいかない現状に苛立ちを感じているなら
もっと自分に猶予を与えてあげたらいいと思う。
最初の最初の基礎に戻って、そこから一つずつ積み上げる経験を許してあげたらいい。

先日訪れたロートレック展で
10代の頃から続く彼のスケッチを見て改めてそう感じた。
「ああ、ロートレックだ」と一眼見てわかるほど
彼の画風はユニークだけれど
今回のロートレック展をみる限り
彼が自分のスタイルを確立するのは30歳手前ごろから。
紙の端っこに描かれた10代の頃の素描たちは
ごく素直に写実的なもの。
そこからだんだんと彼なりのスタイルができあがっていく。
例えば彼の描く人間は特徴的な目をしていることが多いと感じるけれど
(意志の強さというか意地の悪さというか)
初期の素描にその感じは見られない。

ロートレックの初期のスケッチはこんな感じ。

物事がより早く流れていく今の時代に
悠長に5年も10年もかけて一つのことを身につけていく時間なんかないと思うかもしれない。
でも、長くかけてしか得られないものもあるかもしれない、ということは忘れないほうが良い。
そう思うことが焦りそうになる自分を助けてくれたり、
心に平穏をもたらしてくれたりする。
自分へのリマインドを込めて。
そして何かを見て学ぶって改めていいなと感じた。

よく知られているいわゆるロートレックのタッチ

ちなみにロートレック展の詳細はこちら

ロートレック展 時をつかむ線
2024.06.22(土)- 09.23(月)
https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2023/lautrec/


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