徒然草 新年散歩して出会ったシゲさんから考えた、ちょっとした仕事のハナシ
2019/1/7 1:56:20
住んでいる都立家政駅に1ヶ月前から古着屋ができた、のを横目で見ながら帰宅していた。
控えめな小さな看板を目にしていたが、なかなか入るタイミングがなく、いつも手前の松屋でご飯を食べて帰宅していた。
さっき、クリーニングを取りに駅前に向かっている途中に思い出し立ち寄ってみた。
入ってみたら、まあかなりドンピシャな古着が集まっていて、音楽も内装も最高にドンピシャだった、そしてとても暖かかった。
すうぅっと息を吸ってなんとなくお洋服見ていると、奥から店長さんが、最近歯医者でよく見る小さな紙コップを片手にやってきた。
「ルイボスティー、好きですか?よかったら。」
とまさかのウェルカムドリンク。感じが良いお兄さんだ。少し気を張っていた分、拍子抜けし私もほろっと笑顔に。
シゲさんという店長さんは「古着」を介して“コミュニケーション”をしていきたい、と決め、最近、脱サラしたお兄さんだった。
古着屋さんは新品の服屋さんより、個性が出やすいようだ。世の中に服がありふれてる中でも、逆行して古着を探すという行為自体が店主の好みや考えがドストレートに反映されるからだ。
だからこそ来るお客さんはルミネや伊勢丹で新品の服を見るより、服や服の物語までもちゃんと見る人が多い。
その服達とお客さんの好みが合わないとそれまでの関係性。だけど、そこがドンピシャにハマると、より深い「何かがカチッとハマる音がする」関係性になれるみたいだ。
シゲさんは、古着で自分を表現し、お客さんと会話してそこから広がる化学反応を楽しみたいから、仕事を辞めてまでもこんな都立家政駅という辺鄙なところに店を出したのだ。
そんな話を聞きながらウェルカムドリンクのルイボスティーが無くなってきたところで、シゲさんが「新年なんで」と金箔入りの祝酒を出してきた。ではしめしめ…とルイボスティが入っていたコップを差し出し、会ってすぐの人と盃を交わした。横にはハッピーニューイヤーと書かれた花があった。
私も背負っていたカバンを床に置き、またしばらく話し込んだ。店内はヤフオクで買った流木に掛かった古着たちが不安定そうにゆらゆら揺れていた。
お店、何時までやってるんですか?と聞くと「毎日23時までやってます」とのこと。ここは下北沢か、とツッコミつつ理由を聞くと「大人は22時以降が楽しい」とのこと。
確かに、22時以降の駅にはいろんな人がいる。
酒に酔ってふらふらしている人や、残業でふらふらしている人。人間に会いたいし集まる場所にしたいから、23時までお店を開けるようだ。
なんだか、安心した自分がいた。
「お金なくてもいいし、ふらふらでも来てくださいね」と言ってもらって、そういう温もりのある場所を構築する人って、超優しいと思った。そういう両手を広げて待ってくれる場所って、超優しいと思った。
「そういえば、甲本ヒロトも言ってたんですよ」とシゲさんは続けた。
「昔ライブに行ったときに、甲本さんが言ったんです。“ 俺はステージと客席には、見えないドアがあると思ってる。ステージからドア開けてずっと手を差し伸べてるから、いつでも掴んでこい。”…僕もそんな古着屋さんに、していきたいんですよね〜。」
…シゲさん良いですね、超素敵です。と語彙力なくでもシンプルに言葉が出ていた。「でもなかなか宣伝うまく行かなくて、PR手伝ってください〜涙」と言われたので、もちろん!とお返事をした。
まだまだシゲさんは甲本ヒロトにはなれないかもしれないけれど、
ステージと客席の間を狭く工事すること
ステージと客席の間に橋を掛けること
ステージと客席の間を狭く魅せること
きっといろんな方法があって。それがPRのお仕事と通づるんじゃないかなって。シゲさんをちょっと早く甲本ヒロトに導くことはできるかな、と思っている。 …って生意気にちょっとシゲさんに言ってみたら、とても嬉しそうな顔をしていたから、明日からの仕事も、ちょっと楽しくなった。
HIBIWA、是非行ってみてください。
さて、新年、あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いしますね。