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#39 前だけを見るために/運命の恋

そして2ヶ月後主人が日本に一時帰国した。私の仕事終わりに新宿で待ち合わせをした。テレビ電話で沢山話はしてはいたけれど、実際会うのはやはり全然違った。
私達は彼の希望で焼肉屋さんに入った。久しぶりの日本でまず行きたかった場所らしい。
出会ってから連絡は絶えず取っていたけれど、面と向かって話すのはほぼ初めて。何だか知っている人なのか知らない人なのか不思議な感じだった。
次の日も私は仕事だったので、遅くまでは外に居られない。どうするんだろう…と思っていたけれど、何となく流れで主人は一緒に私のマンションまで来た。そしてそこから、主人が日本に滞在している1ヶ月間ほぼ毎日会い、私の家に泊まった。
正直な所、主人と一緒に居て時々私の中でひっかかる何かがあったのは認めざるを得ない。けれど、海外で暮らす為、一人にならない為、結婚する為と、自分の気持ちに言い訳をし、言い聞かせ、主人の事が好き、主人は私が探していた人なんだと思い込み、自分の心を洗脳した。

主人がオーストラリアに帰ったあと、私はオーストラリアに行く為のワーキングホリデービザ取得に向けて、行動を始めた。何故なら遠距離でしかもまだ数ヶ月の付き合いの私が主人のパートナーとしてビザを取るより簡単に取得できるビザがワーキングホリデービザだったからだ。
ビザを申請できるのは31歳になる前まで。私の31歳の誕生日は3ヶ月後に迫っている。なので、急ぐ必要があったのだ。入国するのはビザ取得から1年以内なので、ビザを取ってしまえば、あとはゆっくり時期を見て仕事を退職すれば良いと思った。
必要な書類を集め、ビザの申請をし、無事誕生日までに取得する事ができた。
8月の私の誕生日、変わらず仕事をしていると、お花の配達がきた。誰宛てなのかと見てみると、私の名前が書いてある。主人からだった。私の家の住所を知らなかった主人はわざわざオーストラリアから私の会社に誕生日の贈り物を送ったのだ。こんなやり方で誕生日プレゼントを貰った事は無かったので、素直に嬉しかった。

そしてその2ヶ月後、また主人が休みを取って日本に来てくれた。オーストラリアに行く前に私の両親に会う為だ。松田君との同棲の時同様、きちんと話をする必要があった。
しかし、両親も私が自分で決めた事に関しては、基本的には反対はしないでいてくれる。なので、今回もまた問題が起きることは無く、無事に終った。

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