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ポテトの話

「ふしぎ荘で夕食を」発売まであと2日になりました。まだぜんぜん実感がないのですが、Amazonから自分の本の発送連絡がきて時空の歪みを感じました。

村谷由香里です。
noteをご覧いただきありがとうございます。

深山荘で暮らすメンバーの話をしてきましたが、最後は猫のポテトの話を書きます。
この小説に猫を出そうと思ったのはどのタイミングだったか覚えていないのですが「ドミトリーで夕食を」という小説を2017年の終わりに書きはじめたことを思うと、わりと早い段階で決めていたのかもしれません。

わたしは2017年の2月に実家で一緒に暮らしていた猫を亡くして、それからいくつか小説を書きました。先日noteに載せた「ReCorrection」もだし、次の文フリで頒布する「さよなら、シオンの家」もそう。

わたしの書く物語に出てくる猫は基本的に、ぜんぜんわたしに懐いてくれなかった実家の猫がモデルになっていて、ポテトもそのうちの一匹です。
キジトラ柄の大きな猫が深山荘で愉快に過ごしているのを見ると、今はもうどこにもいない、好きだった友人と再会できるようで嬉しかった。

猫は家につく生き物です。
人と家を結びつける生き物だな、とわたしは猫と一緒に暮らしていて思いました。以前エッセイにも書きましたが、猫が亡くなったことをきっかけに、わたしたち家族は、長年過ごした家を離れることを決めたんですよね。
あの家を思い出すとき、そこには必ず、ごはんを食べるときだけ甘えてきた、大きな猫の姿があります。

七瀬も、夏乃子も、沙羅も児玉も、いずれは深山荘を離れます。彼らにとって、あのシェアハウスは定住の地にはなりえません。けれど、ポテトだけは最初から最後まで深山荘の住人であり続けるんですよね。
誰かにとって深山荘が過去になっても、思い出に変わったとしても。

そんな存在として、ポテトという猫を描きました。大変かわいく書けたと思うので、ぜひ彼女にも注目していただけると嬉しいです。

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4/25に第25回メディアワークス文庫賞を受賞したデビュー作「ふしぎ荘で夕食を〜幽霊、ときどき、カレーライス〜」が発売になります!

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村谷由香里
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