韓国映画『野球少女』観た。
めちゃくちゃよかったな。
主人公のイ・ジュヨンは梨泰院クラスに出演していたスターらしいが、そのドラマは観たことがないので初見だった。キュートなショートカットで、可愛くない瞬間が一瞬もなかった。全カワ。
主人公が高校生の設定なので、親はおそらく40代。進学や就職そっちのけで野球に夢中になっている娘に向かって、母親が「私が誰のために自分の人生を犠牲にしたと思ってるんだ〜〜!!」と叫ぶシーンでは、胸がちぎれそうになった。どちらかというと母親寄りの心境だったかもしれない。時代の変わり目には、描き方によっては旧時代の価値観が被害者に見えてしまう。ちなみに父親は無職で、宅建士の試験で不正を働いて警察につかまったりしているが、娘の味方である。
女性だってプロ野球選手を目指していい、家族のために自分の夢を諦める必要なんてない。最近観た韓国映画の、家父長制度を描いた『82年生まれ、キム・ジヨン』や『はちどり』がフラッシュバックして重なる。いま大きくしなやかに羽ばたこうとしている韓国の羽が私には見えた。
完全にネタバレになってしまうが、娘のプロ契約に呼ばれた母親が契約金6000万ウォンを提示され、「うちは・・・裕福ではないし・・・すぐには用意できないんだけれども、3ヶ月ほど待ってもらえばなんとか・・・」と戸惑いながら言うシーンでは、胸がいっぱいになって涙がにじんだ。これを書いている今も涙ぐんでしまう。プロ球団の事務官(?)が優しく微笑みながら、「いえ、契約金というのはうちから娘さんに支払うものです」と言ったときの時間をもう一度味わいたい、うぉー、かあちゃんーー。
そしてエンドロールで静かに流れるエンディング曲が本当に素晴らしく、ちょっと放心状態のまま自動的に帰宅した。エンディング曲の歌詞は日本語訳がついていたのだが、クレジットが全部ハングルで全く読めなかったので曲名がわからない。帰り道にスマホで必死に検索したが見つからず、帰宅してからハングルを頼りに調べまくってようやく見つかった。ぜひ映画の後に包まれてほしい。