会社を辞めると宣言したら、依存について考えたくなった
「徳田さん、今日17回くらい『依存』って言ってます」と飲みの席で言われたのが先週だ。
その言葉を頻発した理由は後述するとして、ひとまず、そもそも依存とはどういう概念なのかを確認したい。
他のものにたよって成立・存在すること。
〜大辞林 第三版 コトバンク〜
単独では成立しない、「自分以外の何か」により成立・存在すること。
家族や友人、異性などであることもあれば、知識のインプットや知的作業である場合も、アルコールやタバコ、セックスなどである可能性もある。対象は様々だ。
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「依存」という言葉は、ネガティブなものと印象付けられる。
「家族に依存する」「友達に依存する」「アルコールに依存する」
言葉を付け加えた途端、よくないもののように聞こえる。
アルコール依存症などの言葉の普及が影響している可能性もあるが、これは、依存を良しとしない日本特有の文化的背景も影響しているように思う。
一方、日本にカウンセリングを広めた第一人者である河合隼雄は、自立について次のように述べている。
“自立ということは、依存を排除することではなく、必要な依存を受けいれ、自分がどれほど依存しているかを自覚し、感謝していることではなかろうか”
このように、実際には、両者にはつながりがあり、「支え合っている」のではないかと思う。
そこには“「依存」が十分になされたのち、「自立」が得られる”というプロセスが隠されている。
依存は、自立を目指す上で大切な心的プロセスであることが、カウンセリング界の最高に有名な先生の著書から語られているようだ。(読んでない
どちらかというと自分自身、依存することに無意識に抵抗感を抱くきらいがあり、ドライな距離感や環境に居心地の良さを感じることの方が多い。
依存についてそう感じる人は、少なくないのではないだろうか。
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私事だが、2年勤めた会社を退職する。
「やさしさでつながる社会を作る」というビジョンを掲げた、依存と自立に真っ向から向き合っている会社だ。理由は様々だが、その会社の退職を5月中旬に決断した。
安心できる場所で経験を積み重ね、問題に取り組み、対処できる物が増えることによって自立心が育つ。これはまさにこの会社で、自分自身、また、周囲の人間の成長に触れ、体感できたことで、人間の自立には依存できる環境が必須であることを学んだ。依存についての見え方が変わった体験となった。
(カウンセラーであるにも関わらず、依存についての認識が浅かったように思う。以降、カウンセリングのやり方が大きく変わることになった。カウンセラーの内的成長は、カウンセリングに大きな影響をもたらす)
依存と自立の物語を自分自身が歩いていること、そして、依存していた環境から抜けること。言葉が少し強いが、これまで当たり前であったものをある意味で壊し、自分自身の安全感をあえて損なわせること。
そんな状況の中でお酒を飲むと、人はどうやら、2時間ほどで17回「依存」という言葉を使ってしまうようだ。
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適切な依存と自立について、それがどんな状態なのかや、どのように再現可能なのかなど、明確な答えは出ていないが、それが身近な人のためになること、社会のためになることは確信を持っている。
これからの人生を使って、それを証明していきたい。
別れはいつだって悲しい。だけど大切な場所との別れは、人生に深い意味をもたらしてくれる。
2年間への感謝と、これまでの経験が必ず未来に活かされることの約束を込めて。
*cotree advent note*
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