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高校生のための士業入門 「アルバイトを始めたのに、どうして稼ぎすぎちゃいけないの?」

進学・進級し早1ヶ月。新しい生活にも慣れた頃だと思います。高校生になり、早速アルバイトを始めた人もいるのではないでしょうか? 今日はアルバイト代にまつわる疑問を税理士の先生に聞いてみます。

Q. 4月からアルバイトを始めました!親から「稼ぎすぎには注意して」って言われたけど、どうして稼ぎすぎちゃいけないんですか?これから夏休みもあるし、たくさん遊びたいのでアルバイトの掛け持ちも考えています。

A. 扶養には、“税金上の壁”と“社会保険上の壁”の2つの壁があります。税金上の壁は、年間103万円以上の収入があると、親の「扶養」から外れてしまい、親の支払う税金が高くなってしまいます。そして、社会保険上の壁では、年収が130万を超えてしまった場合、学生自ら国民健康保険料を支払わなければなりません。また、月に88,000円以上の収入があると給料から税金が引かれます。ほとんどの場合、年末調整で返ってきますが、アルバイト先によっては自分で手続きをする場合もあり、大変なのであまりおすすめしません。

■税金上の『103万の壁』とは?


子どもや配偶者など収入がない、または収入が少ない親族を、自身の収入によって養うことを扶養といいます。高校生のみなさんは、親の扶養に入っている方がほとんどだと思います。扶養に入ると、親が「扶養控除」という国の制度を受けられ、支払う税金が安くなります。年齢によって控除額は異なりますが、16歳〜18歳の場合、年間38万円。つまり、親が負担する所得税と住民税が年間38万円軽減されるということです。しかし、この「扶養控除」を受けるためには、みなさんの収入が年間103万円以内というのが条件となります。これが税務上の壁、よく聞く『103万円の壁』です。また、103万円を超える場合、自分にも所得税がかかるようになるので注意しましょう。

■社会保険上の『130万の壁』とは?


保険料を自分で払ってもいいから、たくさん稼ぎたいという人もいるでしょう。しかし、年収が130万円を超えて親の扶養から外れると、今まで入っていた社会保険から外れることになり、自分で国民健康保険に加入する必要があります。支払う保険料は収入によって変わりますが、例えば年収が130万円の場合、月に約2.5万円の支払い義務が生じます。いくら学校以外の時間をアルバイトに費やしたとしても、テスト期間や急な体調不良などでアルバイトを休まなければいけないこともあります。安定した収入が見込めない場合、安易に扶養から外れることはおすすめできません。
税金上の『103万の壁』と社会保険上の『130万の壁』、2つの説明をしましたが、税金上の扶養のほうが社会保険上の扶養の金額よりも安いので、103万円が稼ぐ最適額と言えるでしょう。

<親の扶養に入るメリット>
●社会保険料を払わなくていい!
●親が支払う税金が安くなる!

<親の扶養に入るデメリット>
●扶養控除を受けるため、年収を103万円以内にしなければならない
●年収130万円を超えると国民健康保険に自分で加入しなければならない

どうして103万円を超えてはいけないのか理解できたでしょうか? 高校生のうちから、アルバイトをして自分でお金を稼ぐことの大変さを学ぶのは大切なことだと思います。しかし、お金を稼ぐということは、同時に納税や保険料等の支払い義務が生じるということ。今のうちから、お金に関して知識を学べば、将来きっと役に立つと思います。

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